夢の魔法で闇の力が存在しない世界を作ってみたらとんでもない世界だった
登場人物
ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。さらに“マジカルブースター”によって高度な魔法の発動も出来る。ネコのような容姿を持った妖精“カーター”をパートナーとしており、その他にも多くの仲間達がいる。
ある日の夜、ハルナの前に一人の少女が現れました。
「ムフフ……!」その少女はハルナの前で笑みを浮かべていました。
「あなたは……?」ハルナが呟きました。
「私はユメ!」その少女が言いました。「私と一緒にキラキラしようよ!」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「魔法がみんなを輝かせる!」そう言ってユメが腕に装着しているマジカルチェンジャーを見せました。
「それは……!」ハルナが言いました。
「変身!」ユメが変身しました。
「魔法使い……!」ハルナが言いました。「もしかして私を倒すつもりで……!?」
「さあ、あなたも変身して!」ユメが言いました。
「くっ……!変身!」ハルナが変身しました。
ハルナとユメが戦い始めました。
とある建物の屋上に金色の竜人のような姿をした妖精“ドレイク”が佇み、ハルナの戦いを見つめていました。
「私の世界が始まる。」ドレイクが呟きました。「幕を開けるのは……君だ。」
ハルナはユメのパンチをかわして距離を取ると、マジカルブラスターを召喚してそれを撃ちました。ユメはマジカルブラスターから発射された魔法弾を受けて怯みました。
「ムフフフ……!」体勢を立て直したユメが言いました。「やっぱりあなたの魔法、すっごくキラキラしてるね!」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「ワクワクが止まらない!」ユメが言いました。「召喚、魔法の一番星!」
ユメが魔法の貨物自動車“マジカルトラック”を召喚してその運転席に乗り込みました。
「これは……!?」ハルナが驚いた様子で言いました。
ユメの運転するマジカルトラックがハルナに近づいてきました。ハルナはマジカルトラックに向けてマジカルブラスターを撃ちましたが、マジカルトラックはビクともしませんでした。
「マジカルトランスマイグレーション!」ユメがマジカルトラックでハルナに体当たりしました。
「うわああああああっ……!」ハルナが叫びました。
その瞬間、ハルナを中心に虹色の竜巻が発生し、世界中へと広がっていきました。ハルナは虹色に染まる視界の中で徐々に意識を失っていきました。
ハルナが目を覚ますと、そこには荒廃した世界が広がっていました。建物は崩れており、人の気配はありませんでした。
「ここは……?」ハルナが言いました。「私達の町なの……?」
ハルナは走り回って周囲の様子を確認しました。
「他のみんなはどこに行ったの……?」ハルナが言いました。
近くの建物の中から音が聞こえました。
「えっ……?」ハルナが呟きました。「誰かいるの……?」
ハルナがその建物の中へと入りました。薄暗いその建物の中に一人の人間がいました。
「あの……。」ハルナがその人間に話し掛けました。
その人間がハルナの方を向きました。その瞬間、壊れた壁の隙間から差し込んだ月の光がその人間の顔を照らしました。
「……!」その人間の姿を見てハルナは驚きの表情を見せました。なんとその人間はゾンビ化していたのです。
「わあああっ……!」ハルナは驚きのあまり腰を抜かしてしまいました。「な……なんで……!?」
そのゾンビがハルナににじり寄りました。ハルナは気が動転して為す術がありませんでした。
そこへボロボロになった黒いレザージャケットを着た一人の少女が姿を現し、そのゾンビの前に立ちはだかりました。
そのゾンビは立ち止まってその少女を睨みました。
「あ……あなたは……?」ハルナがその少女の背中に向かって声を掛けました。
「もう大丈夫。」その少女がハルナの方に振り向きながら言いました。
「……!」ハルナは月明かりに照らされたその少女の顔を見てさらに驚いた様子を見せました。なんとその少女の顔はハルナそっくりだったのです。
ハルナそっくりのその少女は影のせいでハルナの顔が見えなかった様子で、そのままゾンビの方を向き直してマジカルチェンジャーを構えました。
「変身。」その少女は変身しました。
