あの日のみんな①
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あの日のサユリ
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むかつく! むかつく!!
超むかつく!!!
その日は、メンバー決めてー
先輩がでる、学園祭ライブにエントリーが
できるはずだったのにー
コウスケ君が連れてきたー
マコト君がドラムで、バンドが出来るはずだったのにー
キー
四人でバンドの話してる最中
マコト君がいきなり
いつもボッチのアイツを
いきなり抱きしめて
「俺がお前の居場所になる、だから泣くな」
とかいってー
コウスケ君まで行って
「僕も入れてくれよ」
キィー
あたしが言われたいわ!!
許さない!
許さない!!
絶対に、許さない!
メチャメチャにしてやる
顧問に言いつけて
絶対メチャメチャにしてやる
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あの日の俺
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あの日、俺はコウスケの頼みで
バンドに参加するつもりで
軽音楽部の部室まで行った
コウスケの紹介で
ポカールの「サユリ」
エレキギターの「カナ」
に会った
バンドの話に花が咲き始めた時
俺は、見つけてしまった
ユリがいた
ユリとは中学も一緒だった
音楽の授業の時
エレクトーンを弾いた
凄く上手だった
でも、一番気になったのは
その時のすてきな笑顔だった
それまでの俺の知っているユリは
いつも独りぼっちでいて
泣きそうな顔をしてる
とても小さな女の子だった
エレクトーンを弾いている時のユリは
とても輝いていた
ここでも、独りぼっちだった
居場所がないっていうのは
誰にとっても悲しい事だ
今日も泣きそうな顔してる
いまにも…と思ったら
ユリの頬に涙がこぼれた
俺は行動していた
考えなしだ
馬鹿なくらい考えなしだ
ユリを抱きしめ言った
「俺がお前の居場所になる、だから泣くな」
泣き止むどころか
余計泣かせてしまった
「うんうん」て言いながら泣いている
コウスケが来た
「僕も入れてくれよ」
場を収めに来た
考えなしの俺をいつも
サポートしてくれる
コウスケが俺とユリを
部室からだして
「カバン持って校門で」
言って消えた




