『シックネス永田』&『インジュアリみのる』
『今日も『満身創痍』の二人は負けか……』
『これで何連敗だ?』
「くそぅ……」
ウッス!! 自分は『ジャンガリアン・プロレス』の『ヤングハムスター』。
『ヒモト』であります! ヤングハムスターは若手レスラーのことっス!!
今日は自分が付き人をつとめる『満身創痍』のお二人の試合なんですが……
『おぉっと!! インジュアリ永田!! 古傷のヒザが痛みだした! シックネスみのるも持病のぜんそくぅ!! レフリーが試合を止めました!』
「駄目だったっス……」
タッグコンビ『満身創痍』は今日で20連敗っス……
『ケガと病気が治りさえすればな……』
『あぁ……もったいねぇなぁ……』
そうなんです……お二人はレスラーとしての才能と体格に恵まれてるんス……怪我と病気が治りさえすれば……
◇
「お二人とも……お疲れさまっス……な!?何をやってるんスかぁ!?」
自分が控え室にいくと永田さんは傷に泥を塗り、みのるさんは裸で氷水を浴びてたっス。
「そ……そんなことしたら怪我も病気も悪化するっス!! 早く病院へ!! お二人は怪我と病気が治れば勝てるんスから……ぶごへぇ!!」
満身創痍のお二人からのダブルパンチ……自分はロッカーに吹っ飛んだっス。
「なに……を?」
「ヤングハムスターが俺たちに舐めた口きいてんじゃねぇ!!」
「これもファンのためなんだよ!! 小僧!!」
「ファンの……ため?」
「そうだ。プロレスファンは『超人』を観に来ているんだ。病気になっても大ケガしてもリングで闘う『超人』をな……」
「超人……」
「そう。だから俺たちはケガをする。病気をする。ファンのためにな……それが『本物の』プロってやつだ……」
※ヒモト号泣。
「ウッス……満身創痍節……ごっつぁんです!! 愛のムチ!! いただきました!」
「ふっ……わかりゃあいいんだ……小僧。水風呂をつくれ!!」
「ウッス!!」
「それがすんだら俺のスネにダンベルをぶち当てろ!!」
「ウッス!!」
◇
ヒモトは涙した。新のプロの姿に……
泣きながら水風呂をつくり、スネにダンベルをぶち当てた……
『待てよ? 真のプロは怪我も病気もしないで試合にも勝つんじゃないか?』と思いながら……
頑張れヒモト!! 偉大なる先輩の背中を追いかけ、真のプロになるのだ!!
つづく。
『シックネス永田』
181㎝103㎏
『インジュアリみのる』 178㎝105㎏