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28.円城まなみ

『まなみぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーー』


私の叫び声がこだました


「まなみ、まなみ、まなみ、まなみ、まなみ、まなみ!」


私は狼狽た。二度と大事な人を失いたく無い。私はとんでも無い力を得た筈だ


 この力は仲間、友達、大切な人を守る為に使う、そう決意していた


 だけど、また、失うのか?


『私はーーーーーーーーーー! 』


この吸血鬼を急いで倒せば、あるいは回復魔法で治癒するかもしれない


 早く倒せばいい


 私はオリハルコンのショートソードをすらりと抜いた


「サッサと死んでもらうからね


 生まれて来た事を後悔させてあげる」


目の前は既に真っ赤に染まっている。私の憎悪は既に絶頂に達していた


「さっさと片付ける!」


「そうは行くかな!」


吸血鬼に向けて急進する


『ガキ、ガキ、ガキン』


頭蓋骨に激しい痛みが走る


「『断裂』位、どうと言う事は無い!


 脳髄全部飛ばされても足を止めない!」


「ちっ!


 なんて女だ


 そうか、お前、吸血鬼だな!


 だが、これはどうだ!」


私は一瞬で、霧化した


「何!」


吸血鬼の狙いはわかった。私の心臓だろう


 吸血鬼の私は心臓を潰されると再生能力は落ちる、流石に戦闘継続できない


 そして、この吸血鬼の後ろに姿を現し、


『真・魔神剣!』


風の魔法の乗った斬撃が吸血鬼を襲う、筈だった。しかし、


「ぐ、があああああああああああ」


私の四肢が飛び散り、血飛沫が舞い上がった!


「じゃ、俺は国王殺しに行ってくるわ。もう誰も阻む者はいないのだろ?


 なんだよ、結局、吸血鬼も俺の敵じゃ無えのかよ


 ちょっと、期待しちまったじゃねえか!」


『何がおきた?』


私は考えた。既に再生に入っている。幸い心臓はやられなかった


 だが、私が喰らった技は間違い無く、『真・魔神剣』


 シュバリエ騎士団の団長が何か言残そうとした


 それに、まなみの飛燕斬は吸血鬼にダメージを与えられなかった


 しかも、直後にまなみが崩れ落ちている


 落ち着いて考えろ!


 これは人間の技だ。お爺ちゃんの教えてくれたS級冒険者の技を思い出せ!


 こんな事ができる技はそれ程無い


『反射ね!』


私は吸血鬼に言った。確認の為だ。この技は人間の技の最高峰の『反射』の筈


「その通りだ。何だ、お前、もう再生したのか?


 信じがたい化け物だな


 俺は『反射』使い。最強の冒険者だった


 そして、これからは最強の吸血鬼、最強の者となる」


「成程ね。自信たっぷりね。だから自分で自分の技を晒す事ができるのね」


「ああ、そうだ。わかったからといって、どうするつもりだ?


 俺には何人たりとも傷を付けられない


 俺は最強なんだよ」


私には考えが浮かんだ。この吸血鬼を倒す方法。それには、私に耐える力が必須だ


 だが、私は耐えてみせる。まなみの為、友達を守る為に!


「最強さん。私があなたを滅してあげる。私には時間が無いのよ!


 生まれて来た事を後悔させてあげるからね!」


「やれるもんなら、やってみるがいい、大勢いたがな、


 そんな奴がな、皆、殺したがな


 はっはっはっは」


私はアグネさんにもらった細く、短い妖糸を展開した、その数、数千


「ほー、女、吸血鬼なだけでは無く、妖糸使いか?


 だが、どうするんだ?


 俺を切り刻めば、お前が切り刻まれるだけだぞ!」


『御託はいい、さっさと死ね!


 逝って来い大霊界!』


私は妖糸の半分を私自身に、残り半分を吸血鬼に放ち、切り刻み始めた


 最初は私自身の足の方から切り刻む、少し遅れて吸血鬼の方の足の方から切り刻む


 ザリザリザリザリザリザリザリザリザリザリザリザリザリ


 私の妖糸は私の足の方から切り刻み始める


 血飛沫が霧の様に舞い散る


 そう、『反射』する対象がなければ?


『反射』する対象がなければ、『反射』できない筈!


私はこの吸血鬼と自身を同時に切り刻んだ


「えっ・・・わっ!! そ・・・そんなちょっとお前!!


