修学旅行じゃなくて研修旅行
中間テストが終わった。
しかし、休む間もなく修学旅行が明日に迫っていた。
「明日から修学旅行とか終わってるわ」
放課後の教室で友達にそう言われる。
「それな〜1日くらい休みが欲しかったわ。何も準備してへん」
僕は教材を片付けながら気怠そうに答えた。
家に帰ってもゲームばかりしていて適当に準備をしてしまった。
修学旅行当日。
空港に友達と一緒に向かう。
「あれ?そういえばタグは?付いてないじゃんお前」
「タグ?何それ?」
「これだってほら」
友達に緑色のタグを見せられる。裏には旅行会社の名前があり表には氏名と泊まる予定のホテル名が書いてあった。
「…無いとマズいかな?」
「流石に不味いんじゃね?今なら取りに戻っても間に合うでしょ」
「いや飛行機乗り遅れたらヤバいじゃん」
「親に連絡だけでもしておいたら?」
友達に言われて親に連絡をする。
学校で指定されている集合時間の20分前くらいに届けに来てくれるらしい。
それまでの間、空港で友達と朝ごはんを食べて買い物などをしていた。
しばらくして親が来た。
「マジでごめん!」
親からタグを受け取る。
「いや別に良いよ。空港に見たいお店あったから」
「ほんとにありがとう」
親にお礼を言って集合場所へと向かう。
約3時間後。何事もなく鹿児島に着いた。
バスに乗り知覧へと向かう。
この修学旅行は平和学習を目的としており修学ではなく研修。
つまり研修旅行なのだ。
バスに揺られること1時間。
「鹿児島暑くね〜?」
「最高気温32℃だってよ」
「夏じゃないのに暑すぎんだろ」
「温暖化だからな」
資料館で様々なものを見ながら話していた。
およそ2時間の平和学習を終えてバスでホテルへと向かう。
1時間ほどでホテルに着いた。
「おっ!和室じゃ〜ん」
「30分後くらいには飯だってさ」
「飯って何が出てくると思う?」
「知るかよ」
同じ部屋の友達たちとそんな話をしているともう30分が経過した。
隣の部屋に居た友達に声をかけられる。
「Wi-Fi繋がった?」
「なに?急に」
「うちの部屋のやつら全員繋がらないらしくてさ。そっちの部屋は?」
「俺だけ繋がってるけど、他のやつらは繋がってないわ」
「何でだろね」
「俺みたいにiPhoneの奴らはみんな繋がってそうだけど」
「Androidはダメってことですかね〜?」
「可哀想に」
友達に脇腹を突かれる。
「痛っ!なにしてはるん!?痛いわ〜ほんま」
「そのエセ京都弁やめろ!気持ち悪い」
「ふははは!そんなキモいか?」
「マジで◯んで欲しい」
友達にそう言われて笑いが止まらなかった。
「そっか〜そんな気持ち悪いか。まぁやめるわ」
「そうしてくれ本当に」
全体で食事の号令がかかり用意されていた料理を食べ始める。
「なぁこれ食ってくれへん?」
「何が食えないの?」
「これとこれ」
小さい小鉢を指差す。
「いいよ食べたげる」
「あと〜これとこれとこれとこれ」
半分近い料理を指差す。
「流石にそんな食えないって」
「え〜マジで〜?しゃあないな〜他の人たちにも配ってくるわ」
自分のクラスの色んなやつに自分の刺身などをあげる。
「え?貰って良いのこれ?」
「いいよ全然。胃もたれで死にそうだからさ」
「じゃあ、ありがたくもらうわ」
ご飯を食べ終えて部屋へと戻る。
友達が買って食べきれなかったパンを貰いモキュモキュと口に詰め込んで食べる。
温泉に入りに友達たちと行く。
砂蒸し風呂に入れるとのことなので入浴時間に入ることにした。
専用の浴衣で砂の上に寝る。
上からスコップで砂をかけて埋められた。
「あの…これって何分くらい居ると良いんですか?」
係の人に聞いてみる。
