第1章 公安警察魔術局3
バーに大学生くらいの青年が3人入ってきた。
「あら、いらっしゃい」
「わお、ここのマスター、オネエかよ」
そう、このバーのマスターはオネエだ。がたいがよく、そして、彼も魔術師だ。
「あら、オネエじゃダメかしら」
「別に、酒が旨ければ」
そこで青年たちは玲香に気が付いた。
「おいおい、ここは未成年に酒を飲ませるのかよ」
「まじかよ、犯罪じゃん!」
にやにやしながら玲香の近くまでやってきた。
「おいおい、未成年は酒飲んじゃいけないんだぜ」
「スーツなんて着たって、年齢は変わらないんだからさー」
玲香が面倒くさそうに顔を向ける。
「ああん?私より飲めねえ癖に何ほざいてやがる」
その言葉にカチンと来たのだろう。青年たちが飲み比べを言い出した。
「3人同時じゃなくて一人ずつかかってきな、順番に相手してやる」
「ほう、俺らが勝ったら、お前のことすきにさせてもらうからな」
「まあ、無理だが、もし、1,000,000分の1の可能性で出来たらいいぞ」
その言葉に青年たちの表情が厭らしく歪む。
「言ったな、おい隣のあんた」
「俺か?」
「あんた、こいつの彼氏か?こいつが自分で言ったんだから勝ったときは好きにしていいよな」
幸也はあきれた顔をした。
「どうなっても知らないからな」
その言葉を玲香に言ったものと考えた青年たちは玲香と飲み比べを始める。
そうそうに一人目が潰れ、二人目が相手になる。
「こ、こいつ。化け物かよ」
二人目も潰れ最後の3人目となる。
「おい!マスター!知り合いだからって薄いの出してるんじゃねえよ!」
玲香が自分のグラスを差し出す。
いらいらしながら青年はグラスに口をつける。
「ガッ、なんだこれ!」
一口でむせてグラスを返した。
「それはその子用の特別製、通常より度数が高いのよ。あんたたちには普通の出したけど」
青年は愕然としていた。ハンデをもらっていたのは彼らのほうだったのだ。
「だが、ここまで飲んだんだ、もうそろそろ潰れるだろ」
3人目が飲み比べを始めた。結果は当然玲香の勝利。潰れた3人はほかの常連客に介抱されている。これはもう、このバーでは名物のようなものだ。
この人は、絶対に潰れないのだ。
「マスター、次」
「まだ飲むんですか!?」
さすがに明日に響くと思った幸也が止めに入る。
「はいよ」
マスターがグラスに注ぐ。
「ちょっよ!これ烏龍茶じゃない」
「飲みすぎよ。いい加減にしなさい」
玲香はむっとした表情をしたが、黙って烏龍茶を飲んだ。
「先輩、言わんこっちゃない」
千鳥足の玲香を支えながら幸也はタクシーを待っていた。
「あ?2件目は」
「行くわけないでしょう!ほら、タクシー来ましたよ」
幸也は玲香をタクシーに乗せる。
「なあ、幸也」
「何ですか?先輩」
玲香が改まった様子で話しかけてくる。
「いつもありがとうな」
「な、なんですか急に」
酔いのせいか、トロンとした目で見つめられながら言われ、ドキリとする。
タクシーを見送り幸也も家に向かう。先ほどのことがあったせいで心臓が高鳴りっぱなしだった。
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