その少女はそのゾンビにパンチやキックを次々と浴びせていきました。そのゾンビはその少女の攻撃を受け続けて倒れました。
ゾンビを倒し終えたその少女は変身を解除して再びハルナの方を向きました。
「平気?こっちに来て、安全な場所に連れて行くから。」その少女が言いました。
立ち上がったハルナがおそるおそるその少女に近づきました。そして月明かりがハルナの顔を照らしました。
「あなたは……!?」その少女が驚いた様子で咄嗟に身構えました。「新手のアンデッド……!?」
「違う……!私は人間だよ……!」ハルナが言いました。
「何……?」その少女が言いました。
「君も魔法少女なの……?」その少女がハルナの腕に装着されているマジカルチェンジャーを見て言いました。
「うん……。」ハルナが言いました。
「何故戦わなかったの?」その少女が言いました。
「えっ……?」ハルナが言いました。
「敵が目の前にいたのに、どうして変身して戦わなかったの?」その少女が言いました。
「だって……あの時はビックリしてて……。」ハルナが言いました。
「あなたが何者なのかは分からない。でももし人間ならばこれだけは忠告しとく。敵を前にしたら最後、戦わなければ生き残れない。」その少女が言いました。
「うん……分かってる……。」ハルナが言いました。「でも、そんなことより……。」
「とにかく話は後にしよう。」その少女が言いました。「隠れ家がある。まずはそこを目指そう。」
ハルナとその少女はとある廃屋へとやって来ました。
「おかえり、ハルナ。」その部屋にはカーターがいました。
「カーター……!?」ハルナがカーターを見て驚いた様子で言いました。
「ハ、ハルナが二人……!?」カーターがハルナとその少女を見て驚いた様子で言いました。
「落ち着いて、カーター。この子は……。」その少女が言いました。「君、カーターのことを知っているの?」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「だって今、カーターの名前を……。」その少女が言いました。
「ボクは何が何だかサッパリだよ!」カーターが言いました。「この状況に対する論理的な説明が欲しいな!」
「私がカーターのことを知ってるのは当然だよ。だってカーターは私のパートナーなんだもん。」ハルナが言いました。
「私もカーターのパートナーだけど……。」その少女が言いました。
「えっ……?」ハルナが言いました。
「ちょっと待って……!」カーターが言いました。「ボクがマジカルチェンジャーを渡したのはハルナ一人だ。ハルナが二人いたとしても、その内のどちらか一人だけだ。」
「そのハルナってのが私だよ。」ハルナが言いました。
「いや、ハルナは私だよ。」その少女が言いました。
「えっ……!?ええっ……!?」ハルナが困惑した様子で言いました。
「やっぱり君はおかしい。顔も名前も同じだなんて……。」もう一人のハルナが言いました。「君は一体何者なんだ……?」
「知らないよ……!そっちこそ誰……!?どうして私が二人いるの……!?」ハルナが言いました。
「うーん……。」カーターが考えながら言いました。
「何か閃いたの?」もう一人のハルナが言いました。
「考えられるとするならば、魔法だよ。」カーターが言いました。
「魔法……。」もう一人のハルナが呟きました。
「誰かが魔法でハルナのコピーを生み出したんだ。」カーターが言いました。
「私のコピー……?」もう一人のハルナが言いました。
「いや、そっちが私のコピーなんじゃ……?」ハルナが言いました。
「何故?」もう一人のハルナが言いました。「私はこの世界でずっと生き抜いてきた。私を知る多くの者が戦いの中命を落としたけど、証人としてここにカーターがいる。」
「うん。」カーターが言いました。「少なくともボクがマジカルチェンジャーを渡したのはこっちのハルナだ。」
「そんな……!」ハルナが言いました。「闇の力から世界の平和を守る為にマジカルチェンジャーをくれたじゃん……!」
「闇の力……?」もう一人のハルナが言いました。
「うん……。」ハルナが言いました。
「それは一体……?」もう一人のハルナが言いました。
「えっ……?」ハルナが言いました。
「聞いたことの無い力だね。」カーターが言いました。
「だって……私を襲ったあのゾンビは闇の力で生み出されたんじゃ……?」ハルナが言いました。