「大体10分くらいかなぁ」
目の前に時計があったので10分経ったら出ることにした。
5分くらい経った頃に係の人に声をかけられる。
「混んできちゃったから、そろそろ出てもらってもいいかな」
そのように言われたので渋々出ることにした。
砂を洗い落として浴衣を脱ぎ温泉に入る。
しばらく浸かったあとシャワーで洗い流して部屋に戻った。
その後はトランプをしたりゲームをしたりとみんなで遊んだ。
いつの間にか時間が過ぎ、22時…就寝時間となった。
「どうする〜?徹夜する?」
友達にそう言われる。
「お前らがしたいならしても良いよ」
「僕は寝たいから電気は消してもらえる?」
「分かった」
部屋に居る人の内、1人が寝て3人が徹夜することになった。
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
薄暗い部屋の中で友達がそう言った。
友達はわざわざトイレの周囲の電気をつけていた。
「なに?もしかして怖いの?」
嘲笑しながらそう言うと友達はムキになって答える。
「怖いわけないだろ!暗いと見づらいからつけただけだって」
「そんなつける必要ある?」
この言葉には無視をして友達がトイレに入った。
「今のうちに電気全部消そうぜ」
目の前の布団に座っている友達にそう提案された。
「良いじゃん消してみよ」
友達は布団の上から立ち上がり電気を消してトイレの扉の前に立った。
ニヤニヤと笑いながら友達はトイレの電気を消した。
その瞬間、ギャーという叫び声と共にトイレに入っていた友達が飛び出てきた。
僕は知らぬ顔で隣に居た友達を指差した。
「ほんとゴミ!!◯ね!マジで!」
そう言いながらトイレにあったスリッパを僕の隣に投げつける。
友達はスリッパをサッと避けてた。
「避けんな!ゴミ!」
友達がその場にあった枕を掴んで投げた。
これまたサッと避けられる。
しばらく2人で口論を始めた。
僕はボケーとその光景を眺めるばかりである。
隣で眠っていた友達が音に目を覚まして起き上がってくる。
無言で徘徊し自分の布団へと戻った。
布団がはだけていたので余っていた布団をかけてあげる。
目を閉じながらニコッと微笑んだかと思うと布団を掴んでくるっと一回転して繭のように包まった。
その光景を見た全員が笑った。
2人はしらけたようでお互いに謝っていた。
口論が終わると2人はそれぞれの布団へと戻り布団を被る。
「え?俺寝ていい?やることなくて暇なんだけど」
僕がそう言うと2人はガバッと起き上がった。
「じゃあ、しりとりしよ」
「3人で?」
しりとりをすることになった。
開始してから1時間が経ち深夜1時を過ぎた。
僕を含めみんな余裕という感じでしりとりを続けていく。
「はよミスれやお前ら〜」
「こっちのセリフなんだけど。じゃあ修学旅行」
「う?海の生き物」
「は?きっしょ。流石にナシだろ」
2人で友達に言う。
「流石にナシか」
友達も納得し再開する。
2時間が経過し友達がミスしたので僕の勝ちでしりとりが終わった。
「えっ?俺らってしりとりで盛り上がるん?」
呆気ない終わりに思わず言ってしまう。
「今更?」
2人の友達にそう言われた。
しばらくして疲れて眠ってしまう。
疲れていたためか夢は見なかった。
次の日になって隣の部屋の友達にしりとりの話をする。
「何をしてんの?お前ら」
友達は少し引きながらそのように言った。
それに対して俺は少し笑いながら答える。
「ん〜強いて言うなら青春?」
「絶対違うだろ」
そんな言葉で返されたがしりとりはある種いい思い出となった。
ちなみに、夜中に徘徊した友達は寝ぼけていたらしく本人曰く記憶が全く無いとのことだった。




