16歳の誕生日
世界観、勇者等の設定を過去の視点からやってみました。
勇者になって2年の月日が流れた。
オレは16歳になっていた。
誕生日だというのに今日も魔族軍の偵察か・・
手の甲をかざす・・羽を通じて他の場所を偵察している仲間達から、異常がないコトを確認する。
ねぇちゃんの教えてくれた勇者のチカラは便利だな〜
姉はこの2年で勇者のチカラを2点解明していた。
1つは、勇者のチカラ(=達人級)を羽の枚数分、その仲間に貸与することができた。
そしてその仲間と勇者は意思の疎通もできる。
2つ目は、有史以前よりこの世界に存在していた『未踏の領域』を開放するチカラだ。
この世界には結界に覆われ侵入できない領域が無数存在していた。
人々はソレを『未踏の領域』と呼び、気にすることもなくただそこにある障害物としか認識していなかった。
去年、姉が結界を開放するまでは。
勇者なら開放することができると発見してしまったのだ。
『未踏の領域』の中身が、魔の領域=『魔界』であることを知る。
この世界には無数の『魔界』が散りばめられていたのだ。
当初こそ『魔界との出会い』と称し交流は和やかなものだった。
しかしに住む者はタダの人間じゃなかった。人間の姿と魔物の姿を自在に使い分けられる人外のモノ=魔人だった。
人間てのは臆病で強欲だよな・・
自分と違うモノを畏怖し攻撃するだけじゃなく、違うモノからでさえ奪おうとするのだから。
友好的だった魔族をヒステリックに襲撃。
それが開戦の火蓋だった。
魔族は抵抗し、反撃を開始した。
荒らされた彼らの領地を再び結界に覆い、人間側に進軍。
魔人はこれまでこの世界に存在していた魔物より強かった。
さらに人間と変わらない知性、集団戦。
今のところオレの住む国内で戦争となった『魔界』は一ヶ所とはいえ、まだ国内には3ヶ所以上の『魔界』がある。
世界中にある複数の『魔界』。他の国でも似たような戦争は起きていた。
複数ある『魔界』は継っているのか独立しているのかすら人間側は知らない。
もし繋がっていて一気に攻められたら、人間は負けるだろう。
正体不明との戦い。
人間側は扱いに困る敵に戦々恐々としていた。
自業自得・・
勇者のオレが人前では口に出すわけにはいかない言葉。
皺寄せはオレ達勇者にきてるんだから言いたくはある。
実際勇者同士が顔を合わせると不平不満がポロポロ出る。
同じく勇者である第3王子グレイあたりはどう思ってるんだろうな?
グレイはその地位ゆえに勇者軍の副リーダーでもある。
そのせいで批判の声こそ挙げないが・・地声がデカイんで不満なのは伝わる(苦笑
最強ゆえにリーダーであるねぇちゃんは前より顔色が悪い。
しかも『魔界との出会い』を広しめた張本人故に責められたりもしている。
ねぇちゃんのコトだ。魔族に謝りたい気分かもしれない。
もっともその魔人への畏怖のおかげで、人同士の戦争は収束に向かいつつある。
新たなる敵を認識したオエライ国々は、お互いが戦争してる場合じゃないと気づき手を組んだ。
勇者の出現を境にヒートアップした戦乱は一端の区切りをつけた。
『勇者を人間同士の戦争に使わないこと。』
この取り決めのおかげでオレ達勇者は人間を殺さずに済むようにはなった。
物語の勇者に近づけた。
この戦いが始まり、初めて人々の歓声や笑顔を受けるようになった。
人間の敵から人間の味方になれたのだ。
時間は真夜中、空はどんより曇り空
交戦中の魔界軍は『魔界』に侵入した人間軍を一掃すると、『魔界』を守るように結界外に陣を引いているだけだ。
実りのない偵察が今日も終わる。
気分的には平和だ。
基本的には・・基本的です、よ?
勇者パートに「日々」を
メイドパートには「メイド」をつけて交互に行く予定です。