「魔法の力だよ。」カーターが言いました。「研究好きな妖精がウイルスに魔法をかけて人間をアンデッドに変えるウイルスへと変化させたんだ。それが世界に広がって今の状況に陥ってるんだよ。」
「えっ……?」ハルナが言いました。
「どうもおかしい……。」もう一人のハルナが言いました。「この子の知識と現実とがあまりにかけ離れ過ぎてる。」
「コピーを生み出す魔法に欠陥があったんだろうね。」カーターが言いました。
「或いはこうは考えられない?」もう一人のハルナが言いました。「この子は並行世界の私なんじゃないかと。」
「えっ……?」カーターが言いました。
「私達の住む世界とよく似た別の世界が存在して、この子は魔法を使ってそちらの世界からこちらの世界に移動してきたと考えれば一応のつじつまは合う。」もう一人のハルナが言いました。
「キミまでおかしなことを……。」カーターが言いました。「パラレルワールドなんて所詮は空想の産物、世界は一つしか存在しないよ。」
「じゃあやっぱりこの子はただのコピー……?」もう一人のハルナが言いました。
「私ももう私自身が何者なのか分からなくなってきたよ……。」ハルナが言いました。
「いや、ひょっとしたら……!」カーターが言いました。
「ん……?」もう一人のハルナが言いました。
「世界は一つだけだけど、その世界を作り替える魔法が有れば……。」カーターが言いました。
「世界を作り替える魔法……?」もう一人のハルナが言いました。
「そうだよ!」カーターが言いました。「闇の力が存在する世界とやらを誰かが作り替えたんだ、闇の力が存在しない世界に!」
「でも、世界を作り替えれば世界に存在するもの全てが作り替えられる。作り替えられる前の私と作り替えられた後の私が同時に存在することは有り得ない。」もう一人のハルナが言いました。
「とも限らないよ。」カーターが言いました。「ハルナが変化した後に変化する前のハルナを特殊召喚すれば変化前のハルナと変化後のハルナを同時に並べることだってきっと出来るよ!」
「いや、その理屈はどこか間違っている気がする。」もう一人のハルナが言いました。
「そうかな?」カーターが言いました。
「難し過ぎて分からないや……。」ハルナが言いました。「とにかくこの世界は私の知っている世界とは違う。何とかして元の世界に戻さないと……。」
「もし先の仮説が正しければ、世界を変えた魔法を無効にすれば世界を元に戻すことが出来るハズだよ。」カーターが言いました。
「もしそうなれば……?」もう一人のハルナが言いました。
「ボク達も元に戻る。と言うか、ボク達の存在が消えて元のボク達が戻ってくるって言う方が自然なのかな?まあとにかく、世界が変わるワケだね。」カーターが言いました。
「君……。」もう一人のハルナがハルナに言いました。「その世界ではサクラ達は生き延びているの?」
「生きてるけど……むしろこっちだと死んじゃってるワケ……?」ハルナが言いました。
「うん……。」もう一人のハルナが言いました。「サクラも……他のみんなも全員命を落とした……。」
「そんな……。」ハルナが言いました。
「みんなの命を取り戻せるなら、夢物語でも乗ってみる価値はあるかも知れない。」もう一人のハルナが言いました。
「でももし私の記憶がニセモノで、私がただの出来損ないのコピーだったら……?」ハルナが言いました。
「その時はその時で何とかする。」もう一人のハルナが言いました。「所詮死に損なった命だしね。」
「うん……。」ハルナが言いました。
「でも、いざ行動を起こすにしても、まずはその魔法を発動させた人物を突き止めなくちゃ……。」カーターが言いました。「ハルナがやったんじゃ無いよね?」
「うん……。」ハルナが言いました。「世界を変える魔法を使ったのは、多分、ユメっていう子……。」
「ユメ……!?」もう一人のハルナとカーターが言いました。
「その子の魔法を受けて、気がついたらこんなことに……。」ハルナが言いました。
「まさか……ユメが……?」もう一人のハルナが言いました。
「知ってるの……?」ハルナが言いました。
「ユメは魔法少女としてアンデッド達と戦いながら生き残った者達をまとめ上げ、新たな国家を作ろうとしている。」もう一人のハルナが言いました。
「文明が崩壊した今の世界で人類が生き延びる為に新しい国家は必要不可欠。もしそれが出来れば人類にも希望が開けてくるよ。」カーターが言いました。
「でも、私にはユメの謳う理想郷が信じられない。」もう一人のハルナが言いました。
