第53話 ガドル製装備
場面は第47話の直後に戻ってきました。
Side:ファクト です。
猫の自信ありげな笑みを見てホッコリするオレ。
なんと言えばいいだろうか。要するに彼の顔は猫そのものだ。
キャラメイクの際にオレと同じく顔の要素を種族側に思い切り振り切ったのだと思うが、彼の笑顔はその辺にいる家猫がニャアと鳴いて甘える顔である。こんな笑顔を見せられて和まない人などいないのではないだろうか?
「そうだなぁ……。付与効果のない部位の装備を優先的に作ってもらえるとありがたいかな。頭と手と……ズボンか」
「わかっただ。任せて欲しいだ。ファクトさんはあまり重い材質の装備じゃない方がいいだか?」
「ああ、その通りだ。結構動き回るからな」
猫の見立て通りで問題ない。
重鎧など装備してしまったあかつきには、戦闘どころか身動きできない役立たずのオレが出来上がってしまうことだろう。
LVが上がるごとにAGL値の上昇が大きかったせいか、当初想像していたよりも素早さが強化されている。……探索者はもっと素早いのだろうけど。
エルナはどうだろうか?戦士という職業柄AGL値は上がりにくい。
でも彼女の戦闘スタイルは、動き回って撹乱して戦うタイプだから、本当はAGL値の強化が欲しい筈だ。ということで彼女にも重鎧は要らないだろうとオレは思う。オレの知っているプレイヤーの中で重鎧が戦闘スタイルに合ってそうなのは……目の前の猫のほかではアカシアで会ったミゲルや、《あやかしの森》で会ったランスロットくらいだろうか。
「もうひとりの仲間には装備作っておくだか?」
オレが考えに耽っていると、ふいに猫から質問が飛んできた。ジャストタイミングである。
ただ、オレが勝手に思うことと彼女の希望が合致しているとは限らない。本人の意見を確認してから造った方がいいだろう。
「いや、それは本人の意見を聞いてからにしよう」
オレの意見と猫の予測は合っていたようで、大きく頷いた彼は、そのまま工房内に引っ込んだ。
どんな装備が出来上がるんだろうか。年甲斐もなくワクワクしてしまう。しかも仲間の自作となればなおさらである。
猫は、鍛冶工房に入ったあとすぐに出てくる様子はない。この辺はやはり《調合》とは異なる部分であろうと思う。《調合》なら材料さえ用意出来れば作成に掛かる時間はほぼ一瞬と言っていい。
しかし、鍛冶はそうではないようである。
その製作精度で仕上がりに差が出来るあたり、何か個人的にプレイヤースキルが必要だと分かる。が、特にオレが詳しい情報を知る必要はない。低レベルでシルバーを獲得した猫の腕を信頼して、ただ待てばいいのだ。
10分ほど経過したあたりで、猫が鍛冶工房から戻ってきた。
「こんなんでどうだか?わりと良いのが出来たと思うだ」
そう言ってオレの前に三つの作りたての装備品を並べた。
オーダー通り、頭、手、そして下肢に身につける装備品である。カラーはどれも黒~焦げ茶で素材は革製の風合いだ。店で販売しているようないわゆる廉価品とは、明らかに異なることが素人目にも分かる。
「おぉ!」
思わず声を出してしまうオレ。反応を見た猫も嬉しそうだ。
「材質のベースはもともとファクトさんが装備している胴と足装備に合わせて硬革にしただ。これなら材質的にもAGL値への影響はないだ。名前はそれぞれハードレザーバンド、ハードレザーリスト、ハードレザートラウザで、そのまんまだからわかりやすいだよ」
猫から装備品を受け取り、早速身につけてみる。
第一印象は『とにかく軽い』である。ものすごく大きな差が感じられるということではないが、今まで身につけていたレザー装備の方がよっぽど重く感じるほどだ。
「あとは大した効果じゃないだが、付与効果もついてるだよ」
「マジか。どんな効果が付いてるんだ?オレには見ただけじゃわからんから教えてくれよ」
謙遜しつつもちょっと自慢気な猫。
だが、もっと自慢していいとオレは思う。『大した効果じゃない』などと言ってるが、付与効果が付いているだけでレア装備品である。今は持ってるプレイヤーの方が圧倒的に少ないはずだ。攻略が進めばそんあ装備品で溢れるだろうが……。
「頭装備には職業補正無視のVIT値強化、手装備には同じく職業補正無視のDEX値強化がついてるだ。……+1だども。あと下肢装備には5%のクリティカル回避が付いてるだ」
「凄いじゃないか。さすがガドルだ」
純粋に嬉しい。
職業補正無視ということは、単純に値が+1上乗せされるということだ。そもそもの値が低いオレにとっては非常にありがたい仕様である。そのうえハードレザー製の装備ということで単純に耐久値が上がることも素晴らしい。
クリティカル回避も値こそ低いが、ここぞという時に効果があるかもしれない。敵が20回クリティカルを繰り出したら、そのうちの1回が無効になると考えることが出来る。その1回が敵にとって必殺の一撃であったらと考えると最高だ。……期待しすぎも良くないか。
オレは元々装備していたレザー装備をさっさとアイテムボックスにしまい込んだ。死亡退場などして装備が無くなりでもしない限り、もうこの装備の出番はないだろう。
今、この瞬間から猫作の装備がレギュラーである。お陰でオレの防具は硬革一式となった。揃ったからといってステータス補正等があるわけではないが、見た目の統一感がいい。カラーも胴装備の色に合わせて変更しておく。
