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イルグラード(VR)  作者: だる8
第五章 イルグラードの夜明け
199/352

第197話 迷宮脱出

『相変わらずファクトは余計なコトばっかり言うけど、でもこれでイルグラード魔導技師第一号おめでとうっ!だねっ!』


 魔方陣から降りたオレはクリエラと共にギルド員用のカウンターまで戻ってきた。


 そう、いつもの場所だ。

 クリエラはそのままいつもの通りカウンターの中へ戻っていく。ギルドマスターなのにスタッフ兼任だからな。


『ファクトもフィーロもだけどみんな優秀で嬉しいよ~。二人のおかげでボクも大きな顔できるし!』


 クリエラの表情をジト目にしてしまったのは完全にオレのせいだが、それを差し引いても昇格(クラスチェンジ)完了という結果に、クリエラはご満悦のようである。独り言のような発言を聞いてる限りでは、もしかしたらクリエラなどのようなAIギルドマスター同士で見栄の張り合いみたいなものがあるのかもな。


 まあそんなAI同士の見栄の張り合いなど、オレたち冒険者(プレイヤー)には全く関わりの無いものだ。造られたAIだといっても自我を持ってると大変だなぁと改めて思うくらいである。


「じゃあオレはもう行くぞ?これから仲間(エルナ)たちと合流しなきゃならんからな」

『ちょおっと待った!』


 ギルドを立ち去ろうとするオレの背中にクリエラの待ったがかかる。

 もう用事はないはずなんだけどな……などと考えながらオレはクリエラの方を振り返る。するとカウンターの向こうでクリエラは変な格好(ポーズ)を決めていた。そういう妙なところがあるから、他のAIギルドマスターから変人?扱いされるんじゃないかな?いやまあ、実際どう扱われているのかは知らないが。


『実は!パンパカパーン!』


 更に別のポーズを決めてくる。クラッカーからでる紙吹雪のようなものもご丁寧に舞っている。どっから出したんだ?クラッカーのような破裂音もしなかったので、そういったものじゃないのだろうくらいしか思い当たらない。

 オレは腰に手を当てた格好で『ふぅ』と小さく息を吐き、上機嫌モードが解ける様子のないクリエラに視線を向ける。


『実は実は!なんと魔導技師へのクラスチェンジした冒険者(ひと)に、お祝いとしてギルドから豪華プレゼントがありまぁす!』

「プレゼント?!」


 勢いでクリエラの言葉に食いついてしまった。途端にクリエラの表情がにやぁと崩れていく。


 ……しまった。

 クリエラの思惑通りの反応をしてしまったかと思うと少し……いや、かなり悔しい。


『ふふふ。いいねいいね!その反応。ギルドからのプレゼント、気になるでしょお?!待って良かったでしょお?』


 どうよ?どうよ?

 とでも言わんばかりに上半身ごと左右に揺らしながら下から覗き込むようなゼスチャーをしてみせるクリエラ。主張している内容こそ違うが『どお?あたし可愛いでしょ?』とぶりっこしている清楚系ギャルのようだ。その仕草は確かに可愛いので、余計にしてやられた(・・・・・・)感が強い。


 クリエラの態度はしゃくだが、ギルドからのお祝い品があるのは確かに魅力的である。


「何をくれるんだ?それ次第だろ?良かったかどうかは」

『へへ……そんな言い方してもダメだよっ!今回のやり取りはボクの勝ちだ!負け惜しみにしか聞こえないしぃ!」

「わかったわかった。オレの負けだ。で、何をくれるのか教えてくれ」


 負けでいい。

 何の勝負をしているのかもよくわからん。クリエラの得意げな様子を見るのがちょっと悔しいってだけ……我慢だ。


 するとオレの言葉に満足したのか、クリエラはニマっと笑顔を見せるとカウンターに潜った。そして下から見慣れたアレを出してきた。


「レシピ板か!」


 クリエラがカウンターにコトリと置いたのはレシピ板だった。

 これがお祝いの品か?確かにかなり助かるし嬉しい。


『そうだよっ!いいでしょ?しかもだよ?このレシピ板はね、魔導技師へのクラスチェンジ特典だから、ちゃんと意味あるレシピになる限定品さ!』

「どういうことだ?」


 クリエラに詳しい話を聞くと、どうもこの目の前のレシピ板に関しては魔導具(マジックアイテム)のレシピだけが得られるレシピ板だとのこと。当然普通に手に入るアイテムではないので、ここでこのタイミングでだけ得られるものらしい。

