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35.キエフ

 あれから10年が過ぎた。まなみやカリンが殉教したあのサロメ教団の王位簒奪計画が明るみに出て、サロメ教団は取り潰された。多くの信者が弾圧され、多くの司祭達が死刑となった。彼らの大半は事件とは無関係だ。関係者の大半は私達が既に殺した。国民への象徴としての死が彼らの役目だ。稀に無実を訴えるものもいた。わかっていても、私にはなす術がなかった。マスターからは、人のする事に手出し無用との事だ。


 時々、餌として与えられる処女のサロメ教の女性。おそらく無実だろう。だが、私やマスターが血を飲んで殺してしまわなくても、死罪になるのだろう。だから、遠慮なく・・・・・


 いや、私には割り切れない。どこか人の判断に割り切れないものを感じた。まだ人外になったばかりだからから。


 10年の間に多くの事が起きた。人類は存亡の危機に陥った。既に中国大陸、アメリカ大陸からの連絡は途絶えた。アフリカ大陸は1000年前から未開の奥地だ。最後の審判の時に全ての人が死に絶えたと考えられている。


 原因はサロメ教による人工エルフや吸血鬼など、特にエルフに手を出したのは人にとって致命傷だった。神は怒り、空に十字架が浮かんだ。その時より、魔族の進行が始まった。魔族はそれまで、人の住むエリアには滅多に入って来なかったが、頻繁に侵入する様になった。


 私やマスター、クリストフさんやカタリナの力で何とか、このヨーロッパ大陸は戦線を維持している。魔戦団長まなみの殉教やシュバリエ騎士団長エリアスの死、魔法兵団の壊滅は大きく影響した。


 そして、ようやく人にも反攻作戦が始まろうとしていた。10年の月日をかけて、人は新たな魔法兵団、シュバリエ騎士団を再建した。私達イスカリオテ第13機関も人員が拡大した。


 私は戦いに先立って、1年の休暇をもらった。その1年をまなみの姪っ子のアリスの保護者となった。彼女はまなみのお兄さんの子供だ。円城流はお兄さんもアリスも継いでいない。


 クリストフ達ギリシャ正教会に少々やりにくい人材が入った。エレン・シェルフィールド。カリンの妹だ。彼女は姉が裏切り者とは知らない。私達はやや気まずいものがあった。最も、知っているのは私とカール、レオン、メルケルの3人だけだが・・・・・・



☆☆☆



 時は満ち、ついに人類は魔王討伐への道を歩み始めた。ロシアの大地に進攻する。ロシアには魔王がいると推測された。1000年前からの言い伝えで、ロシアから逃げて来た人々によると魔王『ビスマルク』がロシアに現れ、ロシアの地を蹂躙した


 行軍が開始される。私達イエスカリオテ第13機関とギリシャ正教会聖騎士団は主力の先鋒を努めた。既に出立している。馬車で向かうが、国境を超えて、ポーランドへ入る。ポーランドはヨーロッパ帝国の辺境となる。人と獣人などが住むが、大半が冒険者だ。普通の農民や商人はいない。街に頻繁に魔物が現れるので、自衛できない人間は生きていけない。子供もほとんどいない。


 それでも、ポーランドまでは人の支援が受けられた。困難を極めたのがウクライナに入ってからだ。先鋒の私達を強力な魔物や時には魔族が襲った。


 魔物の襲来には何とか単独で対応できたが、魔族の場合、正教会の聖騎士団と共闘した。


 魔族に対して有力な戦力となり得るのはマスター、クリストフさん、私、カタリナの4人だけだった。魔戦軍団長のアグネさんですら、戦力外だ。不死身でない者には魔族の敵となり得ない。


 キエフに辿りつき、魔族と対戦する事になった。魔族は天に挑戦状を書き上げた。古代のラテン後で書かれたその文章は人類への挑戦状、キエフ旧市街地にて待つと文字が浮かびあがった。


 早速私達4人はキエフ中心地へ向かった。ヨーロッパ帝国最大戦力、それが私達、私は以前の妖糸、断裂、夢見の他、空間の技を手に入れていた。空間は一瞬で移動できる戦いでかなり役にたつ技だ。瞬間移動というチート技だ。残念ながら最強クラスの時使い、反射は獲得できていなかった。


「お姉様、わたくし頑張りますわよ!」


 カタリナが決意を固めるが膝が笑っている。当然だろう、彼女はまだそれ程の死地を経験していない。仲間が死んだりした事を見た事が無いのだろう。聖戦士達はクリストフさんを中心に魔物や魔族と戦い、この10年間殉教者を出していなかった。私達イスカリオテ第13機関は2名の殉教者を出している。10年前の戦いの殉教者が多過ぎて、戦力不足になったのだ。まなみが生きていれば・・・・・・


「カタリナ、無理しちゃだめなんだからね!」


 私はいつもの様にカタリナに注意を促す。彼女は不死身だが、まだ、経験不足だ。ウォーウルフは私やマスターの様に血を飲んで、人の技を習得する事ができない。だから、人間と同様、技や、魔法、剣などを普通に学ぶ。私は円城流剣刀術を教えた。クリストフさんは断裂を教えたらしい。


 市街地に入るとたちまち魔物で溢れかえった!


