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勇者とメイド

 ギクシャクしている・・主にオレが。


 メイドに許された・・いいのか?こんなオレを。

 泣きながら笑うメイド。

 君はなんで笑えるんだ?


 「オレは罪人なんだぞ?」

 「私にとって罪人じゃありません」

 「そんなことはない、君を犯した!」 

 「ご主人様が悪いんじゃないでしょう?」


 涙が溢れる。

 罪を初めて人から許された。

 オレの罪を、父や姉から受け継いでしまった罪を。

 幽閉された時から誰もがオレを無言で責めてきた。

 最初、罪はオレのモノじゃなかった・・父や姉のせいでこうなったと、オレが悪いんじゃない、だから悔しく不満なだけだった。

 でもオレは村を犠牲にし、メイドを穢すコトで『罪』を自分のモノにしてしまった。

   

 「ヒドイ事をした」

 「操られていたんでしょう?」

 「そんな時もあった。でもオレは・・悪意を持って犯したコトがある・・君のコト」


 沈黙・・メイドは俯いている。


 やはりオレを殺すか?許せないだろ?

 オレは自虐的なんだろうか?・・いやハッキリさせたい謝りたいんだ自分の罪を。

 「君にはオレを殺す権r・・」

 頭突きが来た・・


 「ソコじゃない・・ソレじゃないですー!蒸し返さないで下さい・・いいんです私のコトは・・

 本当は村のコトだって!貴男が悪いんじゃないコトだって!わかってるんです・・でも私が逆恨みしてたんです!

 ・・私は・・ずっとアナタを!ご主人様を殺そうとばかり考えてました。

 でも・・アナタを知って殺せなくなったんです。

 ご主人様は無様でした・・家畜のようで

 犯されまし、た・・ケダモノのように 

 でも正気になられました・・一人のおチカラで!

 ・・だからイイんです、忘れて下さい・・

 過去のアナタじゃなくて、今のアナタだから許すんです、許されて下さい」

 

 ・・・・

 ・・

 言ってイイんだろうか?許されたコトを受け入れてイイんだろうか?

 「・・・・ありがとう」

 「私の方こそ殺そうと思っててごめんなさい」

 「いや当然だよ、君になら殺されてもいいんd・・」

 頭突きが来た

 

 「しつこいです」

 クスクスクス・・メイドは笑ってる、泣きながら。

 こんな顔で笑うんだな、初めて見たよ。

 無表情と泣き顔ばかりだった、もうさせないオレ・・ガンバル。

 

**


 「大時計を先にどうにかしないと」

 思い立ったようにご主人様がおっしゃいます。

 「本当は叩き壊したいんだけどな・・バレるとマズイし」

 鐘が鳴らないようにイジりだしました。 

 

 「できたよ」

 「お疲れ様です」

 これでもう無理矢理抱かれることはないんだ・・

 ・・昨夜の行為を思い出します。

 

 「だいじょうぶ?不安だったよね」

 頭を撫でられます。

 「平気ですよ」

 「顔が赤い、もう寝るか?」

 「そ、そうですね」

 ・・人のコト言えない・・・・ご主人様には知られたくない。


 本当は色々話べきなんでしょうけど・・今までが終わりましたしね

 でもこれからを話すには私達には戸惑いがありました。

 今日のところはご主人様と別れ自室に戻ります。

  

 ベッドに入り天井を見つめます。

 今日は色々あった・・もう昨日までとは違うんですね。

 ・・・・

 ・・

 ではなくて明日から、いえこれからどうしましょう?

 

 『人形』ではなくなったコトをどう隠すか。

 村の今までの話をご主人様に伝えないければならないコト。

 今後・・私達はどうすべきか。

 大まかにこの3つですかね?

  

 村人を助けてもらう?勇者のチカラなら可能かもしれない、不確実だけど。

 でも助けた後はどうすればイイんだろう?

 私が考えてもどうにもならない・・大きな事、命の関わる事。

 そもそもご主人様は助けて下さいますでしょうか?

 ご主人様がどうしたいのか・・まず最初に見極めなければならないのはコレですかね?

 

 殺すコトばかり考えていた私が生きるコトを考える。

 なんだか胸がポカポカします。

 ご主人様もポカポカしてるとイイなぁ・・

 マブタが閉まります・・。


**


 生きていいんだな。

 彼女以外の人からの許しは得られてないケド、気が軽くなった。

 

 本当は色々話すべきなんだろうケド・・今までが終わった。

 でも自分を本当に許していいのかという戸惑いがある。

 今日のところはメイドと別れ自室に戻る。


 ベッドに入り天井を見つめる。

 今日は色々あった・・もう昨日までとは違うんだな。

 ・・・・

 ・・

 切り替えなきゃ!いつまでも自分をかわいそうなんて・・それこそ滑稽な囚われだ。


 『人形』じゃなくなったコトはバレないようにしないとな。

 そして今日聞き損ねた村の話を聞かなくては。

 メイドはどうするのか?

 それと・・オレはどうすべきか?

 大まかにこの4点かな? 


 村を救う?勇者のチカラなら開放はできないコトはないハズだ、警備状態にもよるが。

 でも助けた後をどうする?

 強いだけじゃどうしようもない現実・・多くの人の命。

 そもそもメイはどうしたいんだろうか?助けたいと思ってくれるだろうか?

