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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第3章 力の研鑽

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第020話 繰り返す日々

翌朝、ユイは全身の痛みで目を覚ました。

筋肉痛だ。腕、足、背中。どこもかしこも痛い。ベッドから起き上がるだけでも一苦労だった。前世でも訓練の後はこうだったが、今の肉体は若い。回復は早いはずでも、それでも痛みははっきりと残っている。


顔を洗い、装備を整える。

今日も訓練がある。休むという選択肢はなかった。


宿を出て、ギルドの訓練場へ向かう。


訓練場に着くと、リオンとエリナがすでに待っていた。

リオンは無表情のまま腕を組み、エリナはいつものように柔らかく微笑む。


「おはよう。体、大丈夫?」


「はい」


嘘ではない。動けないほどではない。


リオンが短く言った。


「走り込みから始める」


ユイは頷いた。昨日と同じだ。

トラックを十周。走り始めると、足の重さがすぐに伝わってくる。筋肉痛が響く。それでも、昨日よりはわずかに楽だった。


五周目で息が上がる。それでも止まらず、走り続ける。前世なら意識することもなかった距離だ。だが今は、体がはっきりと悲鳴を上げている。


十周を終える頃には、息が荒くなっていた。


リオンが小さく頷く。


「昨日よりは速い。続けろ」


次は短剣の素振りだ。

木製のダミーに向かって刃を振る。


ユイは構えた。前世の記憶が動きを導く。だが、やはり体が追いつかない。それでも、昨日より刃は速く動いていた。


「悪くない。だが、まだ足りない」


ユイは頷いた。

その通りだ。


午前中の訓練が終わり、短い休憩時間が与えられた。

訓練場の端に腰を下ろし、水を飲みながら呼吸を整える。


その時、訓練場の入口に人影が現れた。


カイルだ。

銀のプレートアーマーを身につけ、新しい盾を手にしている。


「ユイさん」


手を振るカイルに、ユイは立ち上がった。


「訓練、頑張ってますね」


「カイルさんも訓練ですか?」


「ええ。別の場所ですけど」


カイルが笑う。ユイも小さく笑った。

どちらも余裕はない。


「北の森の魔物、強かったですね」


その言葉に、ユイは静かに頷いた。


「ええ。だから訓練が必要です」


「そうですね。次は、もっとうまくやりましょう」


カイルが拳を握る。

前世では助けられなかった。だが、今度は違う。


カイルは別の訓練場へ向かっていった。

ユイは再び腰を下ろす。休憩時間は、あっという間に終わる。


午後は、エリナの指導が始まった。

魔力制御の訓練だ。


「今日は、呼吸と魔力の関係を教えるわ」


ユイは真剣に耳を傾ける。


「意識だけじゃダメ。呼吸と一体化させて」


エリナが実演する。

息を吸い、魔力を集める。息を吐き、魔力を放つ。光の球が滑らかに動いた。


「やってみて」


ユイは真似る。

息を吸う。魔力を感じるが、うまく集まらない。息を吐く。光の球がわずかに揺れただけだった。


エリナが首を横に振る。


「呼吸が浅いわ。もっと深く。腹の底から吸って」


ユイはもう一度試す。

深く息を吸い込む。体の中心に魔力が集まる感覚があった。息を吐く。光の球が、はっきりと動く。


「いい感じよ。続けて」


息を吸い、吐く。

魔力を集め、放つ。


十回、二十回。

繰り返すごとに、光の球の動きが少しずつ安定していく。


三十回目。

光の球が、円を描いた。


エリナが小さく拍手した。


「できたわ。呼吸と魔力が合ってきてる」


ユイは胸の奥で、わずかに安堵した。

前世の感覚が、少しずつ体に馴染んでいく。


訓練が終わる頃には、日が傾き始めていた。

全身が重い。だが、昨日よりは確実に前に進んでいる。


「明日も来い」


リオンの言葉に、ユイは頷いた。


訓練場を後にし、ユイはリリアの治療院へ向かう。

筋肉痛を和らげるためだ。


扉を開けると、リリアが顔を上げた。


「いらっしゃい」


「筋肉痛の治療をお願いします」


「分かったわ」


治癒魔法の温かな光が体を包む。

痛みが、ゆっくりと引いていく。


「これで大丈夫」


「ありがとうございます」


リリアはユイを見つめた。


「無理してない?」


「大丈夫です」


少し心配そうに眉を寄せた後、リリアは溜息をついた。


「毎日来てるわね。かなり厳しい訓練なんでしょう」


「はい。でも、必要なことです」


リリアは立ち上がり、窓の外を見た。


「あなた、何かを急いでいるように見える」


ユイは答えなかった。


「世界の流れが、動き始めてる。それを感じるわ」


「どういう意味ですか?」


「分からない。でも、あなたが戻ってきたことと、無関係じゃない気がする」


その言葉が胸に刺さる。

ユイは視線を逸らした。


リリアは小さく笑う。


「深くは聞かない。でも、無理だけはしないで」


「はい」


治療院を出ると、外は夕闇に染まり始めていた。

宿へ戻ろうとした、その時。


治療院の前に、人影が立っていた。


ナオミだ。

白銀のローブを纏い、金髪を夜風になびかせている。


「少し、話がある」


柔らかな声。だが、その奥に真剣さが滲んでいた。

ユイは小さく頷いた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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