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見えない拍手

スマホの画面を見つめるアオイは、いつものようにSNSを開いた。

「いいね」の数は、昨日と変わらない。コメントも少しずつ増えている。けれど、ふと疑問が浮かんだ。


――このコメントは、本当に誰かの声なのだろうか。


アオイの友人たちの文章もあれば、見知らぬ誰かの応援もある。でも、最近はAIが文章を生成していることも多いと知った。画面の向こうの温もりは、果たして本物なのだろうか。


その夜、アオイは眠れず、思考の迷路に迷い込んだ。

「人がしてくれるから嬉しいんじゃないのか。AIがしても、同じ喜びはあるのか」


画面の向こうにあるのは、ただ文字の羅列だけなのか。それとも、そこに意味を見出すのは自分自身なのか。アオイは静かに目を閉じた。


夢の中で、アオイは見知らぬ森に立っていた。木々の間を渡る風が、まるで声のように耳に届く。声の正体を確かめようと追いかけると、森の奥で小さな光が瞬いた。

光の中には、無数の手が拍手していた。どの手も形は違うが、すべてが温かく、励ましてくれる気配があった。


アオイは気づいた。

「たとえAIがコメントを書いたとしても、私がその言葉に意味を見出すなら、それは確かに“声”なんだ」


朝、アオイはスマホを手に取り、画面のコメントを眺める。文字そのものの温度ではなく、自分が心で受け取る温度が大切なのだと知った。

見えない拍手は、もうAIと人間の区別で測る必要はなかった。感じる心さえあれば、誰の拍手も、誰の声も、アオイの世界に確かに響く。

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