Hero_β
ここで、ヒーローになる(二稿)
登場人物(男キャラは青字、女キャラは赤字)
メインモブ?
・主人公・下っ端(4人くらい?)
・旧主人公・仮面の幻影(2人)
・ライバル・先生
・ヒロイン
・友
・博士
脚本: xxx
シーン1 幕前と幕内 元にスポット、他は幕後ろに待機
元主「どうもみなさん、こんにちは。私の名前は、主人公……と言っても、元を付けるのが正しいかもしれません。なんにせよ、お見知りおきを。さてそれでは、本題に入らせていただきます。本日私が皆さまにお目見えかなったのは、勿論『主人公』の交代についてお話させていただくためであります。交代の理由や別れの挨拶、その他様々、本来であれば御座いましょうが、割愛させていただきまして……早速、新たな主人公となる彼に、ご登場願いましょう!」
幕上手側半分開く
(主、倒れている)
元 「おやおや、ちょっとお寝坊さんのようですね。気絶してないといいんですが……」
主 「ん……? えっ? こ、ここは何処だ!?」
元 「おっと、元気なようですね。それでは、私はこの辺でお暇させていただきましょう。それでは皆さま、彼がこれから紡いでいく無限で未知なストーリー、お時間の許す限り、どうぞお楽しみ下さいませ」(上手退場)
残りの幕開く。ヒロイン、ライバル、友人が立ってる。
ヒ 「主人公君、初めまして! 私が、この物語のヒロイン! ちょっと恥ずかしいけど、よろしく!」
ラ 「お前が俺のライバル、か。冴えないヤツだが……まぁ、期待しておこう」
友 「主人公君に冴えないなんて言うんじゃないの! よろしくね、主人公君」
主 「え? ……えっ? だから、何が起きてるんだよ……? ここは何処だ、こいつらは一体……」
ヒ 「あぁ、そうだった。まずは説明しないとね。まず君はこの世界の……」
(『君は』まで言った後、食って入る)
悪 「フッ、ハハハ、ハァーッハッハッハ!」(幕外)
主 「うわっ!」
ヒ 「この声は……っ」
悪 「(上手入場)やぁやぁ新たな主人公君。挨拶に来させて貰ったよ。と、言っても、どんな主人公であろうとも、我々のやることに変わりはないのだがね」
主 「……なんか、いかにも悪そうな奴らだな」
友 「そう、アイツらは『悪役』。物語を簡単に進めさせないために存在する、嫌われ者集団なの」
主 「悪役って……なにか悪いことをしてる、ってこと……?」
友 「具体的になにをするかはまだ私達には解らないんだけどね。でも絶対、今回も奴らはなにか悪いことを企んでるに違いないわ!」
悪 「ふん、まだ主人公君はこの世界のことを何も知らないようだな。キサマらのようなモブキャラ共の自己紹介よりも、この世界の説明を先にするべきだったと、忠告しておくよ」
友 「うるさいわね! ありがたく聞き捨てさせていただくわよ!」
悪 「全く、なにもできない癖に元気だけはいいガキどもだ。しかしまぁ、確かに喋り過ぎだ。今日のところはこれで失礼する……せいぜい、バッドエンドまでの時間稼ぎをすることだな」
ヒ 「何言ってるのよ! バッドエンドなんて、絶対させないから!」
悪 「ハァーハッハッハ!(高笑いを残し上手退場)」
友 「……本当、嫌味な奴ら!」
ラ 「でも、胸糞悪い奴らを倒した時ほど気持ちいいものはない、そうだろ?」
友 「確かにそうね……でも、それにはやっぱり、主人公君の力が不可欠よね!」
主 「な、なぁ。その、さっきから言ってる『主人公君』って、やっぱり俺のこと……なのか?」
ヒ 「あっ、そうそう。説明し直さないとね。えっとね。今この世界は、とある物語の中、ってことになってるの。それで、その物語の主人公として、君が……」
主 「(動作で台詞遮る。絶望っぽく)……待てよ。それよりも、帰る手段は」
(ラ、首を振る)
主 「お、おいなんだと! ふざけるなよ! 勝手にこんなところに連れてきて、その上主人公をやれだと……? 俺は、俺は絶対元の世界に帰らせて貰うからな!」
ラ 「だから、今すぐ帰る方法なんてないんだよ!」
主 「連れて来られたんだから帰れる筈だろ!? そうだ、さっきの気障な男、アイツなら何か知ってる筈だ!」
友 「……あの人を見つけるの、多分帰るのよりも難しいと思うよ。だって、もう『元主人公』なんだから」
主 「は、はぁ……? 何意味わかんねぇことばっか言ってるんだよお前ら……夢なら早く覚めてくれよ……(崩れ落ちる)」
ヒ 「……一応、一つだけあるの。君が、元の世界に帰れるかもしれない可能性が」
主 「ッ、なんだって! その可能性っての、早く教えてくれ!」
ヒ 「で、でもそれは今すぐじゃなくて! この物語を無事に終わらせたら、っていう条件で……」
主 「物語を無事に終わらせる……? それって、つまり」(どんどん絶望顔で崩れ落ちていく)
ラ 「お前が、主人公としての役目を果たし終えたら、ってことだな」
ヒ 「ごめん。私達が知ってるのは、その方法だけなの。だから、お願い。エンディングまでは、私達の主人公として……」
主 「――行ってくれ」
ヒ 「え?」
主 「全員、どっか行ってくれ。お前らが何言ってんのか、一つも理解できねぇ。――そろそろ、一人にさせてくれ」
