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【詩集】手になじむ詩

わたしはまだ生まれていなかった

作者: につき

15.8.14 校正(8連目)

抗いは

消えない腕の黒子のように

残っている こころの傷跡


従順は

伸びることを止めない爪を

切るべき覚悟の足りなさ


放逐されても繋がっている

虹の立ち昇るように

届かない憧れからの地点


わたしはまだ生まれていなかった

見知らぬ朝に降っていた雨と

やがて湿りけを漂わせた青の空



血管の中を青く赤く流れている

答えのない流れに

汗ばんでいるわたしにとって

かなしみとはなんなのか


わたしに抗い 世間に従い

故郷から放逐されて尚、

流れ出るひとりよがりの言葉たち


もうすっかり姿を見せてしまった

電信柱の影に隠れていた

痩せた猫の親子

必死に鳴いている



無音のなかに

残響 あるいは予兆の響く

透明のなかに

追憶 あるいは予感のごとく

顕れる声なき言葉


朝を待つのではなく

地球の影から抜け落ちて

白に包まれる全き朝を

真空を貫く閃光を


目を閉じて

耳を塞いで

わたしの中からの抜け穴を通って

龍のざわめきの下へ



赤の旋律を追い

白の気配に痺れ

青の空に魂を吸われ


産み落とされた土のかなしみへ

誰もいない川のほとり

流れはこころを運び来て 去って


不確かな道のりに

残してきた足跡たちが

期待ともいえない仄かさで

黄金の野へ導こうとしている


わたしの列へ連なりながら

枝道に迷い

つまづきに迷い

天を見上げて迷っている

お読み頂いてありがとうございます。

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