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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
四章 神職とは?

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お疲れ様です



 静かに進んで行くが、あたしの頭なのかは少しパニックだ。それでも石田さんの質問は進んで行く。


「では手に入れたアイテムなど、有りましたでしょうか?」

「それは国に渡せと言うことか?」

「確認や調べたりはできればさせて頂きたいですが、どんなものがあるのかも知りませんから」


 水野君は口を噤むし、尾上さんも言いたくなさそうだ。石田さんは諦めて次の質問に変えていく


「それでは皆様は何日ほどでボスを倒したのでしょうか?」

「それがなんの関係が?」

「これからの魔物と戦う際の目安になります」


 笑ってるのに目が笑ってない石田さんは少し怖い。ストレス溜まってるな。


「何度も説明しているが、状況が違いすぎて目安になんかなるわけない。正確な時間も覚えていない」


 あれ? 言いたくないのか? なんか嘘っぽい。他の二人も尾上さんと一緒のようだ。石田さんは深い息を吐き、次へと切り換える。


「では次ですが、これから世界にダンジョンができ、魔物が出てくる。それを伝えるための神職である、と神に言われた。これにお間違いは」


「間違いないですよ、こんなことしてる時間はないでしょう」


 声を上げる尾上さんに、浜西さんは同意して頷いている。


「だから確認してるんです、そのダンジョンができるのはいつと?」

「それは近々としか言われていない」

「正確な日付はわからないのですよね? 神は他にはなんと?」

「だ、ダンジョンで得た力はこれから神職としてのものだと」

「ではその力について皆様に確認させて頂きたい。正確なレベルと何ができるのかを」


 どこか苛立った風な石田さん、初めて見ましたよ。

 尾上さんは声を荒げて、なんでそんなことを。とか言って正確なことを言う気はないみたいだし、今のうちにあたしの仕事をしておこう。ついでに指輪も鑑定しときますか。


 『尾上さんが3、水野さんが4、浜西さんが5、思った以上に低い』

 『なんや、10がおらんやん』

 『新しいテストダンジョン弱いんかも? あと指輪がレプリカってなってるねん。一応神の作った物で間違いないけど、ほぼ力ない』

 『は? どうゆうことや?』

 『せいぜい職業選択できるけど、全て選べるわけじゃないっぽい』


 お兄ちゃん顔に出てるよ。念話の意味ないよ。まあ向こうが熱くなってるから気づかれてないけど。


 それでもレプリカの指輪も気になるが、それよりもレベルのほうがあたしは気になる。


 確かにレベルがあるからテストダンジョン経験者なんだろうけど、それにしてはレベルが低い。宵闇は確かレベル5でクリアできると言っていた。それにしたって尾上さんは3だ。失礼だけど水野君なら若さでどうにかしたのかと思えるが、尾上さんは見た感じそうは思えない。


「てゆうかさ、なんであいつらには聞かないの?」


 今まで何も言わなかった水野さんが、あたし達を指差して言ってくる。それに石田さんは眉を歪めた。


「あの方々はもう教えてくれてます」

「なら、俺らにも教えてくれていいじゃん」


 石田さんが確認でお兄ちゃんを見れば、頷くお兄ちゃん。


「あの方々はみな5です、これで満足ですか? なら正確なレベルを教えてください」

「へー、あんなおっさんたちが? 俺は10だって言ってるだろ」


 石田さんがばれないようにあたしを見るから、小さく首を振っておく。あー、その顔、笑ってるけど怒ってますよね。


「レベルはもういいです。それで神職とは何ができるのですか?」

「だから、勇者みたいなもんだって」

「違うだろ! 人を導いてく存在だ」


 おお、ここでも意見が分かれるんですか? まず勇者ってなんだよ。


「勇者とは具体的に? 導くとはどう導くおつもりですか?」


 石田さんに聞かれると、どこか口籠る尾上さんと水野さん。たぶん何も考えてはいないのか。



 なんだろうな、人って特殊な力を手に入れるとこうなっちゃうのか? いや、あたしなってないんだけど。

 そんなことを考えながら、これがいつまで続くんだろうと本気で嫌になってしまった。




「お疲れ様でした」

「いえ、皆様こそお疲れ様でした」


 心の底から言えば、逆に労われる始末。とりあえず石田さんの疲れの根源を見た気がした時間でした。


「それで指輪がレプリカとは?」

「ああ鑑定結果、書いときました」


 『神が作った指輪(レプリカ):神が制作したが、魔力の弱い者でも使えるよう粗悪な品。職業選択はできるが全ての選択肢はでない』


 他にも三人のステータスを書いた紙も渡しておく。


「ついでにあの三人、職業巫女と神官ですけど、たぶんなんもできませんよ? 神託すらなかったし、属性も見えませんでした」

「は? では、なんのための?」

「たぶんただのメッセンジャーじゃないですか? 聞いた感じあたしのテストダンジョンとも違いますし」

「ち、違うとは?」

「魔物の出方もボスも少し違うんです。神職を作るためにたぶん弱めになってるんじゃないかなーって?」


 あ、石田さんが固まった。お兄ちゃんも苦笑してないで助けてください。お姉は笑うな、労え。


「魔力使えるようになったら属性出る可能性はあるんですけどね、今のところ魔法も使ってないんでしょうね」


 あ、止め刺しちゃったようで、石田さんが項垂れた。これどうしたらいいですかね? 秀嗣さんが石田さんの肩を叩いて慰めてる。


 石田さんは失礼しました。と何とか再起動して仕切り直す。


「姫様のおかげで三人のレベルや色々なことが分かり助かりました、有難う御座います。それで指輪なんですが、あのレプリカは写真に写ったんですが、皆様のは写りませんでした」


「神が嫌がったんちゃいます?」

「わたしもそう思ってます。元々姫様は神に目立つことは嫌だとおっしゃっていたようですし」


 そんなことまで宵闇は喋ってるのか、事実だけどさ。なんとも言えない顔されてもあたしも何も言えないよ。


「それで、この後なんですが」

「総理と会うんでしたっけ?」

「はい、できればお願いしたいです。国としては会見を開き、ダンジョンのことを発表するつもりです」

「そりゃまた大変なことで」

「はい。それでできればでいいんですが、この中でどなたかでもその場にいてもらうことは可能でしょうか?」


 お姉は素直に首を振り、あたしとのり君が苦笑。たぶん目当てのお兄と秀嗣さんは嫌そうな顔をした。


「さっきの三人やったら喜んで行くんちゃいます?」

「たぶんそうなんですけど、それが嫌だから言ってるんですよ。せめて良識と常識を持つ、嘘つかない人じゃなきゃ安心できません」


 石田さんの叫びは尤もだ。でもあたし達の答えは「ごめんなさい」で統一されていた。



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