表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

幾つの想いを紡ぎ、書きなぐっただろうか。

渡す事も叶わない手紙を。

その枚数は、あと1枚で50枚に到達しようとしていた。


部屋の寒さを感じ、窓から空を見ると真っ白な雪が音も無く降りしきっていた。

今までの想いの粒の様に。



ここ1か月、あの場所には1度も行ってない。

好きだと言えなかった自分自身の不甲斐なさに息が出来なくなりそうだから。

知りたかった名前も、声も、温度も、想像したらきっと泣いてしまうから。



けど、このままじゃいけない気がした。

もし、もしも、彼女に好きな人が居るのだったら、応援したい。

それが、彼女の幸せになるのなら。


素直に導いた決意と、くしゃくしゃになりながらも書きあげた手紙をポケットにしまい、あの場所へ向かう。



外に出ると、雪は小降りになり道を作ってくれている。

自宅から5分程で学校までたどり着く。

桜の木々は自然のイルミネーションみたいに美しく輝き、どの季節でも見る事の無い不思議な光景を描いている。


そんな、葉を付けてない桜の木の下を1歩1歩踏みしめながら歩く。



分かってはいたことだけれど、彼女は居なかった。


僕は初めて、片想いの切なさを知りました。

そして、多分人生で一番泣きました。



一頻り泣いた後、宛名の無い手紙を木の下にそっと置いて背を向ける。


さよなら、名前も知らない君

さよなら、想いを募らせた季節達

さよなら、僕の初恋



じたばたしても、否応なしに季節は廻って来る。

そうやって、いつの間にか季節は一周しまた春がやって来るのだ。


凍てついた僕の心の秒針は、止まったままで。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