 はわあ!! うわぢゃ~~!!」


吸血鬼は情けない悲鳴をあげた。人から傷を負わされた事が無いのだろう


「みんな痛かったんだからね!


 あなただけ、痛みを知らないで済まさないんだからね!」


痛みは想像を絶した。痛みに慣れた吸血鬼の私も、体が血の霧の様になるまで


 裁断されると痛みは尋常ではなかった。そして、恐怖も半端ではなかった


『耐えないと、まなみが死んじゃうんだからね』


私は自分に言い聞かせた


「はあ!! が!! おろら ごぼば!!」


考え通り、吸血鬼は足から私と同様に切り刻まれていく、


 血飛沫を霧の様に舞い散らせながら・・・・・・


 激しい痛みと恐怖が自身を襲う


「止めて、くれ!


 お願い、やめて下さい


 お願い、止めて、止めて」


吸血鬼は情け無い命乞いをし始めた


『・・・・・・私も痛いんだからね!!!!!!!』


既に脚は血飛沫の霧となり周りに散乱している。そして胴


内臓が壊れ、バラバラに、そして、細かく、裁断されていく


「えぎ~~~!! そっそんな やめてとめてやめてとめてやめてぇ!!」


うるさい吸血鬼だ。痛いんだろう?


 そんなの解ってる。私も同じなんだから


 そして、上半身がなくなり、首から上になった。既に心臓を失っている


 再生速度は落ちるだろう。再生に時間がかかる。だが、これしか方法が無い


 最後は一気に!


 私の頭と脳髄は一瞬で、四散した。霧の様に


「ぎゃあああああああああああ」


吸血鬼の悲鳴がこだました


☆☆☆


気がつくと再生がある程度進んだ。私は思考できる様になった


 頭の脳の一部分が再生されたのだ


 血が集まり、私の形を作り始めている


 かなり、画面が悪いだろう。内臓や筋肉の内部が見えている状態はかなり


 衝撃映像だろう


 相手の吸血鬼は未だ、十分な再生はできていない


 私の再生能力は真祖の吸血鬼を上回る


 マスターの血を飲んでいる私は生まれたての真祖より遥かに再生速度は早いのだ


 私は眷獣を呼び出した。声は発していない。未だ声帯は再生できていない


 しかし、思念だけで、ブルーアイズは顕現した


『その吸血鬼を喰らって』


「了解した。主よ」


眷獣、エンシャントドラゴン、ブルーアイズは吸血鬼を喰らった


 これで、彼は無限の死の状態でブルーアイズの中に幽閉される


 何とか再生が完了すると私は急いで、まなみの元へ駆け寄った


「ま、まなみ・・・・・・」


私はまなみを抱き起こした


 お願い。意識があって、せめて、心臓が鼓動していて!


「アリス・・・・・・


 お前、勝ったのか?


 ・・・・・・」


「駄目よ喋っちゃ、誰か来たら、回復魔法をかけてもらうから」


「難しいじゃ無いかな、かなり傷がふ・・・・・・深い」


「そんな事無い、そんな事無い、お願い、私を一人にしないで!」


「アリスらしく無いな・・・・・・」


「まなみの方こそ!」


「満足して死にかけている人間を・・・・・・


 今更呼び戻さんでくれ・・・・・・


 俺様の人生・・・・・・そう嘆く様な人生では無いぞ」


「まなみ、もっと生きようよ、一緒にいようよ。お願い!」


「アリス・・・・・・頼みがある」


「何?」


「俺様が死んだら・・・・・・円城流を継いでいるのは


 ・・・・・・アリスだけだ


 だから・・・・・・もし、俺様の血族に・・・・・・


 会ったら・・・・・・アリスの円城流を教えてやってくれ」


「うん、もちろん。教えてあげるんだからね!」


「あ・・・・・・ありがとう」


「まなみ、お願い、そんな今生の別れみたいな事言わないで!」


「・・・・・・」


「まなみぃぃぃーーー!」


「アリス・・・・・・ついでにもうひとつ・・・・・・頼まれてくれないか?」


「何?


 私、何でもする。まなみが助かるなら。何でもする。だから、死なないで!」


「世界を救ってくれ・・・・・・ア・・・リス」


まなみはそこで、事切れた


「まなみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」


私の悲鳴が虚しく広い王の広間に響いた

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