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華堕ちて  作者: アヲ
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0.

母との日々は思い出せない。

まだ十もいかない内に、その人は自分を置いて遠いところへ行ってしまった。


愛してくれた人が確かにあったのだと思い返すことができたなら、それを拠り所に冷たく凍てついた冬の川のようなこの場所でも強く生きていくことができたかもしれない。


けれど、幼すぎた子どもには母の温もりの欠片さえ残っておらず、ただ傍にあったのは喪ったという事実と孤独だけだった。


歪んだこの場所から、全ては始まった。


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