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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第2章 北の森の影

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第014話 洞窟の奥

翌日、ユイは早朝に目を覚ました。

体の痛みは引いている。リリアの治癒魔法のおかげだ。だが、心は晴れなかった。北の森の魔物。あの姿が、頭から離れない。


ユイは窓の外を見た。朝日が昇り始めている。今日、ヴィクトルから連絡が来るかもしれない。


ユイは身支度を整え、宿を出た。

朝の王都は静かだ。商人たちが店の準備を始めている。


ギルドへ向かう途中、カイルと出会った。


「おはようございます」

「おはようございます」


二人は並んで歩く。

カイルが尋ねた。


「今日、どうしますか?」

「ギルドで待ちます。ヴィクトルさんから連絡があるかもしれません」

「そうですね」


ギルドに着くと、受付嬢がユイを呼び止めた。


「ユイさん、ヴィクトル様がお呼びです」

「分かりました」


ユイとカイルは、昨日と同じ個室へ案内された。

ヴィクトルはすでに待っていた。


「来たか。座れ」


二人は椅子に腰を下ろす。

ヴィクトルは腕を組んだ。


「昨日の報告を上に伝えた。正式な調査隊の編成が決まった」

「それで、私たちは?」

「協力してもらう」


ヴィクトルはユイを見た。


「君の観察力は信頼できる。それに、現場を知っている」

「分かりました」


「ただし、無理はするな。調査隊には上級冒険者も同行する」


そう言って、ヴィクトルは立ち上がった。


「明日の朝、ギルドの前に集合だ。装備を整えておけ」

「はい」


ユイとカイルは部屋を出た。


ホールに戻ると、カイルが言った。


「明日ですか。準備しないと」

「ええ」


ユイは掲示板を見た。

北の森の依頼はすでに撤去され、代わりに立入禁止の告知が貼られている。


「ユイさん」


カイルが声をかけてきた。


「今日、装備を見直しませんか? 俺、盾を失ったので新しいのを買わないと」

「そうですね。一緒に行きましょう」


二人は武器屋へ向かった。

店内には様々な武器と防具が並んでいる。


カイルは盾を選び始め、ユイは短剣の予備を探した。


「これ、どうですか?」


カイルが鉄製の盾を持ち上げる。

ユイはそれを確認した。


「重そうですね」

「でも、頑丈です」

「それなら、いいと思います」


カイルは盾を購入し、ユイも短剣を一本買った。


店を出ると、カイルが言った。


「あとは回復薬ですね」

「ええ。多めに用意しましょう」


二人は薬屋へ向かい、回復薬を買って鞄に詰めた。

準備は整った。


「明日、頑張りましょう」

カイルが拳を握る。


「ええ」


二人は別れた。


ユイは宿へ戻る途中、図書館へ立ち寄った。

あの魔法陣の文字について、何か手がかりがあるかもしれない。


図書館に入ると、老人の司書が座っていた。


「いらっしゃい」

「古い文字について調べたいのですが」

「どんな文字かね?」


ユイは記憶を頼りに、文字の形を紙に書いた。

司書はそれを見て、眉をひそめる。


「これは、見たことがないな」

「そうですか」

「だが、似たような文字なら、禁書庫にあるかもしれん」


「禁書庫?」

「ああ。特別な許可がないと入れない場所だ」


司書は少し考えてから言った。


「君は冒険者だな。ギルドの推薦状があれば、入れるかもしれん」

「分かりました。ありがとうございます」


ユイは図書館を出た。


禁書庫。

前世でも一度だけ入ったことがある。だが、それは数年後の話だ。今はまだ、入る資格がない。


ユイは宿へ戻り、部屋で休んだ。

明日に備える。


夜になり、ユイは窓の外を見た。

北の森の方角。あそこに、何が待っているのか。未知の魔物、魔法陣、呪い。すべてが謎だ。だが、明日には何か分かるかもしれない。


ユイはベッドに横になった。

目を閉じると、あの魔物の姿が浮かぶ。赤い目、黒い鱗、そして圧倒的な力。


ユイは拳を握り締めた。

次は、負けない。


翌朝、ユイは早くに起きた。

装備を整え、宿を出る。


ギルドの前には、すでに数人が集まっていた。

カイル、そして見知らぬ冒険者たち。ヴィクトルも立っている。


「全員揃ったな」


ヴィクトルが言った。


「今回の調査隊は五人だ」


ヴィクトルは一人ずつ紹介する。


「こちらはリオン。Bランクの剣士だ」


黒髪の男性が無言で頷いた。


「こちらはエリナ。Bランクの魔法使いだ」


赤い髪の女性が微笑む。


「よろしくね」


「そして、君たちは知っているな。カイルとユイだ」


「よろしくお願いします」


カイルが頭を下げ、ユイも頷いた。


「俺も同行する」


ヴィクトルが言う。


「五人で北の森に入る。目的は洞窟の調査と魔物の確認だ」


ヴィクトルは全員を見回した。


「無理はするな。危険と判断したら、すぐに撤退する」

「了解です」


全員が答えた。


「では、出発する」


一行は王都を出て、北へ向かった。

街道を進み、森へと近づくにつれて、空気が重くなっていく。


エリナが呟いた。


「魔力が濃いわね」

「ええ。昨日よりも濃い気がします」


ユイが答えると、エリナはユイを見た。


「あなた、魔力の感知ができるの?」

「少しだけ」

「そう。なら、何か感じたら教えてね」

「はい」


一行は森に入った。

木々が立ち並び、辺りは薄暗い。


ヴィクトルが先頭を歩き、リオンとカイルが左右を警戒する。

ユイとエリナは後方を守った。


しばらく進むと、魔物が現れた。

ウルフだ。目が赤く濁っている。


「来るぞ」


ヴィクトルが剣を抜く。

ウルフが飛びかかってきた。


一閃。

ウルフは地面に倒れた。


速い。


ユイは思わず息を呑んだ。

前世でも見たヴィクトルの剣技だが、改めて見ると圧倒的だった。


「先を急ぐ」


ヴィクトルの言葉に、一行は再び進み始める。

途中、何度か魔物に遭遇したが、ヴィクトルとリオンが難なく倒していった。


やがて、洞窟が見えてきた。


「あれです」


ユイが指差す。

ヴィクトルは洞窟を見つめ、頷いた。


「分かった。慎重に入る」


一行は洞窟に足を踏み入れた。

中は暗く、湿っている。


エリナが光の魔法を使い、周囲を照らした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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