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プロローグ

肌を突き刺すような寒さで目を覚ました。


寒い。


吐く息は白く、自然と体はブルブルと震える。自分の体を抱くような体勢になり、少しでも寒さに耐える。こんな寒さなのに今の僕の格好はボロボロの服を上下1枚着ているだけ。


周りを見ると僕と同じような男たちで部屋は溢れかえっている。


部屋と言ってもここは暗い洞窟の奥の奥、地面は土で目の前には鉄格子がはまっていて、僕たちのような人間が逃げ出さないよう

なっている。


もっとも、今さら逃げ出すような人がここにいるのかは分からない。ここにいる時点でもう何もかも終わっている。


ズクリと背中が痛み出す。ここに来た初日に焼き印をつけられた箇所だ。つけられてから1年も経ち、焼きごての型通りの火傷痕になっているのにいまだに夜になると痛みだす。まるでこの恨みを忘れさせないかのように。


「ぐぅ、うぅぅ・・・・・・」


歯を食い縛り、痛みに耐える。ここに来てから1年、夜はこうしてうなされる。


そして思い出されるあの日の記憶。


焼かれた城、目の前で殺された兵士、味方だと思っていた者の裏切り、そして絶望の言葉。


『君は勇者でなはい。ただの持たざる者だ。』


あの男の言葉。今でも忘れられない。


ふざけるな。お前たちが勝手によんだんだろ。僕を『この世界』に。


『君はここに来るべきではなかった。』


そんな分かってる。だったらなんでよんだ?なぜ僕だったんだ?

疑問は尽きない。考えても考えても分からない。


『この世界』は『僕の世界』と何も変わらない。悪意に満ち満ちている。


「くそ、・・・くそ・・・」


自然と涙がこぼれる。

どこに行っても僕は悪意にさらされる。


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