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メイドの日記

 心の中のメモを振り返ります。

 『人形』はメモなんて書きませんからね。


 マルイチ・・屋敷の概要。

 住人は私とご主人様、監視者・・といっても交替制と聞いている、の3人。


 マルニ・・お屋敷は2階建。

 質素ですがそれなりのお屋敷は必要最低限にしか使われていませんでした。 

 1階は玄関、監視者の部屋、使われていない部屋の大半は倉庫となっているようです。

 2階は簡素な台所、お風呂、私の寝室、それとご主人様の過ごされる寝室と応接間、やはり大半の部屋は使われておらず1階同様倉庫扱いです。 


 マルサン・・監視者は寡黙なオジサマです、見た感じ魔法使いのようです。

 もう一人いるらしく一週間交代で、その時食料衣服等の物資をまとめて屋敷に運び入れます。

 監視者は2階には上がってきません。

 なお監視者の部屋にシャワーがあると推察されます。


 マルヨン・・メイドの仕事。

 ご主人様の色々なお世話。

 監視者のご飯の準備。

 お屋敷の掃除。

 結構時間が余ります。


 マルゴはある意味『ご主人様観察日記』という体です。

 それに『敵を知り己を知れば百戦危うからず』です、殺す相手のことを観察する必要もあります。

 

 ご主人様は一言も喋らず、言われるままに食事と風呂、毎夜私を抱きます。 

 無気力で不健康で隙だらけ・・恐れていた生命の危険は今のところなく、我慢するだけで過ぎていきます。

 身の安全に殺意は揺らぎます。 

 私は一週間悩み続けました。

 

 でも・・今日異変が起きました。

 初めてご主人様の声をまともに聞きました。   

 声といっても『食べ物』扱いの言葉でしたが・・更に言うと違う意味で・・(殺

 それまでとは違う荒々しさ。

 手の込んだ『私』の食べ方、それまで体を動かすだけの行為だったのに・・。

 うぎーーーーっ、心が荒れます、荒れました。

 動物のような本能じゃない、ご主人様の情欲。

 肉体的仕打ち以外のはじめて受ける行為。


 行為の後、私は殺意に支配されました。

 躊躇していた殺意が再燃しました。

 一気に爆発です、

 その日の午後・・でも未遂で終わりました。


 殺せなかった・・

 殺せなかったよ・・・・

 指が動かない

 一本一本を反対側の手で開かせる。

  

 大人の男性の涙を見るのは初めてだった。

 眉根をしかめ、こぼれる涙。

 謝罪と後悔の繰り返し。

 

 殺せない・・

 考えてはならないことに気付いてしまう。

 この方も被害者だった。

 モノを言わないだけでこの方も・・。

 でも 

 私達も被害者だ。

 途方に暮れる。

 夕食の用意をしながら涙がこぼれます。

 

 「す・・ま・・な・・・・い」

 ネジの終わりそうなオルゴールのようなテンポの声が・・

 振り返ると無表情なご主人様が立っていた。

 フラフラ揺らいでいる。


 意識がある?

 そういえば独力で移動なんてあまりないのに。

 急に現れたから怖いですよ。

 体に悪いドキドキ・・早鐘の鼓動、出そうになった声を飲み込む・・むせそう。

 あやうく『人形』のフリが崩れそうになりました。

 

 ご主人様が謝ってきた?

 ただ口から出ただけならヨイのですが・・。

 『正気のない無気力』ではなく『正気のあるの無気力』だったら話は変わります。 

 研究者から、ご主人様には『人形』のチカラを用い『正気のない無気力』にしてあると聞いていますが・・。


 もし、ご主人様が『正気のあるの無気力』だとすると・・様々な憶測が生まれます。

 第一、正気になれば勇者のチカラで私を眷属勇者にする危険性があります。

 そうなると私は戦場の兵士となった上に、研究対象になり・・新しいメイドに妹がなる・・困ることだらけ。

 それに・・私を朝から犯した人物にスキは見せられません、あんな事する人間にロクな者はいないと思います。

 とりあえず『正気のある無気力』なご主人様は危険です、気まぐれで謝っているかもしれないし、私が『人形』ではないか試しているかもしれません。

 

 最低限なコトをバッと考え、『人形』のフリを続けます。

 私はゾンビのようなご主人様をソファーにお連れする。

 その間ご主人様は何も発しなかった。

 目を見れば、いつものような空虚。

 

 もしかしたら空耳だったのでしょうか?  それともたまたまの言葉?

 空耳に脅かされたとしたら自爆過ぎる・・。  『人形』同士が滑稽ね。

 でも空耳であった欲しい。  危うい不確かな今に気づく。

 

 私は料理に戻り考えます。

 物言わぬご主人様なら殺しやすいけれど・・

 もし?

 嫌な考えがよぎる。

 今朝のようにイキナリ・ケモノのようなコトをされたら・・

 1週間目で初めて受けた凶暴な行為。

 いつもおとなしかったから油断していました・・ショックでした。

 それに普段のものとは違う行為・・。

 ・・・・

 ・・

 こんなにイヤナモノなんて知らなかった。

 ・・・・

 ・・

 ひょっとしたらイキナリ暴れるのかもしれない。

 今まで運が良かっただけで・・。

 

 念の為、ご主人様を刺激する仕掛けが他にもないか調べる必要がありそうですね。

 私の知るのは食事の鈴の音。

 それと・・

 毎夜1回しか鳴らない大時計の鐘・・ご主人様はその鐘に刺激され行為を行う。

 

 私が目の前にいれば・・そのまま行為に入る。

 隠れていると・・ご主人様の苦悶の声がずっと続きます。

 遠くにいても聞こえるその声・・に・・縋り付くような行為・・。

 

 とにかく・・刺激するモノを全て把握しなくては、身の安全のためにも。  

 あと、どういう機会にご主人様が発作のように暴れだすのか、反応があるのか見極めなければ。

 そして確実な機会を・・殺す機会の。

 『ご主人様観察日記』をつけ続けます。

もし読んでくださる方がいらっしゃったらありがとうございます、がんばります

わかりづらい話の並び方でゴメンナサイ、小説って難しいですね


大きな話の一部を切り取ってのこの話、本編に関係ない設定は挟まない方が読みやすかったかもしれません。

・・それに大きな話って・・とらぬ狸の皮算用・・

・・わたしもっと明るい話しかかけないと思ってた、根暗だったか、ガーン

この話のご主人様の父の死に様、書きたいとか・・

とりあえず暗いばかりのこの話もそろそろちょっと明るく?なりたいです。

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