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16.まなみの過去

ケルンへ向かう途中、まなみの過去を聞く事になった。人は見かけによらない。つくづく、そう思った

「ケルン?」


「そうだ。2人にはケルンに行ってもらいたい」


「あんな辺境に、なんで俺様が行かなきゃいけなんだ?」


「ドラゴンだ」


ドラゴン、魔物の中の最高位の存在だ。SSSクラスの冒険者でさえ臆する


「なんでドラゴンを私達が倒すんですか?」


私は不思議に思い聞いた


「いや、我らイスカリオテ第13機関はむしろ、こういった仕事の方が主だ


 今までのサロメ教団の捜査の方が異例だ!


 辺境の街には多数の高ランク冒険者に依頼する資金は無いし、


 王立魔法兵団は昨年の魔族襲来の傷が癒えておらん」


「しかし、ドラゴンなんて、私達に倒せるものなんでしょうか?」


「まなみは何度もソロで倒している。それ程、心配はしておらん」


「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ


 俺様に任せとけ!」


まなみがこれでもかと言うほどドヤ顔をした


 まなみの偉そうな態度はムカつくが、私はドラゴンを狩った事が無いから、黙っていた


✩.*˚✩.*˚✩.*˚


私とまなみの2人はケルンへ向かう馬車の中にいた


「シモンって、馬鹿だったけど、いい奴だったよな」


「そうだね。ちょっと、エッチだったけど、いい人だった」


「いい奴の方が早くおっちんじまう。クソッ!」


「必ず、仇をとろうよ。アイツらの親玉、ブッチめるんだからね」


「ああ、必ずやっつけてやる。それにしてもな・・・・・・


 お前はいいよな。誰からも、愛されて


 俺様だって、ちょっと、小さいけど、胸位あるのに、シモンは全然興味なかったもんな


 俺様だったら、別によかったのに」


まなみ......


 シモンさんの事......


「まなみさん。私の事、八方美人で嫌な子だと、思う?


「うん。思う。だけど、羨ましいぞ。俺様だって、お前みたいになりたいぞ」


「私は嫌です。今ではこれが普通だけど、演じてました


 自分からみんなに媚を売ってました。生きる為に」


「生きる為?」


「私が冒険者になった時、同い年の女の子の冒険者がいました


 Fクラスの冒険者って、どんなだって思います?


 ゴブリン1匹にだって勝てないんですよ


 出くわしたら、待ってるのは......」


私は顔を伏せた、昔の嫌な思い出が蘇る


「あの子は知らなかったんです


 いつもの薬草の生息地に何故ゴブリンやオークがいないのか?


 薬草は中級の冒険者にも必需品です


 だから、中級の冒険者が通りすがった後の薬草の群生地には、いい薬草が残っていません


 あの子はだから、行ったんだと思います


 みんなより早く起きて薬草の群生地へ・・・・・・


 多分、あの子が群生地に着いた時、新鮮な薬草がたくさんあったと思います


 でも、普段いないものがいた。そう、ゴブリンに出くわしたんです


 その子が中級冒険者に発見された時には、もう、彼女は凌辱されつくして


 目には何も映ってなかったです」


「アリス......」


「いつもゴブリンがいないのは、中級冒険者さんが狩ってくれていたから


 それさえ知っていれば、あんな事にならなかった」


「その子はどうなったんだ?」


「死にました。自分で命を経ちました」


「お前......」


「私、汚い子なんです。あの時、私は可哀想とは思わなかった


 自分で無くてよかった。そう思いました


 だって、私も、朝一番に行った事があったんです


 ゴブリンに襲われたのは私だったもしれない


 私じゃなくて良かった。そう思ったんです」


「アリス、俺様にだってお前の気持ちはわかるぞ......


 本当は自分を責めてるんだろ?」


「ふぁぁぁーん


 あの後、皆んな、私に色々教えてくれた


 あの子のおかげで私は安全でいられた


 私が先にゴブリンに出くわしていたら、


 今、ここにいるのはあの子だったかもしれない」


「お前、冒険者の仲間へのお礼に、可愛い女の子を演じてたのか?」


「だって、私に他にできる事あります?


 それに、皆さんに可愛がられて、たくさん貴重な情報を頂いたから


 これまで生きて来れたんですよ」


「お前さんも色々あるんだな」


「私はまなみさんが羨ましい。毅然と生きてられて」


「そうでも無いぞ。俺様だって、色々あるぞ......」


「何があるんですか?」


「お前、今までの話、全部フリだろ?


 俺様の話、聞き出したかったんだろ?」


「分かります?


 大抵この話でみんな落ちるんです


 えへ♡」


「はぁ、お前、本当、腹黒だな


 でも、さっきの話は本当の話なんだろう?」


「ええ、私のたった一人のお友達の話です


 私も話したんですから、まなみさんも話してくださいよ」


「わかった。俺様の身の上話もしてやる」


「お願いします。私も話したんだから」


「ああ......」


「まなみさんだと、どんな武勇伝が出て来るのやら......」


私はまなみの武勇伝を期待した、しかし......


「私の出身の国は日本って言うんだ


 今はもう無くなった


 小さな島国で、魔王が現れて、長い間、戦った


 でも、魔王は強大で、とても敵わなかった


 そのくせ、島国で、逃げる場所もなかった


 戦士が一人、また一人と倒れて


 最後はほんの100人位になった


 それで、諦めて、日本を船で脱出した


 この国に辿り着けたのは3人だけだった......」


私は沈黙した。まなみの武勇伝を聞くつもりだった


 でも、まなみの話した事は・・・・・・一つの国、一つの民族の最後だった


「ふぇ、ふぇーーーーん」


「なんで、お前が泣く、俺様が泣き損ねただろう......」


「だって、だって、まなみさんって、強くて、何にも悩みなんて無いだろうて顔して」


「どんな顔してるんだ。俺様は......」


「ど、どうして、神様は魔物や魔族なんて作ったんでしょうか?


 人間が魔法を見つけてしまったから?」


私はまなみに聞いた。答えが返ってくるなんて思ってなかった、でも、答えは帰ってきた


「いや、違うらしい。ヤン司祭に聞いた事がある、


 魔法は発見されたと言うより、突然発生した様に思えるそうだ


 歴史上はイスカリオテ教団とギリシャ正教会の共同研究の結果


 でも、突然、魔法はあたかも昔からあったかの様に現れた


 そして、同時に魔物や魔族も」


「じゃ、魔法も魔物も神様の試練?」


「そうなのかもしれん。俺様にもわからん


 魔王......


 魔王を討伐できれば、何かわかるのかもしれん」


「魔王討伐......」


「いつか必ず、日本人の仇!」


「私だって、村のや家族の仇!」


「俺様達、仲間だな!」


「うん」


私に何年ぶりかに女の子の友達ができた

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