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4.復讐

私は大切な人を次々と失くした

ようやく私の家に着いた


「先輩、私、迎えに行ってくるからね」


「待て、未だ中の確認が!」


私は先輩の声も耳に届かず、家の戸を開けてしまった


 そして、私の目に映ったものは


「貴様、許さん。許さんぞ。よくもワシの孫を


 やーやー我こそは鬼神剣のガルド、今、貴様らを成敗する者!」


「ギャハハハハ


 これがそんなに悔しいのか?


 これがか?」


私は目を疑った。獣人の剣の先にあるものに


 それは息絶えた弟だった。剣に串刺しにされ、血と内臓を撒き散らしている


 獣人は、


「ほれ!


 そんなに欲しいなら、返してやるよ。ほれ、返して欲しいんだろ?」


ゴロン


 獣人は剣から足で弟の亡骸を捨てる様に落とした


 弟に意識がある筈がなかった


「きゃあぁぁあああーーーーーーーー」


私は思わず、悲鳴をあげた。大切な弟、その弟が


「貴様らーーーーー許さん!」


「アーネか、助成頼む。我が仇、打たないでおけようか!」


シュル!シュル!


お爺ちゃんは私達にも見せた事も無い様な動きで獣人に斬りかかった


シュル!シュル!シュル!シュル!


『鬼神剣!』


お爺ちゃんがあんな技使えるなんて!?


ザッ!ザッ!ザザザザザー!


『雷神剣』


続いてアーネ先輩の奥義が炸裂した


 二人は同時に技を放った


「あぷぱ!!」


「ベッ!ブァラ!」


二人は同時に倒れた


「貴様ら、敵にして天晴だな!」


敵はもう一人いた。しかし、私でも判る。こいつ強い


「爺さん、俺のサポート頼むぜ」


「何を言っちょる。サポートはお主ぞ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.......


何?


 この敵の圧?


 2人の剣戟が同時に獣人を襲う!


シュッ!...キン!シュッ!...キン!!シュッ!...キン!!!


二人の剣戟が当たらない!?


「鬱陶しい!」


...カッ!!!!


「ぐぁ」


「お爺ちゃーーーーーん」


 お爺ちゃんの首が飛んで逝く


 更に


...カッ!!!!


「ゲフッ」


アーネ先輩の胸に剣が刺さる


 獣人は金色に光る毛皮を纏っていた


「悪く思うな。主からの命令だ。俺は無駄な殺生は好まんが、


 主はこの村の人間を全て殺す様、命じられた


 お前にも逝ってもらう」


金色の獣人は私の前に立ち塞がった


「ひっ、ひー」


私は思わず情けない声が出た、そして


 ヒュン、ヒュン


 音が二回聞こえた


ボタッ、ボタッ


最初の音は金色の獣人の剣の風切音だった


 そして後のは私の両腕が斬り落とされて、 地面に落ちる音だった


「あ、はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」


「悪いな、剣の切れ味を確かめただけだ、直ぐに逝かせてやる。安心しろ」


ヒュン


音が聞こえたかと思うと世界が転がった


 いや、私の首が撥ねられて、頭が地面に転がったんだ


カチン


金色の獣人が剣を鞘へ納めて、その場を去ろうとしていた







『・・・・・・痛かったん、だけど・・・・・・』


私は思わず呟いた


 私の視界は真っ赤に染まっていた


 そして、私の心には憎悪の炎がメラメラと燃えていた


 目の前で弟を、お爺ちゃんを、そして大好きなアーネ先輩を!


『本当、めっちゃ、痛かったんだからね


 なんで生きてるかわかんないけど、一つだけ言える事があるんだからね』


『な、なんだと?!』


金色の獣人は驚いた様だ


 私の首と両腕は一旦流れた血が逆転して、胴体と繋がってきていた


 そして、


『よいしょ』


右手で頭を元の位置に戻すと、首が据わった


 右手も左手も胴に戻り、くっついた


『そう、一つだけ言える事は、


 この世に生まれて来た事を後悔させてあげるからね!』


シュン、...カカカカカカカカカカカカッ!!!!!!


私は自分の剣を抜くと、金色の獣人に剣戟を何十回も打ち込んだ


「・・・ぐぉぉぉぉ・・・」


金色の獣人はたちまち血塗れになった


「おい、誰か?


 誰かいないか?」


「「「いますぜ、親分!」」」


「「今行きやすぜ、親分!」」


金色の獣人はこの獣人達のリーダーの様だ。直ぐに5体程の獣人が集まって来た


 私はたじろぐ事は無かった。今、私の心は復讐の赤い色だけに染まっていた


 私は舞った。私の家の前で、あの懐かしい家の前で


シュン......ギンギンギンギンギンギンギンギンッ!!!!!!


ブシャーーーーーーーー


獣人はたちまち血塗れになった


「私はもっと痛かったんだからね!


