表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イルグラード(VR)  作者: だる8
第二章 この世界を冒険する!
74/352

第74話 残念エルフ

 ……そして、るー坊の愚痴と嫌味が終わりゃしない。


 どこからそんなに言うネタが出てくるんだろと思える程のバリエーションだ。あ、いやよく聞くと同じ事を繰り返しているようなんだが、言い方がちょっと違うだけでこれほどバリエーションに溢れた文句になるものかと感心してしまう。


 感心してる場合じゃないか。

 こんなん聞き続けたらゲームなんてしてられない。るー坊がリアルでどんな性格してるか知らないが、今目の前で愚痴と嫌味を言い続けているこの姿そのものだとだしたら、普段るー坊の近くにいる人たちは大変な思いをしていることだろう。同情に値する。


「わかった。わかったから、ちょいストップ!」

「何がわかったのさ?大体ねぇ……」

「だからそれをストップせいって」


 マシンガンのように続くるー坊の言葉を、オレはとにかく必死で止める。


「手伝ってやるから。手伝えばいいんだろ?そのクエストを」

「本当?絶対だし!」


 ここでようやくるー坊の言葉が止まる。オレはホッとして小さくため息をついた。


「じゃあ行こう!すぐいこう!時間空けたら逃げるでしょ?決めたら即行動!ほらいこう!やれいこう!」


 ……非常に残念なことに、止まらなかった。

 別の意味でるー坊から繰り出される言葉が止まらない。


「ちょっと待て。るー坊にやりたいことがあるように、オレたちにも都合ってもんがあるんだよ。大体、討伐系クエストなんだろ?オレ一人で何が出来るってんだ。うちのパーティの戦力だって必要だろうに?」

「うん、だから連れて行くよ?一緒にさあ行こう!」

「いいから、オレの話を聞け!いまこの場にいないだろうが」


 オレの『この場にいない』という言葉を聞いて、目の前の残念エルフはキョロキョロと周囲を見渡した。


「確かに。ファクトしかいない。仲間のお二人さんはどこ行ったの?」


 やっとオレの話を聞く気になった……ように見える残念エルフ(るージュ)に、(ガドル)がもう今日はおちて(ログアウト)しまったこと。エルナはまだその辺にいるが、オレと同じように、討伐報酬を受け取ったり『穴蔵』のクエストを個別に進めたりしている筈であることを告げる。


「はぁぁ?それじゃあ、今すぐ出発できないじゃない!」

「だからそう言ってるだろ?でもちゃんと手伝ってやるから待てって言ってんだ」

「……それは信用出来ない。もう一回すっぽかされてるし」


 残念エルフ(るージュ)がじと目でオレの方を見ている。


「別にすっぽかしてないだろ。モルトんときは、まだ一緒に行くと決めてなかっただろうが?」

「屁理屈」


 ダメだこいつ。早くなんとかしないと。


「じゃあ、パーティを組もう。で、準備が整うまで一緒にクエストでもしてついてくればいいんじゃないか?」

「……そうする。逃がさない」


 逃げないって言ってんのにこいつは……。まぁ、この条件で大人しくしててくれるなら良いとしよう。

 そんなことを考えつつオレはるー坊とパーティを組んだ。LVは16か。まだ10のオレと比べると随分強さの差を感じる。


「まずは何をするの?LVあげ?」

「クエストだ。ここルーテリアの街に特別なアイテムを取り扱ってる『穴蔵』って店があるらしく、それを使えるようにしておきたい」

「あ……なんか聞いたな、それ。あたしもやっとく。どんなクエスト?」


 やっと上級職クエスト以外への興味を確認出来たるージュに、今進めているクエストの状態を説明する。


「そう……じゃあアレがそうだったのね?」


 どうやらオレを探し回っている間に、NPCオジサンと遭っていたらしい。その時はオレを捜すので必死だったために適当に受け答えしたあげく、記憶から抹消していたようだ。

 となれば、オレもるー坊もこのクエストの進捗は同じということだ。一緒にクエストを進めやすくて何よりである。


「とりあえず地下街じゃなくて上層(こっち)の街を捜せばいいのね?何を捜すのかしら?人?NPC?店そのもの?」

「いや、攻略法なんて聞いてないからどう進めるかの情報なんてないぞ」


 そう。るー坊に聞かれたような情報を掴めているんなら、オレも悩んでいない。

 とりあえずウロウロしてみるしかないんだろうと思うが……。


「捜すって言っても、上層(こっち)には展望台と中央広場、それから商業区画くらいしかないんじゃない?でも今いるのが中央広場だし、展望台はファクトがもう行ったんでしょ?じゃあ商業区画まわるしかないじゃない?」