ヒ 「……ごめん」
ラ 「ここで追い詰めたっていい物語になんてなりっこなさそうだ。ヒロイン、友、行くぞ」
友 「う、うん……ねぇ、しゅ……あんたさ、明日、学校には絶対来てよね。暫く悪役の奴らも来ない筈だからさ。私達、普通にあんたと仲良くしたいと思ってるから」
(主、背中を向けたまま答えない。三人は静かに下手退場。スポットがしばらく主人公を照らし、そっと消して閉幕)
シーン2 幕前(朝の通学路)(1の背景を学校にしておけばカットも可能)
主 「……はぁ」(中央くらいでストップ)
ヒ 「あ、主人公君、おはよう! 来てくれたんだ!」
主 「サボっても仕方ないからな。それに、訊きたいことも山ほど残ってるし」
ヒ 「あはは、だよねー……」
主 「学校までの道、知らないはずなのに、どっちに歩けばいいかわかっちゃうのも、謎だしな」
ヒ 「ストーリー上の都合……的な?」
主 「意味わかんねーって」(そのまま二人で歩いて退場)
シーン3 幕内(教室)
友 「あ、ヒロインちゃんに主人公君、おっはよー!」
ヒ 「友ちゃんはやいね。おはよー」
主 「……はよっす。って、何作ってんの?」
友 「お! よくぞ聞いてくれた! これはねー、文化祭で私たちがやる、SF喫茶のゲートの飾りなんだー」
主 「SF喫茶?」
友 「そう、ヒロインちゃんの発案なんだよ? ヒロインちゃん、SFが大好きなんだよね!」
主 「ふぅん……別に、俺はさっさと帰れればいいし、どうでもいいけど」
友 「ひっどーい! あんたは主人公である前に私たちのクラスの一員でもあるんだから、ちゃんと協力してよね!」
ラ 「(入場しながら)おいおい、もう仲間割れか? うちのクラスの企画賞が、また一歩近づいたみたいだな」
友 「うわっ! なによ、朝からわざわざ別のクラスまで来て……偵察?」
ラ 「お化け屋敷が喫茶を偵察してどうすんだよ」
主 「……こいつ、別のクラス、なのか?」
ヒ 「うん、ライバル君だけ、学科が違うんだ。だから、ってわけじゃないんだけど、友ちゃんとライバル君で、どっちが文化祭の企画賞とれるかって張り合ってるみたい」
主 「ライバル君、って……なんか、俺のライバルっていうより、このクラスのライバル、みたいな感じなのか?」
ヒ 「あはは、どうなんだろうね。まだ物語が始まったばっかりだから、どうなるかな」
ラ 「さて、主人公が来てるのも確認できたし、そろそろ戻らせてもらうよ」
友 「しっしっ! さっさと帰りなさい!(ラ退場してから) 言っとくけど、企画賞は渡さないんだから!」
先生「(入場しながら)そうかそうか、企画賞と一緒に赤点まで取ったりしないでくれよなー (チャイム(始)が鳴って) ほら、全員着席。出欠取るぞー」
暗転閉幕
シーン4(引き続き教室。、友、先生が退出してから)
チャイム(終)が鳴って幕開け、主人公が机で寝てる。
ヒ 「主人公君、お昼、一緒に食べてもいい?」
主 「(目をこすりながら起きる)ん……あぁ、終わってたのか。あれ? あの、もう一人の女の子は居ないのか?」
ヒ 「友ちゃんはね、学食派なんだ。ライバル君と一緒なの」
主 「ふーん」
ヒ 「で、どう? この世界、慣れた?」
主 「慣れるも何も、何もしてないし……まぁ、授業が眠いのと、腹が減るのは変わらねぇなとは思ったけど」
ヒ 「だよねー、私も昔はよく寝てたなー。授業、意味わかんないんだもん」
主 「昔はって……今は寝ないのか? お偉いことで」
ヒ 「…………別に、偉くなんて、ないよ」
主 「そうか?」
ヒ 「それに、どんな勉強もSFに関係あるって思ったら、なんか急に楽しくなって」
主 「そういえば、好きなんだっけ?、SF」
ヒ 「うん。小説も映画も。主人公君は、好き?」
主 「本も映画も、ぜんぜん見ないんだよ。……だから、主人公なんて……」
ヒ 「(主のセリフにかぶせる)SF小説ってね、ヒロインがすごくかっこいいと思うんだ。ただ助けてもらうだけじゃなくて、自分でも闘ったり、ハッピーエンドを目指してて……私も、そういうヒロインになれたらいいなぁって」
主 「俺とは、正反対だな」
ヒ 「そんなことないよ! 主人公君なら、きっと最高の主人公になってくれるよ!」
主 「根拠のない自信、だな」
ヒ 「あはは、でも、私にできることなんて、信じてあげることくらいだもん」
主 「……裏切られても、知らないからな」
ヒ 「わ、わざと裏切ったりなんてしないでよ?」
(悪モブ、上手に現れ、消える。閉幕)
シーン5 幕前 (博士(=悪役)中央に立ってる)
博士にスポット当たる。モブ入ってきてスポット当たる
モ 「博士、あいつら、予想以上に平和ボケしてるようです」
博 「ふっ、そのようだな。下手に馴染めないでいられると、寧ろ警戒されてやりづらい。好都合じゃないか」
モ 「……『計画』の実行を、早めますか」
博 「あぁ、団結力も警戒もないこのタイミングで、一気に畳み掛けてやろうじゃないか。クックック、ハッハッハ、ハァーッハッハッハ!!」
スポットゆっくり消す。
シーン6 幕内、廊下(背景など不要?)
