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メイドと勇者

 「朝ですよ、おはようございます」

 朝食の準備を終え、ご主人様を起こしにきました。

 

 「おはよ」 

 満面のキラキラスマイル・・大人の、かなりの美形。

 それにシーツで下半身が少し隠れただけのほぼ全裸・・なんか格好良過ぎです。

 筋肉がだいぶ落ちたとはいえ均整さは神話の彫像のよう・・足長いし・・。


 ギクシャクします。

 改めて照れます、こんな綺麗な人が・・自分の凹凸の少なさが恨めしい。

 対照的過ぎて気後れします。


 ああ・・もう朝から髪を撫でないで!

 惹き込まれちゃうから。


 「たぁ」

 頭突きを食らわせます。

 最近コレばかりですね、身長差が丁度イイのでツイしてしまいます。


 ご主人様はアゴを抑え悶えながらうずくまっています。

 ・・明るく振る舞ってる・・

 妙に明かる過ぎるご主人様。


 昨夜うなされる声に目が覚めました。

 撫でたら、その時はスグ寝ました。

 何回か繰り返しました。

 ご主人様の心の傷・・撫でても私じゃ足りないかな?

  

**


 私の後に付いて回るご主人様・・・・

 掃除洗濯・・家事全般をしている私に、ニコニコと、たまにチョッカイをかけてくる。


 「荒れた手だね」

 旦那様は私の手を取り、唇で私の手を擦れるようになぞる、チョンチョンと、くすぐったい。

 〜というか手が動かせない、進まない

 正直邪魔


 怒っちゃダメだ、リハビリだ・・

 精神不安定なご主人様は、私を見てないと落ち着かないらしい・・嘘臭いけど本当なのかよくわからない。

 「どうせなら手伝って頂けませんか?」

 「メイがいればいい、汚れたままでいい」

 後ろから抱きしめられる、重くない、圧迫されない位で・・・でも!


 「ふざけるなーです!!!」

 頭突き


 「家事ゼッタイ、溜めたらヤヴァイのです」

 生きるってのはちゃんとするコトなのです

 「更生したんなら、キチンと働きましょう」


 その後メイドの仕事叩き込まれるオレ・・結構厳しいぞ・・Sめ、ツン過ぎる。  

 ソファーでくつろぐメイにお菓子とジュースを運び、オレは掃除に戻った。

 依存ダメ、人の邪魔しちゃダメだ・・オレも頑張って支え合わないと。

 ・・母の日気分・・。


**


 夕食の準備です。

 「卵焼きは砂糖にしますか、それとも味付で作りましょうか?」

 「両方好き、メイも好き」

 「私・・卵焼きと同じレベル?クスクス」

 「そんなわけないでしょ」

 「それじゃあ、どちらを食べたいのかおっしゃって下さい」

 「メイを」

 「そのどちらじゃないです!ナシですね」

 「砂糖でお願いします」 

 「私を砂糖まみれにして食べたいなんて・・」

 「いやいや・・いやでもない」

 「あまあまですね」

 ・・・・

 ・・

 「何個卵割るの?」

 「はずかしぃ・・でも言ってみたかった、のです」

 「かわいいよ」

 「今日の夕食は卵焼きのみです、オカズはそれだけになります」 

 「わぁ〜お〜」

 「とりあえず砂糖のと味付、両方作ります」

 「なんでも作れるんだねぇ」

 「もちろんですよ、メイドですからね」

 「メイドってスゴイなぁ」

 「私の名前の由来ですからね、メイドになるためのメイなんですよ」

 「なに言ってんだか」

 「お父さんお母さんに謝れ」

 「は?え?ええぇ〜本当なんだ・・ごめ 「・・そんなわけないでしょう」 たまに本気でオマエがわからない」

 卵焼きって工夫で色々な種類あるんだな・・黄色い夕食・・朝食まで続きました。


 ベッドの上。

 「白い花にそんな意味があったんだ。」

 「育ちます」

 「貧乳なんて思ってないけどな・・(実は思いました・・)」

 頭突きが来る


 「ロリコン」

 「君だからこそオレは抱いたんだよ」

 「・・ロリ自白?」

 「ちーがうって違う・・」

 「意識なかったクセに」

 「・・好みだったんだよ」

 「ロリ自白ですね」

 「すいませんでした」

 「え・・本当にロリコン・・」

 「〜アノ時の〜わたくしは〜人形だったし記憶が曖昧」

 「初めてだったのに・・」

 「大変申し訳ございませんでした」

 「その後も色々エロエロ・・」

 「ごめんなさい」

 たぶん一生頭が上がらない・・オレは生まれて初めてオデコを擦り付ける土下座をした。


**


 そしてまた明日が来ました。

 今は午後のお茶時間です。


 「眷属ってどんな人がいたのですか?」

 女性の方もいたのかな?嫌だな・・。 

 あのつながる心地よさを他の人とも経験したんですよね・・

 眷属じゃなくても恋人がいないハズがない、いなくてイイケド・・それはそれでイヤ、なんかイヤ。

 それにモテナイハズがない、さらに年上だし。 

 遠回しに女性関係を探りはじめる、私狡賢い?


 気になる・・しょうがない、ですよね?

 昔のこと・・知りたい・・怖い、不快。知って全部知りたい。知りたくないけど・・

 気になるんですもの・・こんなご主人様を他の人が知ってるなんて。

 うっとおしい時もあるけど、実感するともっと欲しくなるし〜〜〜フト思った『トゲ』が抜けなくなったんですもの。

 嫌な『トゲ』・・これが嫉妬なんですかね。 


 「勇者時代には魔法使い・剣士・槍使い・・」 

 「その中に女性は?」

 「男臭い連中でした・・今も生きてるのかなぁ?眷属化切れたからなぁ・・」  

 おお、ちょっと心の中でガッツポーズ。

 眷属の恋人じゃなければイイ・・くないケド、年上だもん色々あったですよね。


 ・・でも不安がよぎる・・なんで?もう過去なんて変わらないし今には関係ない・・思い込む。

 なんだろう?嫌な感じ・・口が勝手に動く。

 答えを聞いたのにもっと催促・・なぜなのか自分でもよくわかりません。


 「女性いなかったんですか?」

 なんだか黙ってます・・いたんだ・・?

 言いにくそう? 


 「昔マイってメイドがいたんだケドね」

 メイド・・?

 血が下がる・・キュッとなる、クラッとする。

 それだけじゃない、その名前・・なんで?


 「・・もしかしたら私のお姉ちゃんですか?」

 なんでお姉ちゃんなの、よりによって・・

 描写されたくない。


 見たくない知りたくない。

 ご主人様に知られたくない。

 私醜い・・大好きだったのに・・イヤだ。

 

読んでいただいてありがとうございます。

ラブラブっぽいお話は次で終わります

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