14歳の誕生日、父視点
「エルト(長男)も勇者になっちゃったかー。」
僕は御使者さんの言葉の内容より、今晩の予定が狂うことが一番気になっていた。
せっかくアルト(長女)と妻(の遺影)の4人でツツマシイ残念パーティーしようと思ってたのになぁ・・
やっぱりダメか・・
なんとなく勇者になっちゃうんだろうなぁとは思ってたんだよね。
長女アレだし・・最強の勇者だし。
ウチの領土の人間は、(勇者の)羽持ち多いし。
御使者さんには「ありがとー」と手を振って帰って頂き。ちょっと思案。
「なにしろ僕自身が後天羽持ちだしなぁ」
後天羽持ちとは、略称みたいなもんで、達人となり後天的に羽を発現させた人間を指す。
僕って達人なんですよねー。
先祖代々の武闘派です(照)
ご先祖様感謝しています。
戦争で武勲をたててくれて
おかげ様でその時頂いた領地で暮らせていけてます。
僕の領地は田舎の農村。
別に都会が好きってわけじゃないからいいよ。
王都にいたらお城に出仕してデスクワークだし。
体を使う方が好きですよ、ホント、ストレスかからないし。
ついでに上司もいないしアハハ。
おかげさまで村民は武闘集団。
切磋琢磨がモットーの脳筋村。
僕はいささかユルイ・・壊れてはないよ、威厳がないらしい。
むーん〜〜〜さてさて・・。
「お父さん?」
娘の声がした。
・・話したくはないけど、隠せないしな・・
「お?おおー、エルト、勇者だって」
明るい声で言ったつもりだったが、娘は複雑な顔をした。
頭を撫でる。
アルトは少し俯いたまま微動だにしなかった。
泣きそうな娘に多くを語るべきかもしれないが・・
僕が言ったところで、勇者である娘の苦悩には届かない。
エルトにどんな苦しみが起こるのか。
姉弟で勇者になることで起こりうる新たな苦しみへの疑念。
もっとあるんだろうなぁ。
父にはわからないよ。
ああ、せめて僕の手で羽持ちに育てたかったな。
父は君達のために力を尽くすよ。
父ももう出ません(予定)・・ごめんなさい
10/4土、主人公の名前変更しました。ソレに伴い姉の名前も変更しました
ちなみに父の名前はオルトといいます。
紛らわしいかもダケド覚えやすいかなと