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34.アリス

 私はアリス、イスカリオテ教団の小さな教会の付属幼稚園の先生


 今日も園児のお世話。私にとって、素敵なお仕事!


 子供達の可愛い笑顔はとっても素敵!


 それが毎日見れるって、こんな美味しい仕事、他には無いわ!


 でも、結構大変な事もある。子供って、びっくりする様な事をするし、ご両親方の子供への想いが強過ぎて、些細な事でクレームになる。 今日も問題児のエドガー君と彼のご両親の問題を園長のエルランド神父と相談しなければならない


「エルランド神父、エドガー君の暴力癖、どう対処しまようか?


 先日、フラン君を叩いて、フラン君の御両親がすごい剣幕でクレームを」


「アリスさん。大抵、暴力を振るう子供は周りに暴力を振るう人がいる事が多い、エドガー君自身がその被害者かもしれ無いんですよ」


「そんな、エドガー君はまだ、4才ですよ。そんな子に暴力なんて!」


「エドガー君に怪我や痣はなかったんですか?」


 私は思案した。エドガー君のお世話をする時、そんな痣や怪我は見た事がなかった


「いえ、エドガー君には怪我とか痣はなかった記憶です」


「そうすると、エドガー君の御両親を呼び出して、話し会うしかありませんね」


 神父様はそういった。神父様はとても頼りになる園長先生だ。いつも的確な答えを私にくれる


「はい、わかりました。エドガー君の御両親を呼び出して、聞いてみます」


「注意深く話すのですよ。子供の将来の事を考えたら、注意深く、子供と接しないと、子供が粗暴で、落ち着きの無い子供になってしまいます」


「しかし、もし、お父さんがかなり、粗暴な方だったりしたら・・・・・・」


「先ずはお母さんを呼んで、事情を聞いてみましょう。もし、お父さんが粗暴な方でしたら、呼び出して、私が説法します。子供の事を考える親なら、必ずわかってくれる筈です」


「ありがとうございます神父様。私、頑張ってみます」


 こうして、私はエドガー君のお母さんを呼び出し。エドガー君の暴力癖とご家庭での事が関係しているかもしれない事を話した。以外だったが、エドガー君の暴力癖の原因はお母さんだった。エドガー君のお父さんは靴屋を営んでいるが、稼ぎはそれ程良くなく、お母さんはパートの仕事をしていた。靴屋の手伝いをし、パートの仕事もすると、かなりの重労働だろう。お母さんは泣いて、私に謝った。お母さんはお父さんに暴力をふるっていた。彼女は告白した。もちろん、女性の力では大したことない。だが、それをエドガー君は毎日見ていた


 エドガーさんのお母さんは泣いて、私に謝った。しかし、私は謝る相手はエドガー君とお父さんですよと、伝えた。そして、もう暴力をふるったりしない事を誓った。エドガー君のお母さんは自身の罪を、自身で責めていた。それを見たかねた、エルランド神父が懺悔なさいと諭した。お母さんは神父に懺悔し、神のお赦しをもらい、気が晴れた様だ


「ありがとうございました。エルランド神父!


 これで、エドガー君の暴力癖も治りそうです。あの子、本当は可愛らしい子なんです。きっと、いい男の子に育ちます!」


「ええ、きっと、そうでしょう。これもアリス先生の努力の賜物ですよ」


「いえ、神父のご指導のおかげです」


 私はまた、神父様に感謝した。この1年、新米先生の私は神父様のご指導に感謝が尽きなかった


 ☆☆☆


 その日は幼稚園の運動会だった。運動会は無事、終わったが、後片付けなどで大変だった。新米先生の私と神父様で、遅くまで幼稚園で、片付けをしていた。そんな私達にあんな悲劇が訪れるとは思ってもみなかった


「あれ、何か物音がしませんでした?」


「ええ、確かに、何か音が聞こえましたね」


 私は訝しんだ。既に園児は帰宅している。先生方ももう帰宅した。この幼稚園をこの時間に訪れる者はいない筈だ。もし、いるとしたら、それは強盗位だろう。最近、この王都で、強盗事件が発生している。まさか、こんな小さな幼稚園を狙う事は無いと思うが、昨日は給食費の集金日で、銀行の引き取りは明日だ


「アリスさん、心配です。私が様子を見てきましょう」


 神父様も同じ事を考えたのだろう。心配そうな顔をしている。神父様が園長の席を立とうとした時


 ドタドタドタドタドタドタ


 人が荒く歩く物音が聞こえた。私は体を硬くした。足音は荒っぽい、紳士的な人間とは思えなかった


 そして、


 ガラッ!


 ドアを開けて、賊が入ってきた


「なんだ!


 人がいるじゃ無いか!」


「誰だよ。幼稚園には人がいない筈だなんて言ったのは?」


「俺だけどよ。普通、こんな時間にいない筈だぜ」


 私は勇気を振り絞って言った


「あなた達、なんなんですか?


 ここは神聖な教会付属の幼稚園ですよ。懺悔なら、昼間に来てください!」


 男達は3人いた。そして、互いに目配せすると、下卑た笑みを浮かべた


「いや、ちょっと、匿ってもらおうと思ったんだ」


「そうそう、俺達、さっき強盗してきな、うっかり、人を殺しちまって、逃げてる最中なんだ」


「ひ、人を殺し・・・・・・」


 私は声にならなかった。恐怖で、足はガタガタといっている


「まあ、隠れるにはちょうどいいんじゃ無いか?」


「でも、この二人、どうする?」


「殺せばいいさ、一人も二人もおんなじだ」


「あなた方、人の命をなんだと思っているんですか?」


 私はつい、怒りに我を忘れ、叫んでしまった。気づいた時には遅かった。賊はかなり、機嫌を悪くした様だ


「どうも、自分の置かれている状況がわからん様だな。大人しくしていれば、普通に殺そうと思っていたが、嬲り殺してやる!」


「その前にやる事があるだろう?」


「そうそう、せっかくの女なんだぜ。たっぷりと犯してから」


「殺す訳か?


