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4  作者: RYO YOC
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ノブナガの歌

 三ヶ月に一回PCの電源が入るネットルームでメールをチェックする。

 あんたさあ、資格取りなよ、戻って来なよ

 コカからのメール。ノブナガは身の回りのものが全て吹っ飛ぶ気分になった、メロン畑もはじけ飛び、服も裂け飛び、急所をさらけだした犬の気分。


思い出すあの日あの時。TaKiRo対策のため国連で決定されジパングでも導入されたエネルギーの一点集中化、開始された居住区域の指定と住民の移動。

コカはシェルターAワーカーになるために資格を取るための訓練に参加すると言った。ノブナガはシェルターDで良いと言った。ジパングの外へも出てみたい、と言った。

 肉体労働にはうんざりすることもあるが学校は嫌いだ、とノブナガは思った。集団で席について授業を受ける、っていうのがまず嫌いだ。

それに資格を取るために勉強するより作曲していたい、という気持ちが一番強い、とノブナガは思った。

だけどコカと共に過ごせる、というのはそれらとは別に求めてる事でもある。

何故かは解らないがコカといると世界を正確に感じられるような気持ちになる、細胞の一つ一つできちんと世界を感じる、時間の流れを肌で感じる、声の伝達が楽しい・・・

 それを恋と言うんだ

 ノブナガは自分に言った。ずいぶん長い間一人の女に恋してる、とノブナガは思った。しかも一度振られてる。


 コカの事を考えながらビールを飲んでいると気持ちよくなっていつしか酔っぱらった。

ノブナガはギターを弾いた。肉体労働で疲れるし、刺激的な夜ばかり過ごしていたので昼間頭で作曲はしてもギターは全く弾いていなかった。貧しい電球明かりの下にはたくさんの人が集まっていた。ノブナガのギターと唄に集まったのだ。


 ノブナガが演奏を終えると、電球のオレンジに染まったまつげでガジャスターは言った。

 解らないけどナチュラルボーン。お前は生まれつきのサムシングだ。なんというか楽しみだ。お前は生まれつき、何か、感じさせることの出来る奴だ。それは、ホープに似てる。ドリームに似てる。

TaKiRo対策のせいで毎日毎日ファッキン重労働だ。でもお前の、それ、何故かノッてくる。ファッキングレート何か、だ。どんな綺麗な場所にだって重力はある。どんな汚い場所でだって重力から自由になる術はある。お前の音楽は、そんなこと、信じさせてくれる。ありがとう。

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