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ただただただ。 ~変わらないもの~  作者: けー
四章 神職とは?

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きっと勘違い



 石田さんが帰ればみんなで地下に戻った。地上には隊員さん達が常駐し、さすがにのんびりとはできなくなってしまってるから。


 お姉はまだ早いから寝直すとすぐに部屋に戻って行ったけど、あたしは目が覚めてしまったから、お茶をいれ居間に落ちつく。


「とうとう出たなあ、新たな巫女さん」

「あの衣装って自前? それとも神さんの趣味やと思う?」

「できればノーコメントにしたい」


 お兄ちゃんあたし胡堂の目が秀嗣さんに向く。困ったような顔をするだけで何も言わないが、あの衣装はどうかと思っているんだろう。


「ただ絵里ちゃんの以外は普通の神職衣装やん? それにあれだけ自信がある発言ってことは、姫巫女なったんかなあ?」

「あたしのが普通じゃないって言わんで。姫巫女やったらあたしとしては嬉しいし、あたしは普通の巫女でいいです」

「のり君の言うことわかるけど、たぶん姫巫女ではないやろ? 宵闇様の感じではたぶんあれは好きじゃないし」


 あたしの言葉をお兄ちゃんはすぐに否定する。動画をちゃんと見ていないからあたしには何も言えない。宵闇の好みも知らないし。

 あたしが嫌そうな顔してると胡堂が秀嗣さんに聞き始めた。


「あの、国の方針って今どうなってるんですか?」

「方針か?」

「はい、今のところまだダンジョンなんかを発表する感じないじゃないですか?」


 加賀美さんは少し困りながら何かを考えて口を開いた。


「俺も聞いた話だが、まだ信じれない者も多く、決めれていないと言うのが本当のところだ。ただこれから神職が増えるなら、早く発表したい。と石田やここを知ってるものは思っているらしい」

「まあそうでしょうね、総理や神さん達にあった人は別として、そう簡単に信じられるものでもないでしょ」


 みんな同じような顔しながらのり君の言葉に頷いてしまう。自分たちも今こうして地下で活動して、毎日のようにダンジョンに行ってるから疑うことはないが、もし何もない前と同じ生活に戻れたとして、あれは夢だったと思っても仕方がないくらいには現実離れしている。


 そう思うと神職に選ばれた人全てが動くとは、考えないほうがいいかもしれない。


「それにみなさんのことは静観で、と神々に言われているので、上層部もどうしていいか頭を抱えているようです」


 苦笑しながら秀嗣さんはあたしやお兄ちゃんを見て言う。宵闇は空気を読んだのか、あたしたちが望まない限り表に出すことを良しとしなかったらしい。


 秀嗣さんたちは最初は反対したらしいが、あの変態に勝てる者は誰もいない。最後は無理強いも無しで、あたし達の意思に任せると約束したらしい。言い方的にはほぼ一方的に宵闇が言ってそうだけど。


 その関係か、秀嗣さんは今でも神職のあたし達に対してどこか硬い。胡堂なんかに対しては敬語もなく楽にしていいるのに。

 それもわかっているからつい苦笑した。あたし達は今のところ誰も表に出たいだなんて思っていない。


「まあ、今のところこれ以上考えてもしゃーない。まだ時間も時間ですから休みましょか」


 お兄ちゃんがそう言って立ち上がると、みんなもそれに続いて部屋に帰って行った。ただ少しだけ、あたしの胸に不安がよぎる。それは小さなものだけどなんだか嫌な予感がする。


「どうかしましたか?」


 不意に目の前に影が差して、顔を上がれば秀嗣さんが心配そうな顔をしていた。


「いえ、大丈夫です。それより早く敬語とって下さい」

「それなら姫、絵里子こそ俺に敬語は」

「そこは鋭意努力(えいいどりょく)中です」


 何度言っても敬語をなかなか変えれない秀嗣さん。秀嗣さんもあたしの敬語をやめてほしいと言われるが、年上相手になかなか難しい。


「では、俺の呼び方も敬称無しでお願いします。敬語はこれから頑張る」


 困ったように言いながら、扉を開けてくれる秀嗣さん。最後がどこか片言のようで、少し笑ってしまった。

 中の扉を開けておやすみなさい、と扉を閉めた。



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