 お前ら鬼畜だな?」


「じゃあ、お前、しないのか?」


「やだなー、俺も鬼畜だぜ。もちろん犯るに決まってるじゃ無いか!」


「あなた達!


 ここは神の現らされる教会に付属する幼稚園です。ここで、その様な不埒な行為、私が許しません!」


 神父様が席から立ち上がり、私の前に立ち塞がった


「神父様」


 私は不安だった。神父様はいつも頼りになる。でも、こんな賊には人格者の神父様もなす術が無い。そんなのは当然わかった


「うるせえ、じじい!


 てめえは死ね!」


 ザシュー


 男は剣を抜くと、神父様を斬った


「うっぉぉぉぉぉーーーーーー!」


「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁあ!」


 私は悲鳴をあげた。敬愛する神父様が殺された。そして、次は私だろう。その前に凌辱されて


「「「へへへへへへへへへへ」」」


 3人は下卑た笑いを抑える事ができないのだろう


 3人が段々近づいてくる


「や、止めて、お願い!」


「止める訳無いだろう?」


「そうだ、顔を見られたしな!」


「こんないい女、自由にできるなんて、最高だぜ!」


 私の懇願はこの男達には何にも意味をなさなかった。その時


『・・・・・・いつも言ってるんだけど、痛いんだからね!!!!!!』


 声!


 どこからか、それも女の子の声、ここには、私以外女の子はいない筈!


 だめ、被害者が増える!


「駄目よ、早く逃げて、こいつら、殺人鬼よ!」


『大丈夫よ。私は慣れてるから、こういう奴ら』


 声は何処から?


 私は声の聞こえた方を見た。声の先は神父様からだった。神父様?


 あれは神父様なの、本当に?


 神父様の体は赤い霧になりつつあった。もう、体の形をなしていない。そして、赤い霧は人の形になった


「だ、誰だ、お前!」


 3人の男は驚いた様な顔をする。当然だろう。私も訳がわからない


 女の子は年は15,6だろう。清楚な可愛らしい女の子だ。長い銀髪ツインテール、背は小さめ、顔立ちは幼さがかなり残る、だけど、顔立ちに反して胸の膨らみはかなりのボリュームだ。私はこんな時にも関わらず、いいなーと下らない感想を思ってしまった


「なんで、こんなところに女が?」


「何処から来たんだ?」


「いや、これは上物だぜ、獲物が1人増えただけだ」


『あなた達、良くも私の休息を邪魔してくれたわね』


「はぁぁぁぁ!


 何を言ってるんだお前は?」


「お前はこれから俺達に犯されて、死ぬんだよ!」


『ふーん、かなりの悪党ね、あなた達、人を殺したの?』


「ああ、さっき4人ぶち殺した。さっさと言う事きかねえから、死ぬんだよ!」


「ああ、泣き叫ぶ奴を殺すと気持ちいいな、くせになりそうだぜ!」


 シュン


 何か音が聞こえた


「ひびゃ!!」


 男の一人の手がなかった


「な、なんだお前、手どうした?」


「えっ、えっ、俺様の手が、どうして!」


『久しぶりだと、手元がいまいち狂うわね』


「ま、まさか、お前が?」


『そうよ、私の妖糸よ、何か文句ある訳?』


「た、た、助けてください。お願いします。」


『嫌なんだからね。生まれて来た事後悔させてあげる!』


 シュン、シュン


 また、音が聞こえた


 ゴトリ、ゴトリ


 音が立て続けに聞こえた


「きゃ、きゃああああああああああああ」


 私は悲鳴をあげた。男達二人の首が胴から離れて、落ちていた


「は、み、みんな。お願いだ。改心する。だから、助けてください。お願いします」


「あなた、助かりたいの?」


「は、はい、助かりたい!


 たーすかりたい!」


『私の顔、見たんだよね?


 駄目だからね』


 シュン


 音が聞こえると最後の男の首が飛んだ


「ひっ、ひっ!」


 私は涙目になっていた。目の前の少女は見た目と違い、残酷だ


 少女は私の方に寄ってきた。次は私の番だろうか?


 しかし、少女は笑みを浮かべた


「そんな顔されると傷つくんだからね!


 私、こうみえても、以外と繊細なの」


「な、何もしないんですか?


 私、あなたの顔を見ました」


「見られても構わないわ。隠す事でもないし」


「だって、さっき・・・・・・」


「あれは意地悪♡」


 私は安堵と恐怖が混じった感情を抱いた。この少女の笑顔は美しく、屈託が無い。だけど、つい、さっき一瞬で3人の男の命を奪った


「1年間、どうもありがとう。とても楽しかったわ。あなた、きっといい先生になる」


「あ、あなたはエルランド神父様なのですか?」


「そうよ、私はエルランド神父に化けてたの・・・・・・


 騙すつもりはなかったんだけど、あなたを見守りたかったので、この設定がいいと思ったの」


「私を見守る?」


「ええ、そうよ。私はあなたを見守る為、エルランド神父に化けてたの」


「な、何故ですか?


 私、普通の女の子ですよ」


「私には特別なの。アリス・円城さん


 あなたの叔母さんは私の親友だから」


 そう言うと、少女はこの世のものとは思えない、美しい微笑みを浮かべた


「あの、あなたのお名前は?」


「私はアリス・プレゼンス!


 同じ名前ね」


 そう言うと目の前の少女は聖母マリア様の様な微笑みを浮かべた

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