メイドの勇者
「夢を見るんだ。
マイの死んだ姿が・・
妹の君には言い難いケド、アノ日無残な死体が最後にオレに別れを・・恨みを告げに来たんだ。
それが夢になるんだ」
それから二人の話を聞かされる。
夜中うなされるのはお姉ちゃんが原因だったんですね。
「オレが殺してしまった・・」
お姉ちゃんとの出会い、別れ、二度目の別れを聞く。
ご主人様だけのせいじゃないですよ・・
「眷属に・・眷属が・・人間なんて変わる、誰も残らなかった」
アノ感覚を失うのはショックだと思う。
いつか私も失うのかな?
嫌だ。
「マイの・・お姉さん分も、代わりにオレを恨んで欲しい。」
お姉ちゃんの分の恨みと言われても・・正直そんな最期だったなんて知らなかった。
それに恨みなんて・・私にはもう必要のないモノです、終わったコトです。
だけどご主人様にとっての過去であり実感・・唯一『死』を見て感じて責任がある相手だったんだ。
ご主人様が許されたいのはお姉ちゃんだったんですね。
どこまで後ろ向きなんでしょうか。
過去の傷に苦しんでかわいそう、苦しめられて見守ろうと思ってきましたが・・
ちょっと覚めます。
「忘れちゃダメなんだ、せめてオレだけでも。」
死んだ人に許されるコトはできません。
よく知ってるアノ人なら許してくれるハズ・・そうやってカサブタを作るコトはできるかもしれない。
でもそれは都合のヨイ考え・・普通は自分勝手に終わる、でもご主人様は自分を蝕ませる。
「オレのコトやっぱり憎いだろ?」
忘れないスゴイ人。
忘れて生きる・・それは罪、自分のための罪。
他の人、ましてやその人のための罪じゃない。
「それは私の恨みじゃないです、恨みません」
できるのは繰り返さないコト、次の人を作らないコト。
ある意味忘れて踏み出すコト。
「お姉ちゃんは死んだだけです、最期を見たのはただ会いたかっただけかもしれませんよ?恨みなんかじゃなくて・・私にもご主人様にもわかりません。ただ死んだ事実だけを忘れないで下さい」
過去は変わらないしわからない、償いも出来ない。
ご主人様の涙を見るのは何度目だろう・・
過去を振り返る女々しさと優しさが好きですよ。
「私を姉のようにしないで下さいね。」
「君を守るよ、絶対に」
「大人なのにかわいい子、早く守れるようになってくださいね」
大人でも成長しますものね。
変化に対応して生きていくんですもの。
傷を受け入れるのに年齢は関係ないです。
若輩の私がエラソーです。
「見て下さい」
眷属の印を、ご主人様の目の前に差し出します。
「信頼してますよ。だいじょうぶです」
手を重ねます・・冷えた手、温めないと。
「好きですご主人様」
「好きだ・・マイの代わりじゃなくて、目の前の君と生きていきたい」
言葉と体、羽で伝え合います。
嫉妬の『トゲ』はずっと残るでしょう・・生きていくのだからイイんです。
ただ・・何度も「好き」を言わされるコトになるなんて・・ヒドイでS。
読んでいただいてありがとうございます、頑張りますのでよろしくお願いいたします。
勇者ウザイ・・こんな男はちょっと惹かれるんじゃなくて引かれるんじゃないかなと誤変換にウケたので遊んでみたり
甘々?は終わります、次回初の戦闘描写・・ちょっとですが。