「どういうこと……?」ハルナが言いました。
「ユメは新しい国家では魔法少女が国民の安全を保障するから、安心して平和な生活を営むことが出来ると言っている。でも、今のこの世界でそんな国家を設立することなんて不可能だよ。魔法少女の力ではみんなの命は守れない。」もう一人のハルナが言いました。
「そっか……みんなが死ぬとこ、見てきたんだよね……。」ハルナが呟きました。
「だから私はこうして守れるだけの人達を守って戦ってる。」もう一人のハルナが言いました。
「いずれにせよ、行動を起こすとなればユメを倒すことになる。これは新たに設立されようとしている国家に対する敵対行為になるね。」カーターが言いました。
「それでみんなの命が戻って来るなら、躊躇うことはない。」もう一人のハルナが言いました。
「でも、もし私の記憶がニセモノだったら……?」ハルナが言いました。「私の記憶が本物だという保証はどこにもない……。もし私の記憶がニセモノで、それでユメを倒しちゃったら……。」
「新国家の構想は途端に崩れる……。」カーターが言いました。「人類はまた希望を失うことになる。」
「新国家の齎す希望こそ偽物だよ。」もう一人のハルナが言いました。「私は私の信じる道を行く。」
「ハルナ……。」カーターが言いました。
ハルナともう一人のハルナとカーターは荒野に佇む砦の傍までやって来ました。その砦の周辺には戦闘服に身を包んだ多数の兵士達がおり、周囲の警戒を行っていました。
「あの建物が……?」ハルナが言いました。
「新国家の中心となる建物だね。」カーターが言いました。「あの建物の周囲に色々な施設を建てて新しい国家を作る計画なんだ。」
「国民になりたいと願う人々が日中働いて施設を建てているらしいけど……。」もう一人のハルナが言いました。
「それで、あの兵士達は……?」ハルナが言いました。
「アンデッド達と戦う魔法少女って話だけど……。」カーターが言いました。
「実力の程が不明な上に、魔法少女であるかさえも疑わしいね。」もう一人のハルナが言いました。
「でも、実際にこの周囲にアンデッドはいないね。」ハルナが言いました。
「まあ、少なくとも今のところは上手くやってる様子だね。」カーターが言いました。「だから支持者も増えてきている。」
「とは言っても、多くの人間が集まればそれだけ多くのアンデッド達も集まってくる。いずれは対処しきれなくなるよ。」もう一人のハルナが言いました。
「で、どうする?」カーターが言いました。
「兵士の数が多過ぎる。忍び込んで暗殺するしか無い。」もう一人のハルナが言いました。
ハルナともう一人のハルナとカーターは砦の内部へと忍び込みました。
「中に兵士はいないようだね。」カーターが言いました。「外の警備で手一杯なのかな?」
「それならそれで話が早いね。」もう一人のハルナが言いました。「後はユメを見つけて暗殺するだけだ。」
「そうは行かない。」そこへドレイクが姿を現しました。
「あなたは……!?」ハルナが言いました。
「妖精……!?」カーターが言いました。「と言うことはまさか……!?」
「私はドレイク、ユメのパートナーだ。」ドレイクが言いました。
「ドレイク……。」もう一人のハルナが言いました。
「兵士がいないことに驚いている様子だが、当然のことだ。他の奴らをユメの傍に置いておくワケにはいかない。ユメのことは私が守る。」ドレイクが言いました。
「世界を元に戻させない為?」もう一人のハルナが言いました。
「お前は……この世界のハルナ……。どうやら元の世界のハルナから話を聞き、その話を信じたようだな。」ドレイクが言いました。「しかし二人のハルナが邂逅するとは……。いや、必然の展開か……?」
「この世界はホントにユメちゃんが作り替えた世界なの!?」ハルナが言いました。「そんなスゴい魔法が……!?」
「マジカルトランスマイグレーションはマジカルトラックでのみ発動可能な上級魔法だ。魔法使い一人を対象として発動し、世界を作り替えることが出来る。対象となった魔法使いの持つ魔力が強ければ強い程に大きく世界を変えることが出来、その為に君が選ばれた。」ドレイクが言いました。
「そんな……!」ハルナが言いました。
「対象となった魔法使いは例えるならば触媒のようなもの。世界が変化を起こしても触媒のみは変化せず、それどころか特異な存在として変化後の世界に残ることになる、変化した世界の自分自身と共に。」ドレイクが言いました。