友 「……ねぇ、ライバル。主人公君のこと、どう思う?」
ラ 「どう、って……」
友 「例えば、頼れる、とか、もっと頑張って欲しい、とか……」
ラ 「別に、アイツがどんな奴だろうと、俺たちの役割は変わらない。余りにだめなら俺が主人公になれる、っていうなら話は違うがな」
友 「それ、質問に答えてなくない?」
ラ 「はは、そうだな。あともう少しやる気があれば、ライバル役である俺としても張り合い甲斐があるとは思うが……まぁその辺はヒロインが何とかするだろ」
友 「……そっか、ヒロインだもんね。あの子」
ラ 「今頃、もうやる気にさせてんじゃないのか? 本人たちが意識してるかどうかに関わらず、な」
(後ろを忙しそうに何人かが通り過ぎる)
ラ 「今のは……」
友 「なに、知り合い?」
ラ 「悪役……いや、岡崎教授の研究室のメンバーだ。やけに忙しそうだったな……なにか起こすつもりじゃないといいが」
友 「うーん、研究の中間発表も近いし、それじゃない?」
ラ 「……フラグ、って言葉を知ってるか?」
友 「フラグ……あっ、旗のことでしょ!」
(ラ、ため息で暗転)
シーン7 幕前 主人公の夢の中。仮面をつけた男×2をできれば手配して両端に配置
主、中央でスポット当たる
主 「ん、ここは……?」
幕前照明かスポット拡げて両端まで
主 「小川! 田村! あいつ等が居るってことは……元の世界に戻ってこれたのか!?」
(『』は録音)
小川『なんかさー、最近剣道部行くのダルくね?』
主 「……え?」
田村『わかる。あいつ、張り切りすぎだよな。主将になったからって』
小川『別にあいつが一番強いってわけじゃなくて、偶然顧問に気に入られてるからだろ?』
主 「お、おい。なんだよ、これ……」
田村『自分が弱いからって、全体の練習までキツくすんなって話』
小川『どうする? 下克上でもしちゃう?』
田村『うっわーこっわいこと言うなよー』
主 「やめろ、あのときのことは……もう……!(両耳を押さえる)」
小川『なぁ。アイツ、部活辞めたんだって?』
田村『らしいよ。嫌われてたの、知ってたんだな』
小川『主将押し付けられたのは面倒だけど、まぁアイツの下でやるよりは楽かもな』
田村『本当だよ。あっははは!』
(二人の笑い声。両端の仮面消えてから音もフェードアウト)
主 「やめろ、もうやめてくれ……俺は、俺は……!」
暗転
シーン8 幕内、夕方の教室(長いかも。時間などとの兼ね合いで分割考慮)
(幕開く前に)
ヒ 「主人公君、主人公くーん?」
幕開く
主 「やめろ、もうやめてくれ!!」(突っ伏してたのが飛び起きる。ヒ驚く)
明転
ヒ 「わぁっ! ……どうしたの、悪い夢でも見てた?」
主 「ヒロイン……そうか、やっぱり俺はこっちの世界に……」
ヒ 「……大丈夫? もう授業終わったし、ちょっと休んだほうが」
主 「いや、気にしないでくれ」
友 「どーしたのおっきな声出してー」
主 「なんでもねぇよ、すまんな」
ラ 「慣れない場所で疲れたか? 意外と、繊細なんだな」
主 「うるせぇよ(軽く言う感じ)」
友 「あ、そうそう。今日さ、私たちで主人公君の歓迎会しようと思うんだけど、来てくれるよね?」
主 「歓迎会? いいよ、そんなの……」
友 「いいから来てよー。もう少しすると文化祭の準備で忙しくなっちゃうし、ね?」
ラ 「準備……準備、か(ちょっと笑う」
友 「ん? どうしたの?」
ラ 「いや、昼休みにさ、岡崎研の奴らが慌しかっただろ? あれも意外と、文化祭の準備だったりして、とか思ってさ」
友 「あー、案外そうかもね」
ヒ 「岡崎……研……?」
友 「あれ、もしかしてヒロインちゃん岡崎研希望? あそこがやってるのって……確か、人工知能の開発、とかだっけ」
ヒ 「……違う」
友 「そっか、まぁ研究室どこ入るかなんてギリギリまで……」
ヒ 「違うの! そうじゃなくて!」
(全員、ヒロインの大声に驚く)
ヒ 「あいつ等が研究してるのは、人工知能なんかじゃなくて……」
博士「そこから先は、私が直接説明させてもらうよ」(言ってからゆっくり登場)
友 「岡崎教授!」