 メイがどうしたいのか・・彼女の意思を汲み取って、オレのできるコトを決めよう。


 死ぬコトばかり考えていたオレが助けるコトを考える。

 一日で変わるものだなぁ。

 むやみに拾いベッド・・ちょっと寂しいな

 メイ湯たんぽみたいでちょっと恋しい。 

 毛布に丸まり暖まる。


**



 会話のある食卓、新しい朝が来た。

 「小食だね。」

 「このあいだは死にそうになりましたよ」

 「ごめん、食べる姿楽しくてさ」

 「やっぱりオモチャにしてたんですね」

 「そういう訳じゃ・・ついついだよ。・・・・そういえば君の名前聞いていいかな?」

 「今更・・ですね。」

 「ごめん」

 

 肝心な一歩が・・お互い話し合いたいコトに踏み込めなかった。

 メイドは探ります

 戦ってくれるかを


 勇者も探ります

 戦ってくれるかを


 それは午後まで続く。

 メイは家事をし、エルトはソレを目で追う。


 ずっと感じる視線・・何を聞かれ、言われるのでしょうか?

 家事をする間ずっと・・今も夕食の準備をしてるのですが気が休まりません。

  

 モノ言いたげな顔・・何を伝え、話されるのだろうか?

 話したいケド避けられ、でもオレに何か言いたそうな仕草を何度もしかけている。


 お互いの話が・・これからどうするのかという気持ちが、ズレてたらどうしよう?

 

 昨夜寝る前に思った3つのコト・・

 昨夜寝る前に思った4つのコト・・


 メイドはどうするのかな?

 私達はどうすべきでしょうか?


 村のコトを聞くのは正直怖い。

 村のコト話すのは辛くないかな?


 でも、村を助けたい。


 そんなコトを思った、同じ言葉が聞こえた・・途端、手の甲が光り出す。

 「な、なに?なんなんですか?」

 「眷属の羽!」


**   


 「ごめん、君を勇者・・眷属勇者にしてしまった」

 「謝るコトじゃないです、だって私を信頼してくださったんでしょう?」

 体中がぽかぽかします。

 暖かい・・ご主人様の暖かさです。


 ご主人様に抱かれてるみたい

 「!そんなコト言われるとテレくさい・・」

 マジマジと羽を見ながらそんなコトを思っていたら返事をされた。 

 「今私声に出してましたか?」

 そんなコト聞かれたなんて恥ずかしすぎる〜慌てて確認します。


 『いいや、羽のチカラで言葉を伝達できるんだ』

 ・・丸聞こえってコトでしょうか?それはちょっと・・

 そんなコトを思ってたら又返事が来た。

 「全てじゃないし、いつもじゃないよ。意識しないと伝わらない。今はなんだか強く伝わるようだけど」


 どのみちウカツなコトを考えられませんね。

 「いやいや、普通はそんなコトないよ、多分羽が生えてスグだからかな?」


 恥ずかしいやら困ったやら・・なんかどうでもよくなってきました。

 寂しくない、落ち着く・・。

 人との壁がないって不思議。

 何を考えているのかなんとなくわかるし伝わる。

 ご主人様もそう・・なんだ。

 夢見心地でゆだねます。

 

 『一緒に戦いましょう?』

 『君の願いはオレの願いでもある、それにオレは勇者だ、今は君も』 

 言いにくかった言葉が・・スンナリ伝わりました。


 不思議な会話は続きます。

 ご主人様は村の惨状に悲しみ、怒りを感じています。

 もしかしたら私の感情が余分に伝わってしまってるんじゃないかという位怒っています。 

 でも、お互い解決手段を思いつきません。

 ついでに聞いたのですが、勇者のチカラである瞬間移動も屋敷に設置された結界のせいで封じられているそうです。

  

 アレコレ考えを話します・・ご主人様が。

 私は黙って聞いています。

 戦うコトって難しい。

 チカラだけじゃ勝てても、人を守れない。

 どう助けるべきなのでしょうか?


 「まぁ、今考えてもしょうがないか。時が動くのを待とう。

 意外に何か起こるかもだよ、変化は常に起こってる・・メイが現れたように。

 サボルわけじゃない、今までの無為な罪な日々は終わりだ。

 メイとの明日がはじまるよ

 それにオレが君を守る。

 命にかけても」

 ご主人様は堂々巡りを打ち切るように明るく言う、私は黙って聞き続ける、そして恥ずかしい言葉を綴り続け私を見つめる。

 ・・・・

 ・・

 「なんか喋ってよ・・」

 「『人形』ですから」 

 「いやいやいや・・もうソレいいから」

 「伝わっているのでしょう?」

 気恥ずかしくて・・何喋っていいのかわからないのです。

 

 「そんなにオレのコト嫌い?」

 「そんな!そんなコト思ってないです」

 「じゃ少しは好き?」

 

 その聞き方ズルくないですか?しょうがないから答えましょう。

 「・・・・好き」

 ご主人様は言ってるそばから顔を赤くしていましたが、私はもっと赤いコトでしょう・・おそらく。

 何この会話・・〜〜〜。

 

 頭突きを食らわせます。

 「調子にのって抱きしめないで下さい」

 「あ、うん。ごめん」

 素直なご主人様はバッと飛び去るように後ろに下がる。

 急にいなくなると寒いじゃないですか・・。


 「温めようか?」

 「まだ悪乗りなさるならヒドイコト言いますよ?」

 両手を腰に当てて威張った風に立つ、フンス。

 

 「言ってくれ、この際」

 「変態ロリコン」

 「ソコなのか・・ソレなのか・・蒸し返さないで欲しかった・・いいんだけどさオレ・・」

 

 『この羽がある限りずっと私を信頼してくれてるんでしょう?』

 「もちろん」

 『私もご主人様を好きですよ』

 口になんて出してやらないです。

 でも、いつか言わせて下さい。

 言って下さい。

台風の雨って・・暇になりました、困ってます

メイドと勇者の仲をよくするための話?がちょっと続きます

お読み下さりありがとうございました。

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