 今なら解るでしょ?」


「ひー、止めて、止めて〜〜」


「これはラーシェの分」


「ぺがふ!!」


ズシャ


「あなた助かりたいの?」


「た、助けて、たちけて〜!」


「あなた顔がきもいから嫌!


 これはお爺ちゃんの分!」


「おあ!!が!」


ズニョ


「し、死にたくない、死にたくないいいい〜」


「そんなに死にたくないの?」


「お、うん、死にたくない、しーにたくない〜」


「安心して、あなたみたいな外道、生かさない!!!


 これはアーネ先輩の分!!!」


「いや、ちょっとあんた、普通、わわわ


 ぱっぴっぷっぺっぽ!」


ブシュュ


三人の獣人が真っ二つになる


 私は金色の獣人の目の前に出た。ボロボロの獣人は満足に動けない様だ


「あなたは紳士的だったけど、悪いわね


 私は紳士的じゃないからね!」


私は力尽くで、獣人のたてがみを掴んだ、そして


ズズズズズズズズズズサササササーーーーーーー


私は金色の獣人を引き摺って全力で走った


「ギャァァアウウゥゥンッ!」


金色の獣人の毛皮が地面と擦れ、血で染まっていく、そして肉が見える様になった


「ほら痛いでしょ?


 でも、みんなもっと痛かったのよ!」


私はもっとこの金色の獣人を嬲りたかったが、そうもいかなかった


 更に獣人が集まって来た


「そろそろ、おしまいにするわね」


私は剣を握り直し、獣人のリーダーに向う


「さっさと殺せ!」


この獣人は割と理性と潔さを持ってるらしい。だけど、私は寛容な心は持ち合わせてはいなかった


「本当は嬲り殺しにしたいんだけどね......


『逝って来い大霊界!』 」


私は跳躍し、剣を振りかぶり、剣を一閃


「ウガァァァ――!」


断末魔の声と共に獣人のリーダーの右半身と左半身は真っ二つ別れていた


 私の周りには更に獣人が集まっていた


『やばいかな?


 血を失い過ぎたのかな?


 意識が......』


いや、そう言う問題でもない様な気もするが、血が足らない、それは判った


「なんだ、あれは?」


獣人の一人が声をあげる


ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!!!!


誰かが飛んでもないスピードで走って来る


「うぎゃー」


「ひでぶ」


「あべし」


「はかばが」


時折、途中で遭遇した獣人が切り刻まれ、空中にバラバラの肢体が空に飛ぶ


「「「「「な、な、なんじゃそりゃ!」」」」」


その疾風のごとき走る者はあの黒ずくめの戦士だった


『よくも私の花嫁を傷つけたな!』


彼は私以上の血の雨を降らした。一瞬で、獣人達を血塗れの肉片に変えた


 黒ずくめの男は私を抱き寄せると、


「大丈夫か?」


「なんか、血が足らない様な気がします」


「すまない、間に合わなかったか......」


そして、黒ずくめの男は私にとんでもない事を言った


「あそこの青年はまだ、息がある。彼の血を飲め」


「ア、アーネ先輩の?」


「ああ、お前はバンパイヤだ、今のお前は血が足らない。彼からもらえ」


「そんな事をしたら、アーネ先輩が死んじゃう!」


「もう、彼は助からない。あの傷ではいくらも保たない」


「でも、でも・・・・・」


「お前は仇を打ちたくないのか?


 お前はここで殺されかけたんだろう?


 みんな死んだのに、ここで、お前も死ぬのか?」


ここで、死にたくない、


 ラーシュを殺した奴、お爺ちゃんを殺した奴、アーネ先輩を殺した奴


 それはあの獣人のリーダーでは無い、あいつは命令されたと言った


 主犯がいる


 私はアーネ先輩の元で、アーネ先輩を抱きしめた


「アーネ先輩」


「す・・・すまんな、俺の・・・力が足らなくて」


「そんな事ありません。私、私、先輩のおかげで......」


「俺の血を飲め・・・お前には必要だ。お前はバンパイヤ・・・になったのだから」


「そんな事できないよ。先輩の血を飲むなんて」


「かまわん。俺はお前が・・・好きだった


 お前の・・・為に死ねるなら、それでいい


 ・・・・・・ゲフッ」


「先輩......」


私は牙を突き立てる前にアーネ先輩の唇に口付けした


「......アリス......」


そして、私は意を決して先輩の喉元に牙を突き立てた


 血は美味しかった。でも私の心は罪悪感に苛まれた


「......アリスもっと早く、告白すれば良かった......」


「先輩......」


「私も先輩の事が大好きです」


そして、アーネ先輩は息絶えた


 静かに私の頬に涙が伝った

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アーネ先輩殺したのはアリスだな。とぼけておこう

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― 新着の感想 ―
[良い点] ん、んー、んー、んー? なんだろう?会話と行動に違和感をめっちゃ感じる・・・ なんでだ? [気になる点] なんだろう?人が善意過ぎる?いやんなこたぁないな...なんでだ?分からなさすぎて気…
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