ヒ 「……何しに、来たんですか」
博士「ははは、今言ったばかりじゃないか。君が暴露してくれようとしたことを、私が直に説明しようと言っているのだ」
友 「暴露って……」
博士「表向きは人工知能の研究をしながら、裏では、人間の脳を直接手術し、その人間の能力を引き上げる技術を秘密研究している――その事実を、教えに来てやったのだよ」
主 「脳を……手術?」
ラ 「ロボトミー手術、ってことか……? でも、あれは、日本じゃもうほぼ禁止されてるはず……」
博士「ロボトミーか、ふん、下らん。そんな低俗なモノと私の研究を一緒にしないでくれたまえ。私の研究の目的は、もっと崇高なものなのだよ」
友 「脳を弄り回す研究のどこが崇高だって言うのよ!」
博士「ハハハ、あまり私の研究を悪く言わないほうが良いのではないかね?」
友 「なんでよ! 確かに私は頭が良いほうじゃないけど、そんな研究に頼ったりなんて」
博士「そこに!」
(ヒロインを指差す。ヒロイン、つらそうにしてる)
博士「そこに、実際に我々の研究に頼った者が居るんだからねぇ?」
ラ 「ヒロイン!? ほ、本当、なのか……?」
(ヒロイン、うなずく)
友 「なんで、どうしてそんな悪役に協力するようなことを……」
ヒ 「……ごめん。ごめんね」
博士「驚いたかね? 信じていた筈の仲間が、最も信頼するべきであるヒロインが、我々悪役の手中に既に下っていた気分は、どんなものだね?」
友 「なっ……べ、別にヒロインちゃんはそんな……」
博士「そう言っていられるのは、今の内だけだろう。その内、ヒロイン君を信じられなくなるどころか、ライバル君も、主人公君も、誰もお互いを信じられなくなり、物語を進行させることなど、できなくなる。そうなったら……」
ラ 「……そうなったら、お前らの思うツボ、とでも言いたいのか」
博士「いいや、そうなったら、我々の本当の出番と言うつもりだよ。君たちの個人的感情だらけの下らないお涙頂戴ストーリーを打ち壊した、その後はな!」
友 「ストーリーを……打ち壊す……?」
博士「そうだ。決まりきった友情と努力の古臭い物語の形を破壊し、本当に素晴らしい、合理的な物語の世界を築き上げる。それが、我々の役目だ」
ラ 「お前らみたいな小者連中に、そんな大それたこと、できっこねぇよ」
博士「ふっはっは。だと言うのならば、悪役に助けを求めるようなヒロインの居る君たちにも、きっと物語を救うことなど、できる訳がなかろう」
友 「ヒ、ヒロインちゃんは今はちゃんと私達の味方よ! 一度手術したからって、何でも上手く行くと思わないでよね!」
博士「ふっ、うるさいモブキャラは放っておいて、そろそろ本題に入ろうじゃないか。――なぁ、ヒロイン君。もう一度我々の手術を受けないかね?」
友 「何言ってるのよ! 言ってるでしょ! ヒロインちゃんがアンタ達の言うことなんて聞く訳ないんだから!」
博士「それは、君の意見だろう? 私は、ヒロイン君の意見を聞いているのだ。……どうせ一度我々に下った以上、もうヒロインを完遂することなどできない。だから、もういっそのこと我々の味方になってしまった方がいいのではないかね?」
ヒ 「私、私は……」
友 「ヒロインちゃん! ダメだって、そんなの! 悪役になっちゃうなんて……」
(主人公、迷ってから、ヒロインの前に立って、博士との間を遮る動作)
博士「おや、なんだね?」
主 「……なんか、主人公とか、ヒロインとか、俺はまだよくわかんねぇけど……でも、一人の友達として、ヒロインをそっち側に行かせるのは、なんかダメな気がする」
ヒ 「主人公、君……」
友 「そうよ! 主人公君、もっと言ってあげて!」
主 「……ヒロイン」
ヒ 「主人公君、私がさ」
主 「え?」
ヒ 「私が、なんで手術を受けたか、解る?」
主 「い、いや……ごめん」
ヒ 「あはは、だよね。まだ、知り合ったばかりだもん、仕方ないよね。……あのね、私、ヒロインになりたかったの」
友 「ヒロインちゃん、その話は!」
ヒ 「いいの」
主 「なりたかったって……ヒロインは、ずっとヒロインだったんじゃ……」