「そんな魔法があるなんて……!」カーターが言いました。
「やはりカーターの仮説は正しかったのか……。」もう一人のハルナが言いました。
「そっちのハルナが特異な存在であることは分かった。」カーターが言いました。「それじゃあキミとそのユメって子はどうなんだ?」
「マジカルトランスマイグレーションは根本から世界を変える魔法だ。発動した本人も例外では無く変化する。」ドレイクが言いました。
「つまり、今の私に前の世界の記憶が無いように、今のユメには自分が今の世界を作ったという記憶が無いということなの……?」もう一人のハルナが言いました。
「そういうことになるな。」ドレイクが言いました。
「それじゃあユメちゃんは何も知らないでこの世界を生きてるワケ?」ハルナが言いました。
「マジカルトランスマイグレーションは一度しか使えない魔法。一度使ってしまえばその魔法の存在自体が記憶から消える。今のユメは世界を作り替える魔法が存在することも知らないのだから当然今の世界を自分が作ったなんて発想は無い。」ドレイクが言いました。
「それじゃあこの世界で自分が中心の国家を作ろうとしているのは……?」もう一人のハルナが言いました。
「ユメが本気で人々の幸せを願ってやっていることだ。」ドレイクが言いました。「ユメが今の世界を作ったのも闇の力が無くなれば平和な世界が生まれると思ったからだ。」
「そんな……。」ハルナが言いました。
「ユメは闇の力によって両親を失い、その後は私の手で育てられた。そんなユメが闇の力の存在しない世界を目指すのは当然のことだ。」ドレイクが言いました。「しかし、闇の力が存在しない世界では妖精が横行することになり、結果として平和な世界は実現しなかった。」
「元の世界では闇の力に対抗するのに妖精達も手一杯だったからね……。」ハルナが言いました。
「それはそうと、どうしてキミはそっちのハルナと同じように元の世界の記憶を失っていないんだ?」カーターが言いました。「マジカルトランスマイグレーションの力によって記憶を失うハズなんじゃないのか?」
「私はユメのことをずっと見ていた。そしてユメの発動したマジカルトランスマイグレーションへのカウンターとして自身の記憶を保持する魔法を発動させることで真相の忘却を回避したのだ。」ドレイクが言いました。
「真相を知っているなら、何か出来たんじゃ無いの……!?」ハルナが言いました。
「いや……。」カーターが言いました。
「マジカルトランスマイグレーションは一度しか使えない。ユメに真相を話したところで不必要にユメを苦しめるだけだ。」ドレイクが言いました。
「そっか……。」ハルナが言いました。
「マジカルトランスマイグレーションは過去も書き換えてしまうが、この世界において私は元の記憶を保持した状態で生まれたことになっている。」ドレイクが言いました。「私はこの世界でユメを見つけ出し、そして再びパートナーとなった。全てはユメを守る為……。そしてユメはこの世界で新たな夢を実現させようとしている。お前達にユメは倒させない。」
「うう……。」ハルナが言いました。
「いや、ユメさえいなくなれば少なくとも今よりはマシな世界が戻ってくる。大勢の命が救われる。だったら私は何としてもユメを倒す!」もう一人のハルナが言いました。
「そんな……。」ハルナが言いました。
「今の世界が魔法によって歪められた世界であるならば、その魔法は解かなければならないとボクは思う。」カーターが言いました。
「そうはさせない。」そう言ってドレイクが身構えました。
「何の騒ぎ?」そこへユメが姿を現しました。
「ユメ……。」ドレイクが言いました。「侵入者だ。君の命を狙っている。」
「私の理想を阻もうとする者が……?どうして……?」ユメが言いました。
「お前の理想など、幻だ!」もう一人のハルナが言いました。「今の世界を作り上げた元凶のクセに……!」
「何……?」ユメが言いました。
「この者は疑念のあまり妄想に取りつかれているようだ。」ドレイクが言いました。「ここは私が……。」
「いや、私がやる。」ユメが言いました。「私の理想に異議を唱える者がいるのであれば、私には真っ向からそれを受け止める義務がある!」
「変身!」もう一人のハルナが変身しました。
「変身!」ユメが変身しました。
もう一人のハルナとユメが殴り合いを始めました。
「そんな……。私はどうすれば……?」ハルナが言いました。
