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3.生?

目を覚ますと、そこは冒険者ギルドだった。私は助かったの?

そんな筈が無いのに・・・・・・

『はっ!』


気がつくと、そこは冒険者ギルドの医務室だった


 身体を起こすと、そこには先輩がいた


「アーネ先輩、私達、助かったんですか?」


「あ、あぁ、助かったと言えば、一応そうか


 俺も、あの黒衣の男に助けられた・・・・・・」


おかしい。先輩の口調がいつもの先輩と違う


 いつもの爽やかで陽気な先輩じゃない


 それに......


 私は記憶が思い出されてきた


 私は手首を切られて、死にかけていた筈


 私は思わず、自分の手首を見た


 包帯も何も無い。痛くもない。傷跡も無い


 誰かがヒールをかけてくれたんだろうか?


 でも、こんなに完全に治癒出来るものなんだろうか?


 治癒の魔法はほんの少し治療ができる程度のものの筈だ


 大怪我を治す様な魔法は未だに見つかっていないとお爺ちゃんから聞いていた


 私はラーシュの為の薬草の事を思い出した


「アーネ先輩、あの薬草はどうなったんですか?」


「俺が届けておいた。弟さんとお爺さんの事は俺に任せろ。


 これからお前はあの黒ずくめの男と一緒に行かなきゃいけないみたいだから」


!?


「一体どういう事なんですか?」


「直に解るよ。今は知らない方がいいよ」


先輩の顔がなんだか物憂だ


「しばらく休むといい、俺は冒険者ギルドで説明会に参加しなきゃいけないからな 」


「説明会?」


「ああ、大変な事になってる。村が獣人達に包囲されている。」


「そ、そんな。何故?」


「俺もわからん」


「せ、先輩」


 もしかしたら、先輩と二度と会えないかもしれない、そんな気がしたから・・・・・・


 でも、先輩もそうみたいだ・・・・・・


『アリス、俺、お前の事が好きだったんだぜ!』


「や、やだ、急に、そんな〜、からかっても、騙されないんだからね」


「ふっ」


そう、きざなため息をつくと、先輩は医務室を出て行った


『こ、告白!?


 でも、何故過去形なの? 』


☆☆☆


しばらく放心していると、凄まじい爆発音がした


 バタバタと音が聞こえた


「アリス、お前の剣と防具だ。ギルドから移動するぞ」


「何がどうなってるんですか?」


「獣人達が村の中に侵入した」


「そんな。門が破られたんですか?」


「いや、魔法使いがいる様だ。転移の魔法を使われた。油断した」


この村は魔物から身を守る為、鉄壁の壁で覆われている


 見張りもいる。普通なら正門か裏門を破らないと侵入は出来ない


 しかし、転移の魔法なんて、獣人に使える訳が無い


「ギルドのみんなが防衛戦を構築する


 俺達はその間にお前のお爺さんを迎えに行くぞ!」


「どうして?


 どうして私の家族だけ?」


「アリスのお爺さんは元Sクラス冒険者だ!」


「え!


 お爺ちゃんはBクラス冒険者じゃ?」


「普通なら引退なのに、現役でい続けた。だから降格されたんだ


 短期間なら、今でもSクラスの戦力だ!


 お爺さんを連れて帰ったら、背後からギルドの正面に集まった獣人を叩く作成だ」


「他の村の人は?


 みんなはどうするんですか?」


「アリス、よく聞け、


 獣人の数はおそらく半端じゃ無い


 俺達だって、生き残れる保証は無い」


「じゃ、村の人は見捨てるの?


 私の弟は?」


「アリス、気持ちは判る。俺だって、おんなじなんだ


 やりきれない、だけど、これがギルドマスターの命令なんだ


 俺達は多分、全滅する」


「そ、そんな......」


「村の人が一人でも助かる為の作戦、誰でもいい、一人でも助かる可能性、


 俺達冒険者が、ギルドで集まって戦って、奴らの時間を少しでも稼げれば、


 オーシャスビークから、兵士が来る筈だ


 昨日、ギルドマスターが街へ使者を出したんだ


 それまで、少しでも時間を稼ぐんだ!」


私は手早く着替えと、先輩と二人でギルドの2階から屋根伝いに脱出した


 未だ、獣人達は見当たらなかった


 みんな、防衛戦の為、バリアを作ったりして、備えをしている


 だけど、直にここは戦場になる。この村の戦力はこの冒険者ギルドしかないんだ


 兵隊さんがいる様な街じゃないんだ


『みんな、絶対お爺ちゃんを連れて帰ってくるからね』


私は心の中で呟いた


 途中、獣人の一人に出会った


「ほ〜、女か!


 中々可愛いな。たっぷり犯ってやるから安心しろ」


「誰が安心出来るの。あんたなんか、先輩がやっつけるんだからね」


「ああ、任せろ」


先輩はすらりと剣を鞘から抜いた


ザッ!ザッ!


先輩が動く、少しでも有利な位置に、そして、少しでも隙があれば


ザッ!ザッ!ザッ!ザザザザザー!


先輩は一気に間を詰めた


「とったー」


獣人が叫ぶ


「甘い」


先輩は獣人の剣をいなすと、


『雷神剣!』


獣人に必殺の一撃を入れた


 私も初めて見る


 先輩の奥義。剣に雷の魔法を込めて放たれる一撃は獣人にも耐えられない一撃だ


「あは~ いい気持ちだ~~~ ちにゃ!!」


獣人はお亡くなりになった


 途中、何度か獣人に出くわしたが、1対1なら先輩の敵ではなかった


☆☆☆


「貴様らなんじゃ?」


「ただの人殺しだ。安心して大人しく死ね


「お前、馬鹿だな!


 簡単に殺したら面白くないだろ


 たっぷり、なぶって、命乞い位させないとな!」


「それで、命乞いしたら、助けてやるのか?


 なんな訳無いだろう。もちろん、もっとなぶって殺す」


「この汚らわしい獣人。ワシを年寄りと侮ったな」


カチン


「こいつ、生意気に剣を出して気やがった!」


「ギャハハは、うける」


「あご?」


ビシャーーーーーーーー


血飛沫と共に、獣人の一人の胴と首が離れる


「言ったであろう。年寄りと侮るなと!」


「このジジィ!


 簡単に死ねるなと思うなよ!」


「お?


 いい者みーつけた♡」


獣人の人殺しは物陰に隠れているアリスの弟ラーシュを見つけてしまった


「貴様、孫に手を出な


 その子は未だ子供じゃ!」


「そんなの知る訳無いだろう?」


「剣を捨てろ!


 捨てなければ、この子供を殺すぞ」


「わかった。剣を捨てる。だから、その子は助けやってくれ!


 後生じゃ」


カラン


アリスの祖父は剣を捨てた


「あ〜〜、そんな簡単に諦めちゃうのか?


 つまんないな〜


 じゃ、やっぱり、この子供を先に殺す方が面白ろそうだな♡」


「や、約束が違うじゃろ?


 お前ら、心は無いのか?」


「お、お爺ちゃん、僕に構わず、やっつけて」


「ラ、ラーシュ!」


「うるせー、この餓鬼が!」


「や、止めろぉぉぉぉぉぉ!」


獣人はラーシュの胸に剣を突き立てた

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