 私とマスターは空間で瞬間移動する。そして妖糸や断裂で、魔物を切り刻んだ。残党はクリストフさんとカタリナが片付ける。


 カタリナはずいぶんと成長したものだ。初めてあった時はレイピアを少し使える位だったが、今は立派な円城流の使い手、断裂の技も持つ、それに加えて不死身。


 まあ、私同様、しばしば、えぐい状況にはなるが彼女も慣れて来たらしい。体をバラバラに刻まれたりという事に。


 そして、奴は現れた。魔族!


『よく来たな。人間の先兵よ。いや、お前達は我らの仲間でもあるか』


「貴様らの仲間だと?」


「あなた何を言ってるの?」


『吸血鬼もウォーウルフも半人半魔の身だ。お前達の存在が何を意味しているのか、いずれわかるだろう』


「俺達がいる限り・・・ 人類は消えはしない」


「あなた、生まれて来た事を後悔させてあげるからね」


「相変わらず、アリス殿は怖いな」


「お姉様素敵!」


『いいだろう。相手をしよう。私は魔族モシン・ナガン』


魔族の姿は人間の初老の男に見えた。


「気をつけろ!


 アリス、カタリナ!


 何か特殊技を持っているぞ!」


 当然だろう、魔族はなんらかな特殊技を持っている。それを見極めないと討伐は難しい


『行くぞ!』


『ダン』


大きな音が聞こえた


「ふん!」


クリストフさんの胸から、血飛沫があがる


「何かが飛んでくる!」


クリストフさんは何か飛んでくるものに胸を貫かれたらしい


 飛翔物か?


『ダン』


音がする。私は既に居合の間に入っていた。カタリナもだ


「「円城流二の太刀!」」


シュン


ガキン


円城流二の太刀、防御に優れた居合だ。刀に膨大な魔力を蓄え、何でも来るものを斬る!


カランカラン


何かが落ちた。何、これ?


「アリス、それは銃弾だ!」


「なんですか銃弾って?」


「鉄の弾が飛んで来るんだ。昔の人間の武器だ!」


「なる程、そういう事か、音速を超えて、鉄の弾が飛んで来る訳か、どうりで見えん筈だ」


「なら、耳で聞けばいいんじゃないですか?」


「そうだな。それが良さそうだ」


私もみんな、目を瞑る


『なんだと、目を瞑るのだと、ふざけおるな!』


『ダン、ダン、ダン、ダン』


立て続けに大きな音が聞こえた


 私は銃弾を斬った。居合ではなく、通常の剣戟で!


「はう!」


 なんかカタリナの声が聞こえた。目を向けると、カタリナは避け損ねた様だ。頭をぶち抜かれている。


ダダダダダダダダダダダダ


ダダダダダダダダダダダダ


ダダダダダダダダダダダダ


私達は魔族モシン・ナガンに急進した。そして、空間


 私とマスターは瞬間移動で、魔族に近づき、


『雷神剣!』


『彗星斬!』


 二人の奥義が魔族に直撃する。魔族には奥義や魔法位しか効かない。物理攻撃への耐性が半端なく強いのだ。魔法のみが効果がある。武技の奥義にも魔法の効果があるから効くが、物理攻撃の衝撃波事態には効果がない。


『阿修羅斬!』


 初めて見るクリストフさんの奥義、阿修羅斬、炎の魔法をのせた奥義だ。マスターの彗星斬は氷の魔法を纏った奥義だ。


『ぐぉぉぉぉぉぉ!』


かなり効いている!


『円城流飛燕斬!』


「あっ!」


『がぁぁあああぁぁ!!!!!!』


 止めをさしたのはカタリナだった。円城流飛燕斬は魔力を叩き込む事に特化した奥義だ。従って、魔族にはかなり効果がある。


「ほう、カタリナ、やるな」


 クリストフさんが驚く、私も驚いた。さっき、頭吹っ飛ばされたのに、もう再生したか? クリストフさんは純粋に技に驚いたと思うが、私はカタリナの再生能力に驚いた。


『愚か者よ。その小さな世界で満足してせいぜい踊るがいい!』


魔族はそう言って消えていった。

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