夕陽が登る前に。
下手くそ注意
〜家
俺の右眼の魔眼が覚醒してから早3年。
俺は剣術に手こずっていた。
父「もっと早くだ!隙を与えるな!」
ベクト「はい!」
父の名はカール。この村唯一の魔法と剣使いの
「魔剣術師」
とでも呼ぼうか。
魔剣は唯一、魔法と剣を併せ持った武器で魔法と剣が使えない限り魔剣は使えない。
魔法は魔力の量によって出せる量や威力が変わるが、剣は別だ。センスがあったとしても努力しなければ強くはなれない。
逆に言うと、努力である一定の強さまではいけると言うこと。
母「ほら!あと少しでご飯よ!頑張って!」
あの家のベランダから応援してるのが母のヲールア。
母は戦術や戦闘が得意って程ではないが特に料理がとても美味しい。
マジで。ほんとに。
そして俺の右眼の魔眼。
こいつのことに関してはなんとなくわかって来た。
まず、この魔眼は時空。いわゆる時間の移動が可能と言うこと。俺自身は未来や過去には行けないがこの魔眼が映し出した世界なら見ることができる。
そして二つ目。こいつに含まれている魔力量が半端じゃない。
この前だって初級魔法の練習で炎を出せたらすごいのに、家を燃やしかけたから十分すぎるとカールに言われたばかりだ。
この頃の子供は初級魔法が少し使えたら凄い方だとの事。
そして三つ目。こいつには自我がある。
気分屋でたまにしか顔を出さないが確かに生きている。
俺の元を離れないと言うことは俺のことを気に入ってくれたのだろうか?そしたら嬉しいのだが…。
そしてこの世界には魔王が存在する。凶悪で、最悪最低な極悪野郎だ。
今だって王国や村が魔王の支配下によって進行されていると聞いている。
俺は平和な世界を作るって決めたんだ。誰も、死ぬ必要のない。平和な世界に…
カール「そこまで!」
!?
「お前、全然集中できてないな?どこか体調が悪いのか?」
ベクト「…すみません。少し考え事をしていまして…」
カール「そうか。それなら一度外を回って来るがいい。そしたら少しマシになるはずだ。」
〜村
外出の許可を貰った俺は街の中を一周していた。
風が心地よい。ずっと歩いていたい。
あんな胸糞悪い奴がいなければな。
ガキA「お前クソチビ〜!wお前もお前の親もゴミ同然!www」
ガキB「お前なんか生きてる価値ねえよ!www。早く父親と一緒に死にな!!!www」
???「うぅ…」
ガキA「おい!なんか見てるぜあいつの!どうするよレクタ!」
レクタ「あんな奴に俺らの相手じゃねえ。ほっとこうぜレヲン!」
いじめか。おい魔眼。あいつの魔力量を見ることはできるか?
「……レヲン254。
俺の脳内に話しかけてきた。
…レクタ389。
…???、18737。仲間にした方が色々特だ。どうする?。」
ok。そんなん助ける以外選択肢はない。
ベクト「おいお前たち。」
レクタ&レヲン「あ?歳上に向かってなんのようだ?」
年でしか威張れないゴミ供に一度格ってものを見せつけないといけないらしい。
今の子供ってやつは…
魔眼。少し魔力を解放する。いいか?
「!」
どうやら魔眼も乗り気らしい。
魔眼が自分の意思で力を少し解放した。使っている俺でもわかる。
周りの空気が変わった。
レクタ&レヲン「ッッッッッッ!!!!」
あいつらは覇気を感じ取った。少しセンスはあるみたいだ。
「い、行こうぜ!あんなガキ、相手にしても面白くねえし。」
「そ、そうだな。俺たちの時間はあんな奴に奪われていいはずが無いんだから。」
…行ったな。
ベクト「大丈夫か?名前は?」
???「…レフリー。」
ベクト「レフリーか。いい名前だな。よろしく!」
レフリー「よろしく…。」
レフリーか…。俺たちの平和を作るために必要な人材と言っても過言ではないな。
ベクト「レフリー。」
レフリーは少し疑問を持つ顔をしている。
「魔法を習ってみる気はない?」
レフリーは意外な顔をしていた。
「勿論。レフリーが嫌じゃ無かったらでいいんだけど…」
少し時間が経って、答えが返って来た。
「…うん!」
〜家
ベクト「ということです。父さん。どうかレフリーに稽古をつけてあげられないですか?僕も手伝いますので。」
カールは即答した。
カール「勿論だ!弟子が増えるに越したことは無い!」
良かった。レフリーも安心したみたいだ。
レフリー「あの…少しいいですか?」
俺と父がレフリーの方を向く。
レフリーが話を続ける。
「私の父親が少し変わった人でして…なんとかしていただけませんか…?
無礼は承知です!。しかし…父が心配で…お金の面もありますし…やっぱり無理ですか…?」
そうか。だから親のことでいじめられていたんだ。
「俺らで良いなら喜んで協力するよ。」
カール「そうだ!ここは俺たちに任せなさい!」
レフリー「…!」
レフリーは笑った。守りたい。この笑顔。
それから俺らは話を聞いた。
どうやらレフリーのお父さんはいつも何かして瀕死で家に帰って来ているようで
お母さんはそれに嫌気が差してお父さんとレフリーを置いて出て行ってしまったらしい。
ベクト「それでレフリーは俺たちにお父さんが何をしているか調べてほしいってことか?」
レフリーは力強く頷いた。
「しかし、レフリーのお父さんがどこに行っているかも分からなければ調べることすらできないぞ…」
そうだ。そうするとお父さんの尾行から始まるから面倒くさいことになる可能性が高まる。
レフリー「それなら心あたりがあります。」
〜町外れの吊り橋
カール「こんなところがあるなんてな…この滝の向こうは行き止まりのはずだが…」
黙って歩くレフリー。
行き止まりに着く。
そしたらレフリーは手元に持っていたペンダントを掲げた。
ペンダントから不思議な光が滝の方向へ歩み出した。
それはまるで天の川の様で、素晴らしく、美しかった。
「レフリー…これは…?」
レフリー「小さい頃、お母さんには内緒だぞってお父さんさんが連れて来てくれたんです。それでこのペンダントも肌身離さず持っておけって。いつかお前の役に立つ日が来るって。」
魔力の高さも関係あるのだろうか。しかし
レフリーのお父さんが言ってることは間違っているんじゃ無いだろうか。だってこの魔眼に目をつけられてしまったんだから。
「……」
魔眼もこの様なものを見るのは初めてらしい。
「この先です。」
中に進むと異世界への扉?が四方八方あった。それは本当にこの星に存在しているのかと不意に思ってしまった。
俺はそれを「ゲート」と呼ぶことにした。
カール「なんだ!?こんな物見たことないぞ!」
カールが叫ぶ中。俺はある物を発見し、笑ってしまった。
「マジかよ…」
昔の俺。[セフワンティブ家]の家だ。
レフリー「どうかした?」
ベクト「ああ…。なんでもないよ。」
何故だ??何故何年も前の家が残ってる??さらにこことは生きてる次元も、世界も違うはずなんだ。意味がわからない。
不意に入りたくなった。俺は変わったって。兄様に認めてもらって、お父様にも…。
そんなことを考えていた。
カール「おい!何をやっているんだ!」
父の声が頭に響く。何を言っているんだ?
「早く戻ってこい!!」
…待ってくれ、待ってくれって。
俺はその世界に入ってしまっていた。