 オレはたまたま魔導技師になる前にいくつかの魔導具(マジックアイテム)レシピを入手して既に使っていたが、運営側の見込みでは『一つも入手出来ていない』もしくは『持っていても一つ程度』くらいのプレイ進行を想定していたらしく、魔導技師という職を楽しんで貰うためのレシピサービスだということだ。


 ちなみに『薬師』になった場合でも同じように専用のレシピ板プレゼントがあるらしい。フィーロはそれを貰っているとのこと。


「なるほど……」


 オレはクリエラから受け取ったレシピ板を手に取った。

 パッと見は普通のレシピ板と何も変わらない。わざわざデザインを変えるほどのことではないのだろうけど、イベント品なのだから分かりやすく変化をつけていてもいいのでは?と個人的には思う。


『早速使ってみて!良いのが出る気がするよ!』


 全くアテにならないクリエラの予感再び炸裂。

 そうでなくてもレシピ運にはほとんど恵まれていない。実用性という意味では一番最初の『ブーストLV2』が一番の大当たりだったくらいか。有用な魔導具(マジックアイテム)のレシピもあることはあるが、材料の入手が困難すぎるのが難点である。


 なるようにしかならないか。

 オレは魔導技師用の限定レシピ板を使った。オレのステータスに吸い込まれていったレシピ板(それ)は、新しいレシピに変化する。


『どれどれ?なになに?どんなレシピが手に入った?』


 いつの間にかカウンターからこちらに来ていたクリエラがオレとステータス表記の間に割り込んできた。新しいレシピがクリエラの頭で見えない。

 前もこんなことがあった気がする。どうしてオレより先にクリエラが見るんだよ。


『おぉ!凄いじゃん!大当たり!』


 いやいや。わかんないし。大当たりかどうかはオレが決めるんだよ。


「見えねえって」


 オレは目の前にあるクリエラの頭をガシッと掴んでステータスの前から強引に退()け、ステータスに追加されたレシピを見た。


―――――――――――――――――――――

名称  :迷宮脱出(エスケープ)

材料  :魔力粉×20

―――――――――――――――――――――


「……迷宮脱出(エスケープ)?!」


 表示された魔導具(マジックアイテム)のレシピ。確かにこれは有用かも知れない。

 使用するアイテムも魔力粉だけだ。でも……


「出るのが……遅い」


 それがオレの素直な感想だった。


==========================

名前:ファクト

性別:男

種族:ドワーフ

称号:採集王

==========================

職業:魔導技師

LV: 1 (総合LV22)

腕力:52 (43+ 9(STR+70%))

活力:61 (49+11(VIT+50%)+1)

敏捷:69 (59+10(AGL+70%))

器用:74 (70+ 3(DEX+70%)+1)

魔力:39

運 :45

―――――――――――――――――――――

武器:ハンティングダガー(STR+12) :即死効果50%

盾 :

サブ:クロスボウ(STR+10) :命中精度80%UP:調合士装備時

  :拳銃(不明)

弾 :ウッドボルト(STR+5)

頭 :ハードレザーバンド(VIT+4) :VIT値+1

手 :ハードレザーリスト(DEX+4) :DEX値+1

胴 :ハードレザージャケット(VIT+12) :毒無効

下肢:ハードレザートラウザ(VIT+5/AGL+4) :クリティカル回避5%

足 :ハードレザーブーツ(AGL+10) :移動速度20%UP

―――――――――――――――――――――

所持金:

 26,730G

―――――――――――――――――――――

固有スキル

 調合

 アイテム鑑定:調合士

―――――――――――――――――――――

修練スキル

 虫の知らせ

 必中

 短刀術

―――――――――――――――――――――

レシピ

 回復薬小

 回復薬中

 毒消し薬

 麻痺治療薬

 木片

 蜜蝋

 磨き粉

 砥石

 魔力粉 ※2way

 木の弾矢(ウッドボルト)

 標準弾矢(スタンダードボルト)

 徹甲弾矢(ブレイクボルト)

 火炎陣(フレイムサークル)

 回復領域(ヒールフィールド)

 迷宮脱出(エスケープ)New!

 魔力障壁(マジックウォール)

 ブーストLV2

―――――――――――――――――――――

受注クエスト

 回復薬小の納品(束)350G/10個

 毒消し薬の納品(束)250G/10個

 麻痺治療薬の納品(束)300G/10個

 回復薬中の納品(束)1,500G/10個

 魔力粉の納品(束)6,500G/10個

―――――――――――――――――――――


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