ヒ 「私ね。つい最近までは何人も居るモブの中の一人だったの。今日のお昼、言ったよね。昔は授業ぜんぜんわからなくて、寝てばかりだったって。あの頃のこと」
主 「そこからヒロインになるために……それで手術を受けたっていうのか?」
ヒ 「うん。だって、私、何もできなかったんだよ? 勉強も、運動も、人と話すのも苦手だった。そんな私がヒロインになれる、普通だったら絶対にあり得ない」
主 「……でも、悪役に手貸したりしたら、ヒロインなんて……」
ヒ 「なれたじゃない! 私、ヒロインになれた! なにかヒロインとして足りないこと、今までした? したなら直すから教えて! 私がヒロインじゃないって言うなら、その証拠を見せてよ!」
ヒ 「手術の後は、勉強が楽しくなって、自信が持てたから、明るくなれて……これなら私、ヒロインになれるって。直ぐじゃなくても、いつかヒロインになれるかもしれないって、そう思えた。それで、本当にヒロインになれて、私、凄く嬉しかったの! 最初の物語は失敗しちゃったけど、それでも今度も頑張ろうって思えた。どうにか主人公君にヒーローになって欲しいって思って、頑張った! ……でも、私にヒロインなんて、できなかったみたい」
主 「違う! そんなことは……!」
ヒ 「……ごめんね、怒鳴ったりして。逆ギレ、だよね。ごめん。これも、ヒロイン失格だ」
主 「……違う、そんな、こと……」
ヒ 「だから、もう、いいの。私はこのまま手術を受けて、悪役の一味になって。それを、主人公君たちがやっつけてくれたら――そしたら、それがきっと、ハッピーエンド」
(ヒロイン、博士の方へ歩き出す)
主 「ヒロイン!!」
ヒ 「来ないで!」
(博士、黒服へ合図。言葉でもいいし、顎で軽く、とかでもいい)
(黒服、主人公たちを取り押さえる)
友 「ちょっと! 離しなさいよ!」
ラ 「くっ……なんだ、この力は……!」
博士「ふはは、我々の研究は、脳以外でも人体の力の限界を引き出すことができるのだよ。生身の人間である君たちに、叶う筈がない!」
主 「主人公が……主人公が、ドーピングするような連中に負けてたまるかよ!」
ヒ 「主人公君、ダメ!」
(主、黒服を振り払うが、すぐに再拘束される。地面に抑えつける感じだといい)
主 「クッ、畜生……ッ!」
ヒ 「やめて、もう、私なんかのために、頑張らないで……!」(独り言みたいな)
博士「……やれ、お前ら」
(ヒロイン連れていかれる。他の三人、注射器みたいなのを首に刺されて眠る。暗転)
一旦閉幕、数秒で開幕、夜っぽく明転
ラ 「(飛び起きる)……ッ! おい! 友、主人公! 起きろ!」
友 「ん……? あっ、大変! 早く、ヒロインちゃんを助けに行かなきゃ!」
ラ 「(時計を見て)幸い、まだ時間はそんなに経ってないみたいだ。ほら主人公! 行くぞ!」
主 「あ、あぁ……」
シーン9 友、ライバルが先に行く形で走って下手登場的な。途中で立ち位置変更必要
主 「な、なぁ、待ってくれよ」
ラ 「どうした! 時間がないんだ、忘れ物だったら後で……」
主 「そうじゃなくて、俺達が行く必要、あるのか?」
ラ 「はぁ? お前、何言ってんだよ! 俺達が今行かなきゃ、ヒロインは脳を弄られちま
うんだぞ!」
主 「だからさ、そんなことが起こるくらいなら、学校とか、警察に言えば……」
ラ 「……ここは、物語の世界だ。学校や警察に言ってなんとかなるような世界じゃ、ないんだよ」(短くできる)
主 「で、でもどっちにしろ、今俺たちが行っても、意味ないんじゃないか? やつ等は肉体改造までされてて、それに数でも負けてるんだぞ?」
ラ 「主人公、何が言いたいんだ」
主 「だから、その……今俺たちが研究室に行っても、何もできない、って」
ラ 「てめぇ!(胸倉を掴む)」
友 「やめて! こんなとこで私たちが争ってどうするのよ!」
ラ 「こいつが、主人公のクセに簡単に諦めようと……」
主 「無理なんだよ!(ライバル振り払う)」
主 「……最初から、無理だったんだ! やっぱり俺には、主人公なんてできない。脳の改造? 秘密研究? そんなん現実にある訳ねぇだろ! あったとしても、普通の何者でもない人間がそんなことに関わる理由なんてない、そうだろ? ……だから、無理なんだよ。主人公なんてやるのも、奴らを倒してハッピーエンドにするのも、俺には無理なんだよ!」
