魔王の会議
氷白宮である高い塔に2柱の魔王が向かい合って話し合っていた。
「お前のとこの領土は順調に繁栄しているか?」
「発展しすぎると天使族共に壊されるからな」
「まぁそれもそうだが……200年余りに沈んだエイデルヘイトの宝は引き上げられそうか?」
円卓に片腕の肘をつき頬杖をついて聞いた、魔王の中で最強の1柱である《真紅》のブルートロードだった。
「現在は、エイデルヘイトは深海に沈んでいる。私の配下の者共でも潜れん。水精を召喚してもあの体躯では無理だろう……深魔魚は凶暴と聞いている。ブルートロード、貴様は進化はしないのか?」
「進化だぁ?俺が進化しねぇと都合が悪りぃのか?」
「そうとは言ってない。魔公に進化したら逆らう愚かな者共が消えるじゃないかと……」
「そうなったらつまらねぇだろうが!!娯楽が無い世界で生きてなんになる?そうだ、この後闘わねぇか?」
「貴様と闘ったら敗けるんだ。この身体が壊れると厄介だ。やらん!」
ブルートロードに向かい合った《傀儡師》のヴァザールが肩まで伸ばした青髪を揺らし、断る。
「それは残念だ。ヴァザール、《深緑》のドンカーフルンは誰かに敗けてねぇよな?」
「最近、あいつと会ってないから詳しくは知らん。あいつも好戦的で敵わんからな……会いたくない1柱だ」
「面白い奴は現れていないか、ヴァザール?」
「面白い奴……?私も国を離れることが無いから知らん」
ティーカップを口に付けて、紅茶を啜った。
「もう帰るが良いか?」
紅茶を飲み終わり、椅子から腰を上げて立ち上がるヴァザールだった。
「またな、ヴァザール。エイデルヘイトの宝の件は引き続き頼む」
ブルートロードは頬杖をついていない方の片腕を挙げ、手を振った。
ヴァザールは振り返りもせずに片手を小さく上げた。
顕現させた巨大な扉を開け、くぐっていったヴァザールだった。
「エイデルヘイトの宝はまだ入手できそうにないな……エイデルはほんとに死んだのか?」
ブルートロードという魔王は沈んだエイデルヘイトの王だったエイデルについて思考を巡らせていた。
こうして、短い魔王2柱の会議は終わった。
◇◇◇◇
ヒーリハイトという大陸にあるカイザリック帝国の城内では、騒々しくなっていた。
玉座に座している王冠を頭にのせた頂点の人物が顎を撫でながら、跪く騎士団の隊長に聞いた。
宰相が、騒々しいこの場を鎮まらせた。
「静粛に、静粛にせよ!!」
「あそこを攻めたいが如何かな、オールベレン隊長?」
「現状に不服がありますか?」
「うぅ〜む」
オールベレンの返答に、唸るカイザリック帝国の頂点だった。