「ありがとう!凄くいい」
「そう言ってもらえるとおいらも嬉しいだ。実は自分用に手甲装備も作っただが、こっちは付与に失敗しただよ」
そう言って猫は自身の手甲を見せてくれた。
素朴なグローブにプロテクタのような物が付いているタイプの装備だが、猫によるとSTRとVITが上昇するらしい。
「やっぱり失敗することもあるんだな?」
「しょっちゅうだよ。ファクトさん用に作成したのはたまたま上手くいっただ」
……嘘である。ガドルの見栄といってもいい。
実際は、この効果付与のついた装備品を作成するために1装備につき平均3回は作り直している。が、その事実はガドルだけの秘密である。
「早速使わせてもらう。これはいい装備だ」
「あとはこっちに向かっている仲間と合流するだけだか?」
そうだ。
一向に連絡を寄越してこないが、一体エルナはどうしたんだろうか?
「そうなんだけどなぁ。さっき呼びかけたけど連絡がないんだよな……」
「ファクトさんが鍛冶ギルドについてから少し時間もたっただ。もう一度連絡してみたらどうだか?」
「あぁ、オレもそう思ったよ」
猫に促されてオレはフレンド通信用ウィンドウを立ち上げる。
ログインステータスは……INのままだ。ちゃんとプレイ中のようなのだが……。
と、まさにオレがエルナに向かって話し掛けようとした時、エルナの方から通信が来た。
『ファクトぉ~助けてぇ』
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名前:ファクト
性別:男
種族:ドワーフ
称号:クイーンビーバスター
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職業:調合士
LV: 9
腕力:25 (19+ 6(STR+50%))
活力:37 (21+15(VIT+70%)+1)
敏捷:33 (23+10(AGL+70%))
器用:41 (38+ 2(DEX+50%)+1)
魔力:12
運 :13
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武器:ハンティングダガー(STR+12) :即死効果50%
盾 :
サブ:クロスボウ(STR+10) :命中精度80%UP:調合士装備時
弾 :ウッドボルト(STR+5)
頭 :ハードレザーバンド(VIT+4) :VIT値+1 New!
手 :ハードレザーリスト(DEX+4) :DEX値+1 New!
胴 :ハードレザージャケット(VIT+12) :毒無効
下肢:ハードレザートラウザ(VIT+5/AGL+4) :クリティカル回避5% New!
足 :ハードレザーブーツ(AGL+10) :移動速度20%UP
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所持金:
1,540G
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固有スキル
調合
アイテム鑑定:調合士
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修練スキル
虫の知らせ
必中
短刀術
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レシピ
回復薬小
毒消し薬
麻痺治療薬
木片
ウッドボルト
スタンダードボルト
ブーストLV2
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受注クエスト
回復薬小の納品(束)350G/10個
毒消し薬の納品(束)250G/10個
麻痺治療薬の納品(束)300G/10個
新作武器の材料調達
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名前:ガドル
性別:男
種族:猫の獣人
称号:鍛冶マイスター:シルバー
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職業:鍛冶
LV:10
腕力:27 (21+ 6(STR+50%))
活力:55 (25+27(VIT+70%)+3)
敏捷:11 (10+ 1(AGL+70%))
器用:40
魔力: 7
運 :24
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武器:アイアンハンマー(STR+10) :スタン効果10%
盾 :バックラー(VIT+8)
頭 :アイアンヘッドギア(VIT+6) :VIT値+1
手 :パワーグラブ (STR+2/VIT+4) New!
胴 :チェーンメイル(VIT+10)
下肢:レザートラウザ(VIT+4)
足 :アイアングリーヴ(VIT+7) :VIT値+2
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固有スキル
鍛冶[シルバー]:付与効果小
装備鑑定:鍛冶
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ステータスは合計値を記載した上で、内訳を記載するようにしてみました。
⇒試行錯誤です。