「展望台に行ったのはクエスト発生前だけどな……」


 それでもるー坊の言う通り、商業区画で合っている気がする。

 流石に『穴蔵』のお話が『展望台を捜す』に繋がるとは思えないし、そもそもお店のクエストであるからして……。

 って、るー坊のやつ、オレを置いてサッサと商業区画方面に歩き出しているじゃないか。


「おい!お前こそ、オレを置いていくんか?人のこと文句言えないだろ!」

「足が遅いと置いてくよ~♪」


 残念エルフ(るージュ)ことるー坊は、商業区画の入り口でオレに向けて手を振っていた。


……


 ルーテリアのAIショップは、モルトやアカシアと比べると随分と充実していた。

 単純に武器屋、防具屋だけとっても、武器種ごとの専門店が軒を並べていて、初級~中級品ながらも品数が豊富である。これは見てまわっているだけでも時間が経ってしまいそうだ。ウィンドウショッピングであっという間に時間が流れていくあの感じである。


 長居してしまったのは飛び道具専門店だ。完全にるー坊のせいである。

 AI店主が置いていないと言っているのにしつこく『クロスボウ』がないか?と延々食い下がったからだ。オレが手伝うと言ってるのに全然信用してないな……こいつは。


 ちなみにこの飛び道具専門店に置いてある武器のほとんどは手弓と矢だ。他には投擲用の鉛玉や手裏剣のようなもの。それから鎖のついた鉄球の代名詞のようなフレイルなどが置いてあったが、オレが使っているようなトリガー式弓……いわゆるクロスボウの類いは一切置いてなかった。

 やっぱりこのクロスボウという武器はイルグラードでは特別なようだ。少なくとも序盤は完全に『調号士』の代名詞になりそうな専用武器ということか。


 それでもまだ食い下がる残念エルフ(るージュ)をAI店主から引き剥がすと、次の店へと向かった。

 切断武器専門店で剣、槍、短剣。打撃武器専門店には棍や杖などが。そして防具店には主に重鎧系、軽鎧系、そして魔導師用の服で店が分かれている。この中でオレやるー坊が興味を示すのは当然のように軽鎧系の店だったが、オレにとっては(ガドル)の作った装備の方が優秀であったし、るー坊にとっても現装備と比べてランクが落ちる装備のようで、買う行為には至らなかった。


 一通り武器・防具店を巡ったあとはアイテム系の店に向かうオレ達。

 こちらもルーテリアの店は充実しており、回復薬や毒消しのようないわゆる消費系アイテムの専門店の他に『素材屋』なる店が軒を連ねていた。これはモルトやアカシアにはなかった大きな違いである。


 『調合士』であるオレにとってはワクワクするような設備だ。

 もちろん素材は採取出来れば無料(タダ)なのでそれが一番なのだが、『この素材が欲しいけどどこで採取するか分からない!』っていうときにお金で解決出来るのは嬉しい。(ガドル)も喜ぶんじゃないだろうか?鍛冶ギルド内の素材売り場とどちらが品揃えが良いのか不明なので実際のところはよく分からない。それに商品ラインナップになければ同じ事だ。


 実際に見てみると『素材店』にも種類があり、鉱物系、植物系、魔物系、その他などに分かれている。どこから見てみようかと目が輝くオレとは真逆の反応を示すのはるー坊だ。

 まぁそりゃそうだろう。興味もほとんどないに違いない。


 とはいってもオレを一人にする気はないようで、ヒマそうにしながらもオレの行く先にしっかり着いてきた。


 ……そしてついに、植物系素材店に入った時に事態が動いたのだった。



今日~日曜まで私事都合で執筆が出来ません。ですので次回投稿は早くて18日になります。遅くても19日には投稿したいなと思ってます。

よろしくお願い致します。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 調号士(調合?)・・・楽譜でも作るのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