1話
のんびり書いていきます。
「う~ん・・・困ったわね。誤算だわ。」
濡れた赤髪をゴシゴシとタオルで拭きながら女戦士は呟く。
「もぉ~、ヘルガさんがちょっとくらいなら大丈夫って言うからですよぉ。」
「ソフィー、あんただって嬉しそうに泳いでたじゃない?」
「うぅ・・・そうですけどぉ。」
ソフィーと呼ばれた少女は、やはり濡れた金髪をタオルで乾かしながら、恨めし気な目を戦士に向ける。
久しぶりに暖かく陽気が良い日だった。町へ向かって進んでいたのだが、暖かく感じ活発になるのは人間だけではないようだ。モンスターと鉢合わせし、なんとか勝利した一行だったが、その戦闘で死者がでてしまった。すぐに神官であるソフィーは死者蘇生の魔法を唱えたのだが、50%の成功率のこの魔法、1度目の詠唱で失敗し、2度目の詠唱でも失敗してしまった。そんな事もあるよねと、皆と笑いながら唱えた3度目、これも失敗し、辺りに不穏な空気が流れる中で唱えた4度目、見事に失敗し終えたところで、ソフィーのマジックポイントは尽きてしまった。町へはまだ距離があるし、すこし休んでからもう一度唱えようと休憩に入った。なにせ4度も失敗し暗い表情で責任を感じているソフィーの気を紛らわす必要があった。
「4度唱えても生き返らないなんて、ディルクったらどんだけサボっていたいのよ~。」
場を和ませようと軽口を叩くヘルガ。
「あいつは本当に運がないよ。ディルクがリーダーで大丈夫か?って未だに思ってるよ、俺。」
「ヴァレリー、あんたがリーダーだったとしても、私もそう思ってるわよ。」
「なんだよ、それ。俺の天才的な魔法にかかれば大抵の事はクリアできるぜ?」
普段と変わらない二人のやりとりを見て、ソフィーの表情も少し緩んだようだ。
「さて、それじゃぁ俺は昼寝させてもらうわ。昨日寝不足でさ。」
言うが早いか、横になり、スゥスゥと寝息を立て始めるヴァレリー。
「その眠りの速さでよく寝不足だなんて言えるわよね。」
「ふふふ、本当ですねぇ。」
「さぁ、ソフィー。あの小川で水浴びしましょう。そして貴方も少し休みなさい。身体も気分もリフレッシュして、ディルクを起こしてあげなきゃね?」
「えぇそうですね。」
水浴びを終え、横になる二人。暖かな陽気はすぐに二人を睡眠の世界へ誘った。
誤算だったのは、そこからさらに気温はあがり、3人が深い睡眠へ入りこんでしまった事だった。
「ど、どうしましょう?ヘルガさん?」
「う~ん、こんなパターンもあるのね・・・」
「するなら早い方がいいですよね?」
「それはそうなんだけど、なんか躊躇させるものがあるわよね・・・」
「急がないとますます進んじゃいません?」
クンクンと鼻を鳴らす二人。
「う~ん、よく寝たぁ。悪い悪い、ぐっすり寝ちゃってたわぁ。で、どうかしたのか?」
「おはよう、ヴァレリー。随分遅いお目覚めじゃない?」
「ヴァ、ヴァレリーさん。これどうしましょう?」
「これって?ディルクに何かあったのか?」
微動だにせず仰向けに倒れてる姿に目を移すヴァレリー。
「って、えぇえええええ!!!やばいじゃん?」
「やっぱそうなるわよね?」
「うぅ・・・どうしましょう・・・」
「腐りかけてるよな?ディルク?」
「えぇ。思わぬ誤算ってやつね。この気温舐めてたわ。」
「いやいやいやいや、お前らちょっと休んで、マジックポイント回復したら蘇生呪文するって言ってたじゃん?」
「ごめんなさぁい。寝ちゃってましたぁ。。。。」
「な、泣くなソフィー。俺なんて起きたの今だしな。」
「誰が悪いってわけじゃないわ。」
「なんでお前はそんな冷静なんだよ・・・」
「このまま復活したら腐敗も治ってるんでしょうか?」
「どうなんだろう、しかしこのまま放置もよくないだろうな。今話してる間にも進行してるわけだし。」
しばしの間無言になる一行。それぞれの視線が合い、ソフィーは軽く頷き詠唱を開始した。