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正直だけであること

作者: ワールウール

この作品は、嘘をついてもいいということを述べているわけではありません。

「さて、何故ここに連行されたか解るかな?」


「いいや、全くわからないね」

「というかいきなりなんなんだよ」

「悪いことなんてしたことねえぞ」


「とはいっても、君は多くの人から恨まれているんだ」

「そのせいで私達が動かなくてはならなくなったんだ」

「心当たりはあるんじゃないかな」


「あるわけないだろふざけんな」

「説明もないってのにいきなり連行されてさぁ」

「そもそもの話が見えて来ないね」

「後ろに立っているお兄さんがたもなんかやばい感じ出してるし」


「その人たちはもしもに備えて必要なんだよ」

「しかし本当にわからないのかい?」

「連れてきたときに言ったはずだろう?」


「皆目検討もつかないね」

「そもそも俺がそんなことをするわけないじゃないか」

「俺は正直者で通っているんだぜ?」

「というかなんなんですかねその態度は」

「上から見下そうとする気持ちが見え見えじゃねぇか」

「ふざけるのも大概にしやがれ」


「・・・なるほど」

「確かにあなたは正直者で間違いないね」

「あなたを恨む人達の言ったように」

「本心を隠そうとする気持ちが一切無いみたいだ」

「例え相手が誰であろうとね」


「おーおー分かってくれてどうも」

「分かったならさっさと家に返してくれない?」

「この通り、俺は人を騙すことなんかしない正直者だし」

「恨まれる理由があるわけ無いじゃん」

「俺が恨まれてるのは全部嘘なんじゃないの?」

「こうやって話してよーく分かったことだろう?」

「俺は嘘をつくことがない」

「もし心当たりがあるならちゃんと言っているさ」


「そうだね」

「君は確かに嘘をつかないのだろう」

「いや、本音しか言わないと言ったほうが正しいのかな」

「いやはや、いまどきこんな子が存在するなんてねぇ」

「びっくりだよ」


「そうかい?」

「本音を言わなくなったらそれはもう人間として成り立たなくなると思うが」

「・・・いや、そんなことはどうでもいい」

「こっちも予定があるんだから早く帰らせろよ」


「いや?そんなことはできないよ?」


「はぁ?」


「この短い間でもよーく君のことがわかったよ」

「そして、この話にはどこにも嘘というものが存在しない」

「誰もが正しいのだろうね」


「何言ってんだよテメェ!」


「わからないか」

「やはりとでも言っておこうかな」


「何がやっぱりだ!」

「調子こいてんじゃねえぞ!」


「君は名誉棄損で逮捕だ」


「なっ・・・」


「本音を言い続けてきたのだろう?」


「本音を言って何が悪い!」


「悪い」

「例え本音だとしても言ってはいけないことがある」


「どうしてだ!」


「傷つくからさ」

「確かに嘘をつかないことはいいことだろう」

「だけど、人を傷つけたらそれは悪いことだ」

「それが社会というものだからね」


「ならばてめえも俺を傷つけた!」

「てめえも同罪だ!」


「ははは」

「悪あがきもよしてくれよ」

「というよりもだ」

「別にいいじゃないか」

「嘘なんか何一つ言ってないんだから」


「ぐっ・・・」


「正直者であるために必要なのは沈黙さ」

「嘘をつくことができないならそもそも言わなければいい」

「勉強になっただろう?」

「さぁ、連れていきなさい」


「「はい」」


「待ちやがれ!」

「チクショウ!」

「俺に触るんじゃねぇ!」


「悪あがきはよしてくれと言ったじゃないか」

「醜く見えるよ」

「すっぱり諦めたほうがいいんじゃないかな?」

「チンピラもどきの愚か者さん」


「そんな暴言はいていいのかよ!」


「暴言なんて酷いなぁ」

「君もやってきたことじゃないか」

「それとも何?」

「まだ気づいていないのかね」

「さっきも言ったじゃないか」


『私は本音を言っただけで、嘘なんか何一つ言ってない』


「そういうことだ」

「じゃあさようなら」

「まあ頑張ってね」

「数年すれば出られるかもしれないから」

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