友 「で、でも! さっき自分のこと、ちゃんと主人公って……」
主 「それでも! ダメだったじゃねぇか! 俺だって、ちょっとは主人公やってみようかな、とは思ったよ! でもなんだよ! 主人公になったからって、アイツらにすぐ勝てるようになる訳じゃない! 元がダメなら、どんなに頑張ったって主人公になんてなれっこないんだよ! ……大体、ヒロインだって言ってたじゃねぇか。もう頑張ろうとなんてしないでくれ、ってさ」
ラ 「……お前、それ本気で言ってるのか?」
主 「冗談だ、っつったら、信じるのかよ」
(主とラ、睨み合う。友、心配そうに見る)
ラ 「……今のこいつに、俺が何を言っても無駄だ。それよりも友、急ぐぞ。こんな奴に構ってる暇はない」
友 「でも、ライバル君……」
ラ 「いいから。行くぞ。……今は、な」
(友、ラ退場。友は主にちょっと振り返る)
主 「……はは、やっぱり、こうなるよな。俺みたいな中途半端なヤツが頑張ろうとしたって、他人に迷惑かけるだけだ。今も……あのときも」
旧主「まるで僕みたいなことを言うんですね、あなたは」
主 「お、お前は! 何で突然こんなところに……っていうか僕みたいな、って……」
旧主「こちらの話ですよ。で、何で突然こんなところに、の方ですが、そうですね。このタイミングくらいでしか、出る場面がないから、でしょうかね」
主 「は、はぁ?」
旧主「私は既に一度物語から離脱した人間ですから。直接物語に関わることはできないんです」
主 「……つまり今俺と話してるってことは、俺も直接物語に関わってない、ってことか」
旧主「まぁ、有り体に言えば。きっと物語を見ている人は、今頃ライバル君と友人さん……友さんが博士の研究室で奮闘する様子を見ている筈です。……多分、ですけど」
主 「そっか、俺、主人公じゃなくなったんだな」
旧主「それはどうでしょうね。さて、そろそろ本題に入りますか」
主 「……勝手にしろよ。俺もお前も、もう物語とは関係ないんだから」
旧主「ライバルと友さん、博士たちに勝てると思います?」
主 「さぁな。やろうと思えば出来るんじゃねぇの」
旧主「思ってませんね。あなたは、彼らが負けると思っています」
主 「どっちだっていいんだよ、もう」
旧主「もう自分には関係ないから……ですか?」
主 「……」
旧主「貴方の考えている通り、ライバル君と友さんだけで博士たちに敵うことは、有り得ません。こんなことを言っていいのかはわかりませんけど」
主 「俺が行けば勝てる、とでも言うのか?」
旧主「当然、それはまだわかりません。物語にはバッドエンドが有り得るんですから。しかし、主人公が関わりを絶ったままハッピーエンド、なんて物語はそうそうないでしょう」
主 「俺が行ったって負けるかもしれないけど、行かなきゃ絶対負ける。そう言いたいのか」
旧主「えぇ。物語には目に見えないルールがある、ということですね。で、どうです? こう言ったら、少しは行きたいと思えますか? それとも、この物語を捨てて、主人公なんて辞めて、モブキャラとして誰かが掴んでくれるかもしれないハッピーエンドを待ち続けますか?」
主 「……決められる訳、ないだろ」
旧主「おや、意外ですね。どちらにせよ即決すると思ってましたが」
主 「俺だって! 俺が活躍して、それで皆が幸せになれるんなら、そうしてぇよ! 主人公でもないのにガムシャラになって、仲間を、物語を救おうとしてるあいつ等を見捨てることなんて、できねぇよ! でも! 逃げちまうんだよ! 逃げちまったんだよ、俺は!」
旧主「おや、知らないんですか」
主 「……何をだよ」
旧主「主人公っていうのは、何回負けても、何回逃げても、物語に立ち続けることができる役のことなんですよ」
(旧主、幕中央の切れ目に手を突っ込み、裏方が渡した木刀を取り出す。)
主 「……それ、は」
旧主「やっぱり主人公には、かっこいい武器が必要ですよね」
(主、旧主から木刀を受け取り、握りしめる)