「何もせず、ユメの理想に付き従えば良いのだ。」ドレイクが言いました。「ユメがこの世界に理想郷を作り上げる。」
「でも……。」ハルナが言いました。
「ハアッ!」ユメのパンチがもう一人のハルナに直撃しました。
「うあっ……!」もう一人のハルナがふっ飛ばされて壁を突き破り、砦の外へと出ました。
「フッ!」ユメが壁に空いた穴から砦の外へと出ました。
もう一人のハルナとユメが砦の外で戦い始めました。周囲にいた兵士達が驚いた様子で二人の戦いを見ていました。
ハルナとカーターとドレイクも砦の外に出ました。
「皆、撃つな!」ドレイクが叫びました。「これはユメ様の戦いだ!」
もう一人のハルナとユメが殴り合いを続けました。
「もしこの戦いにハルナが勝てば、世界は元通りに……。」カーターが呟きました。
「そう上手く行くかな?」ドレイクが言いました。
「ユメちゃん……。」ハルナが呟きました。
「ハアッ!」もう一人のハルナのパンチがユメに直撃しました。
「ああっ……!」ユメが怯みながら後退しました。
「これで終わらせる!」そう言ってもう一人のハルナはフェイタルアーツを発動しました。
「マジカルキック!」そう言ってもう一人のハルナがユメに跳び蹴りを放とうとしました。
「待って……!」ハルナが叫びました。
「ん……!?」その瞬間、もう一人のハルナの動きが止まりました。
次の瞬間、体勢を立て直したユメがフェイタルアーツを発動しました。
「マジカルダイブ!」ユメが虹を描きながらもう一人のハルナに跳びかかりました。
ユメがもう一人のハルナに直撃すると同時に爆発が起こりました。
「うわああああああっ……!」もう一人のハルナがふっ飛ばされてハルナの足元に倒れ込みました。
「ハルナ……!」カーターが叫びました。
「そんな……!」ハルナが言いました。
ユメは爆発の起こったその場所に何事も無かったかのように佇んでいました。
「フン……。」ドレイクが言いました。
「うっ……!ううっ……!」もう一人のハルナが地面に倒れ込んだまま変身を解除しました。
「しっかりして……!」ハルナがもう一人のハルナに寄り添って言いました。
「みんなを……幸せに……。」そう言いながらもう一人のハルナがマジカルテックモバイルを手渡しました。
「これは……?仲間の形見……?」ハルナが訊ねました。
もう一人のハルナはハルナに微笑みかけるとそのまま消滅しました。
「ハルナ……。」カーターが呟きました。
ハルナは立ち上がってユメを睨みつけました。
「どうしてこんなことを……!?」ハルナが言いました。
「私の理想に異議を唱え、戦いを挑んできたのはそちらの方だ。」ユメが言いました。「私は自身の理想をかけてその戦いに応じたまで。」
「でも、あの時あの子は攻撃を止めてた!なのにどうして……!?」ハルナが言いました。
「戦いの中で信念が揺らぐようなら所詮はそこまでということ。」ユメが言いました。「私は私の理想を実現する為、決して信念を曲げたりはしない!」
「くっ……!」ハルナが言いました。
「さて、どうする?」ユメが言いました。「姉妹の信念を継ぎ私に戦いを挑むか……それとも、すぐに揺らぐような信念は捨て去り、私の理想に従うか……?」
「あなたは自分の夢を叶える為にあの子の命を犠牲にした、話し合いで解決出来る余地はあったハズなのに……!」ハルナが言いました。「だったら私も容赦はしない!私が正しいと思うことの為にあなたを倒す!」
「望むところ!」ユメが言いました。「でも、私の理想は何人たりとも打ち砕けない!」
「今の私にはもう一人の私から託された力がある!」そう言ってハルナはマジカルテックモバイルの変身アプリを起動しました。
「何だそのケータイは!?」ユメが言いました。
「マジカルテックモバイル……急激に滅びゆくこの世界でツバキとプラトンが死ぬ間際に完成させた魔法のスマートフォン……。」カーターが言いました。
「闇の力が存在しないこの世界でも、世界の平和を守る為に妖精と人間が力を合わせて作り上げたんだよ、魔法のアイテムを!」ハルナが言いました。「変身!」
変身したハルナが身構えました。
「そんな物で私の理想を砕けるハズが……!」そう言ってユメがハルナに殴り掛かりました。
ハルナはユメが次々繰り出すパンチを悉く防ぎ、逆にユメをパンチで怯ませました。ユメはすぐに体勢を立て直して再びハルナに殴り掛かりましたが、ハルナはユメの攻撃を全て防ぎ、今度はユメを蹴り飛ばしました。
