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酸っぱい葡萄~メアリとブルーベリーパイ

作者:

 メアリは、小さな女の子。狐のような黄色みの強いブロンドが自慢のおませさんです。メアリは、可愛くて堪らないと顔をくしゃくしゃにして甘やかす大人たちが周りにいっぱいいます。メアリはいつも、ふっくらした頬を桜色に染めながらわがままをいっぱい叶えてもらい毎日すくすくと育っていました。ある日のことです。メアリをとびきり可愛がり、いつも優しく接してくれるフレッドおばさんと、チャーリーおじさんが、メアリに言い含めるようにお願いごとをしました。そのお願いごととは、メアリが大嫌いな、真っ白なでぶねこプーリーを夕方まで預かっていてくれないか?というお願いだったのです。メアリは、愕然としました。そんなの嫌に決まってます!真っ白なでぶねこプーリーは、メアリとそっくり似たものどうしの性格をしていて、メアリのいうことをちっとも聞かないでぶねこプーリーだからです。思わずふくれっ面をしたメアリに向かってチャーリーおじさんは、おやおやという顔をして、メアリの頬をつつくと言いました。


「メアリも、もう立派なお姉ちゃんだ。妹分のプーリー頼むよ この通り。帰ってきたら、メアリの好きな髪留めをかってきてあげよう。気になってたろう?」


 メアリは、こくんと頷きました。確かにメアリは、プーリーよりはお姉ちゃんです。それに夕方まで頑張ればご褒美も待ってます。メアリは、頑張れそうな気がしてきました。


 フレッドおばさんとチャーリーおじさんに手を振って、メアリは、真っ白なでぶねこプーリーとにらみ合う体制です。メアリたちの様子を盗み見ながらブルーベリーパイを台所で作っているお母さんが笑いました。


「ふふ。おかしなこと」


 小さな声でひとりごとまで漏らします。


 メアリは、真っ白なでぶねこプーリーをなんとか、メアリの魅力でメロメロにしようと頑張りましたが、今のところ難しく、でぶねこプーリーの食欲に困らせられていました。プーリーは、おやつの戸棚の場所を熟知していて、あらゆる方法で戸をあけ、おやつを盗み食いしようとするのです。


 格闘は、1時間ほど続いたでしょうか?いよいよメアリがつかれきった頃に、ブルーベリーパイの良い香りが漂ってきました。お腹がぺこぺこのメアリは、気になって気になって仕方在りません。お母さんがパイをとりだしお皿に取り上げて、ラップをするとそっとカウンターに置きました。お庭のお花を摘みにいったのでしょう。お母さんがいなくなったキッチン。メアリの大好物なブルーベリーパイ。メアリは、我慢出来ずに、届かないカウンターへと手を伸ばしぴょんぴょんととびあがりました。あと少しでお皿に触れるとその時、ニャアーア。という鳴き声がしました。びっくりしたメアリが振り返った先には、ニヤニヤと勝ち誇った笑みを浮かべるでぶねこプーリー(メアリの目にはそう見えます)の姿。とたん、メアリは、伸ばしていた手を後ろ手で組むと真っ赤な顔をして


「む。ど、どうせ、きっと、酸っぱいブルーベリーに違いないわ。」


 と、言いました。



 **


 メアリは、その日、貰った大切な髪留めを真っ白なでぶねこプーリーにちょっとの時間だけつけてあげました。秘密の共犯者に黙っていて貰うためなつもりで。(プーリーは嫌そうでしたけれど)

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