ファルコ・ネーロ、出動
クッソ適当に、わずか数時間で書き上げた
「回せーッ‼︎」
出動要請が出て、熱気が噴きあげる滑走路に赴いたファルコを出迎えたのは、めいいっぱいに翼を広げた彼の愛機。全身を真っ黒に塗装され、両翼に白いストライプを施した、純正漂流機の、キ43 一式戦闘機〈隼〉。
と、丸々と太った整備士、「子豚」というアダ名の青年と、その弟のマルコだった。
「ファルコさん、今日も絶好調ですぜ、コイツ」
「みたいだな。何時もより肌にツヤが出てるし、いい音だ」
ポルチェニーノはハハハと軽快に笑った。色んな意味でハリのある身体が、それに合わせて軽く揺れた。
「じゃ、ファルコさん、いつでもどうぞ」
そう言うと、ポルチェニーノは、車輪止めを回収する時を待つために、主脚の方へ小走りして行った。
ファルコはル機体に額を当てて、瞳を閉じて深呼吸した。
「相棒、今日も頼むぜ」
そう愛機に優しく語り掛けると、ポンと軽くひと叩きし、翼の付け根を登って、操縦席に飛び乗った。
九割以上の起動に必要な作業は、整備士であるポルチェニーノとマルコがやってくれているため、ごく細部の点検を軽く済ませると、発動機の回転数を上げ、機外のマルコ経由でポルチェニーノに合図し、車輪止めを回収させる。
ゆっくりと機体は動き始め、ファルコはポルチェニーノとマルコにさっと手を挙げ、感謝の意を示した。ポルチェニーノとマルコも手を挙げてそれに答礼した。
発動機の轟音は徐々に大きくなって行き、機体の速度も、離陸せんと徐々に速くなって行く。
離陸するのに十分な速度に達すると、ファルコはググッと操縦桿を引き、機首を上げる。それに伴って機体は宙に浮き始め、徐々に車輪が地から離れて行き、そして完全に宙に浮いた。ファルコはそれに合わせて更に操縦桿を引き、どんどん高度を上げて行く。
高度を上げて行く内に、どんどん飛行場が小さくなり、とうとう遠くに小さく見える程度になった。
漆黒の隼は、アレッサンドロ海の空に飛翔したのである。
「さて、間に合ってくれよ〜! 馬じゃなくて隼に跨った騎士が今行きますよぉ〜!」
隼に跨った騎士は、ただ一直線に、ピッコロ商会商船の方角、南南東へ向かった。
いやぁ〜、楽だ
バカみたいに複雑な始動の工程を、整備士を登場させることによって、ものの一瞬で終わらせることが出来る
怠惰だが、楽だ!
その怠惰の結果が、こんなクソみたいな、あまりミリタリー沼に浸かってない輩が書くミリタリー・アクションもの小説みたいなモンなのだ
恥を知れ! 恥を!
以上