旧主「さぁ、ここまでさせたんだから、やっぱり辞める、なんてのはもう無しですよ」
主 「……逃げても、また戻るよ。だって俺は、しゅじ……」
旧主「それ以上は、僕に言う台詞じゃありませんよ。それじゃあ、いってらっしゃい。健闘を祈ります」
(主、強くうなずき、走って上手退場)
旧主「まったく、手間のかかる主人公さんですね……主人公にぴったりなくらいに、ね」
シーン10(研究室、悪役と同モブ、ラと友)
(ラと友、圧倒されてる感じ。悪役たちがそれに立ちはだかってる感じで迫力出して)
ラ 「くっそ……もう、限界か……」
友 「ごめんね、私がもっと戦えれば、強ければ……」
博士「はーっはっは! モブキャラごときが主人公の力なしに悪を滅ぼそうなど、最初から荷が重かったのだよ!」
ラ 「へっ……何言ってんだよ。こんなん、アイツの主人公って荷物に比べたら、軽すぎるんだよ!」
友 「そうよ! 主人公がちょっと抜けたからって簡単に諦めちゃったら、主人公君に合わせる顔がないの!」
(ラと友、立ち上がって敵へ向かっていく)
博士「無駄だと言っているだろう! 貴様らごときが何度かかってこようがなぁ!」
(悪モブ、軽々とラと友を跳ね返す)
博士「主人公ですらなく、特別な力を一つとして持たぬ貴様らには、何一つできはしない! そろそろ諦めた方が、楽になれると、まだ解らんのかね?」
ラ 「……まだ解ってないのは、お前らの方じゃねぇか? 確かに、俺達二人だけじゃお前らを倒すことはできないかもしれない。でも、何一つできないってのは、間違ってるぜ」
友 「そうよ、私達にだって、できることはある!」
博士「はっ、何を言っておる! 主人公に逃げられたお前らに、このままバッドエンドを待つことしかできないお前らに、何ができると言うのだ!」
友 「……主人公君は、必ず戻ってくる。だから」
ラ 「それまでかっこ悪く、時間稼ぎだよ!」
(友とラ、また立ち上がって敵へ。しかしあっさりと、今度は捕まる)
(ラと友を捕まえてる敵の背中より後ろが幕に隠れてる)
博士「はーっはっは! これで解ったかね? 圧倒的な力を前にして、やる気だとか友情だとか、そんな物は通用しないのだよ! 最後に勝つのは、優れた知能と優れた肉体を持つ者! 精神論でこの世をなんとかしようなど、諦めることだなぁ!」
(敵、うめき声を上げて倒れる。解放された二人が振り返り、キターみたいな顔)
主 「そんなこと、ねぇよ」
ラ 「主人公!」
友 「主人公君!」
主 「時間稼ぎ、ありがとな。お陰で、かっこいい登場ができた」
博士「……ふん、随分遅い登場だなぁ? バッドエンドを見送る覚悟はできたか?」
主 「させねぇよ。お前の思うバッドエンドになんかな」
博士「主人公になれないと自覚していた貴様が、ころころと態度を変える貴様が、我々の何年間も積み上げてきた野望をそう簡単に打ち崩せるなんて、思い上がりでないかね?」
主 「確かに、俺は主人公なんて、なれねぇよ。弱くて、臆病で、かっこ悪くて……絶望からハッピーエンドを生み出すような、希望を与えるような主人公になんて、なれない」
ラ 「……お前、まだそんなこと……」
主 「でもなぁ! ちょっとでも物語動かすくらいなら、クソつまんねぇバッドエンドをぶち壊すくらいなら、できるって言ってんだよ!!」
博士「面白い、やれるものならやってみるがいい!」
(下っ端、一気に襲撃。主人公が木刀で無双)
博士「くっ! 武器を得たくらいで、調子に乗りおって……!」
(博士、逃亡)
主 「友、ライバル! お前らはここでこいつらが起き上がらないように見張っといてくれ! ここから先は…………俺のシーンだ」
ラ 「頼んだぞ、主人公」
主 「……なんか、そう呼ばれるのは、やっぱりまだ照れるな」
友 「なに言ってんのよ! 主人公君以上に、主人公が似合う人なんていないよ!」
ラ 「ほら、もう一人お前を主人公って呼びたい筈の奴が、向こうで待ってるぞ」
主 「わかってるよ」
(主、気障に手を振って退場)
幕閉じ、大道具を一気に撤去。
ベッドを出してヒロインを寝かせる。
背景は暗幕を一気に張るとかできるかな?
照明は赤め、暗めにすると最終ステージっぽいかな。
どう考えても大道具大転換タイムアタック。
博士「貴様、いくら私が一人だとはいえ、お友達と一緒じゃなくともいいのか?」
主 「主人公と悪のボス、一対一の決闘なんて、最高に燃えるシーン、だろ?」
博士「ふん、下らないことを……尤も、たとえ無力なガキどもが何人束になってかかってこようと、私の、私自身のための研究の成果に叶う筈ないがなァ!」(襲い掛かる)
(殺陣に関しては言及不可。殺陣中のセリフだけ)
博士「フハハ、どうだね? これが、人体の真の力だ! 私は、何をしてもこの研究を完成させ、私自身を完全なる人間として、世に認めさせるのだ!」
主 「てめぇでてめぇのために他人の身体を実験台にするような奴に、完全なんて言葉ありえねぇんだよ!」
博士「その威勢の良い台詞、いつまで言ってられるかなぁ!」
(この辺で主人公劣勢になる)
博士「どうだね? 威勢がいいだけでは、やろうと思っただけでは越えられない壁があるということをそろそろ認めたまえ!」
主 「……なぁ、知ってるか?」
博士「まだ何かほざくか!(この辺りで主人公側に寄ってヒロインのベッドに背を向けてる)」
(ヒロイン、起き上がる)
主 「SFのヒロインってな……自分でも戦える、らしいぜ」
(ヒロイン後ろから博士を奇襲。主が胴抜きor腹パンしてフラッシュアウト)
シーン13 幕前。旧主人公にスポットのみ。旧主人公は本を持ってる。
裏側で半分だけ学校の背景にする。ゲ―トを真ん中に置く。
旧主「めでたし、めでたし……と。そんな風に書いてある物語なんて、今時中々ないでしょうが、まぁ書いてあるとしましょう。――それとも、何かご期待されてましたか? 例えば、実は博士の一度目の実験が失敗していて、ヒロインは自らの努力のみでヒロインになっていたとか。或いはその後主人公が物語の世界に残り、今回のように頼れる仲間達と共に数え切れない程の新たな困難を乗り越えて行くとか。そういう、エクストラストーリーを。実は、私自身もそういうのが大好きでね。ですからこそ、大変お心苦しいのですが、こう言わざるを得ません。『そんなこと、書いていない』とね。尤も、傍観なさっていた皆さま自身がそういうことをご想像なさるのは、自由です。でも実際、この物語に、この物語としての続きや裏話は、もう書かれていないのです。非常に、残念ではありますが…………」
(幕裏で)
友 「やった、かんせ~~~~い!」
ヒ 「明日、楽しみだね! ……何人、このゲートをくぐってくれるのかなぁ」
友 「いっぱいだよ、いっぱい!」
ラ 「まぁ……俺も、シフトが空いてるときに客として来てやってもいいぞ」
主 「お前、また来たのか……案外暇だなぁ」
旧主「おぉっと、しまった……独り占めしようと思ったんですが……仕方ない。皆さまのご声援にお応えして、ハッピーエンドのラストシーン、お届けさせていただきましょう」
(幕教室側半分開く。主、ヒ、友、ラが集まってる)
主 「で、このゲートは入口にもう運んでいいのか?」
ヒ 「うん、大きな荷物はもう出入りしない筈だから」
主 「よし、じゃあ運んどくよ(近づいて持ち上げようとする。ゲートが光る)」
友 「あれ、電気ついちゃった?」
ヒ 「……で、でもこんなに光る筈……っていうか、向こう側が全く見えなくて……」
主 「これ、もしかして……向こうの世界に繋がる扉、なんじゃ」
友 「えっ、でも、私達が作ったものが、そんな……」
ラ 「今更、何が起きても不思議じゃねぇだろ」
友 「そう、だけど……」
ヒ 「――主人公君、帰っちゃうの?」
友 「そ、そんなのダメだよ! だって、明日は折角の文化祭で、岡崎教授を倒した後、皆で協力してきたのに……今帰っちゃうなんて、そんなのヤダ!」
ラ 「やめろ、友。元々、主人公は向こうの世界の人間なんだ」
友 「でも、でも……!」
(この間、主人公は辛そうに悩んでてください)
主 「――俺は、行くよ。ヒーローってさ、なんか成し遂げたら、すぐ姿を消さないと」
ヒ 「じゃあ、せめてさ。……私達の名前、聞いてってよ。ヒロインとかじゃなくて、ちゃんと名前で、私達を思い出して」
友 「あ、それいいね! まずねぇ、私の名前はー……」
主 「やめとくよ。今は、聞かないでおく」
ヒ 「……でも、私達友達なんだよ? 役割なんかじゃなくて……」
主 「今は、って言っただろ。――いつかさ、また会おう。いつかまた会って、友達になろう。そしたらそのときに、もう一度、教えてくれ」
ラ 「全く、自分は主人公になれないなんて騒いでた奴とは思えないくらい、気障な台詞だな」
主 「うるせぇよ。じゃあな、ほんのちょっとのお別れだ」
友 「うん、約束だからね。ほんのちょっと! 出来れば、文化祭にも来てね!」
ラ 「それは早すぎると思うが……まぁ、あんまり待たせるのは、ヒーローらしくねぇからな」
ヒ 「……じゃあね、主人公君」
(ドア 主 他三人 みたいな配置になっとく)
主 「あぁ、楽しかったよ。さよなら」
(主人公、ドアをくぐって幕向こうへ。幕閉じて、主人公側ちょっと開ける。主人公名残惜
しむようにドアの方を振り返るも、すぐに歩き始める)
ヒ 「主人公くーーーーん!」
(主人公『えっ?』みたいな感じで立ち止まる)
ヒ 「私をヒロインにしてくれて、ありがとーー!!」
(主、ドアの向こう側に駈け出そうとするが止める。拳を握りしめて)
主 「――こちらこそ。俺を主人公にしてくれて――――ありがとう」
END