「うわああっ……!」ユメが地面の上を転がりました。
「まさか……。」ドレイクが呟きました。
ハルナはマジカルテックモバイルのクロスボウ召喚アプリを起動して、マジカルテッククロスボウを召喚し、それを手にしました。
ハルナはマジカルテッククロスボウに矢をつがえるようにマジカルテックモバイルを接続し、その弦を引きました。
「くっ……!ううっ……!」ユメがよろめきながら立ち上がりました。
「ハアアッ!」ハルナがマジカルテッククロスボウの引き金を引くと同時にマジカルテッククロスボウから魔法の矢が発射されました。
「うわああああああっ……!」ハルナの放った魔法の矢を受けてユメは倒れ込みました。
ハルナはマジカルテッククロスボウからマジカルテックモバイルを外してユメを見つめました。
「バカな……!」そう言ってユメが立ち上がろうとしました。「私の理想が……破られるなんてことが……。」
「次の攻撃で、私の勝ちだよ。」そう言ってハルナが構え直そうとしました。
「ハアッ!」その瞬間、ドレイクがハルナを殴りつけました。
「うあっ……!」ハルナがマジカルテックモバイルを手放しながら転倒しました。
「ドレイク……!」カーターが言いました。
「このまま君にユメを倒されるワケにはいかない。」ドレイクが言いました。
「ドレイク……何を……!?」ユメが立ち上がりながら言いました。「この勝負は……私の負けだ……!」
「敗北を認めて潔く死を選びたいと言うのであれば、望み通りにしてやろう。」ドレイクが言いました。
「何……?」ユメが言いました。
「ハアッ!」ドレイクが掌から魔法弾を放ってユメを攻撃しました。
「うあっ……!」ユメが叫びました。
「そんな……!」ハルナが言いました。
「どういうコトだ……!?」カーターが言いました。「アイツはユメを守ろうとしてたんじゃ……!?」
ユメはドレイクの攻撃を受けてそのまま消滅しました。その瞬間、ユメの持っていた魔力がドレイクの手に持つアイテムに吸収されていきました。
「アレは……!?」カーターが言いました。
「マジカルアブゾーバー……?」ハルナが言いました。
「本来は魔法使い専用の装備アイテムなのだが、改良を加えていてね、妖精にも扱えるようになっているのだよ。」そう言ってドレイクがユメの魔力を吸収したマジカルアブゾーバーを自身に突き刺しました。
「ウアアアアアアアッ!」ドレイクがユメの魔力を吸収して強化されました。
「まさか……!?」カーターが言いました。
「ユメの持っていた魔力は私が受け継いだ。これによりマジカルトランスマイグレーションの効果は無効にならなくなった。」ドレイクが言いました。
「でも、あなたのパートナーであるユメが……!」ハルナが言いました。
「確かにユメは私のパートナーだった。でも、今は違う!」ドレイクが言いました。
「どういうコト……!?」ハルナが言いました。
「私がユメをパートナーに選んだのはマジカルトラックを召喚しマジカルトランスマイグレーションを発動させる力を持っていたからに過ぎない。」ドレイクが言いました。
「えっ……?」ハルナが言いました。
「私の目的は妖精が支配する世界を作り上げること。その為に厄介な闇の力をユメの力で消し去り、妖精が支配出来る世界に変えたのだ!」ドレイクが言いました。
「そんな……!」カーターが言いました。
「ここにいる兵士達も皆、私の計画に賛同する妖精達だ!」ドレイクが言いました。
「お前達はこの世界を支配しようなんて考えているのか!?」カーターが言いました。
「当初の計画ではユメを表向きの支配者として祭り上げ、陰から人間達を支配するつもりだったが、ユメが敗れた今、計画は変更だ。我々が直接人間達を支配する!」ドレイクが言いました。
「くっ……!」カーターが言いました。
「そんな……。」ハルナが呟きました。
「この世界は終わらせない!我々妖精がこの世界に君臨するのだ!」ドレイクが言いました。
兵士達がハルナとカーターに銃を向けました。
「ここは一旦逃げるよ、カーター!」そう言ってハルナはマジカルテックモバイルの乗り物召喚アプリを起動してマジカルテックサイクルを召喚すると、カーターと一緒にそれに乗ってその場から離れていきました。
兵士達が魔法の短機関銃を撃ち始めました。ハルナは魔法弾が飛んでくる中必死にマジカルテックサイクルを走らせました。
そしてハルナとカーターは無事にその場から逃げ果せました。
「フン、逃げたか……。」ドレイクが言いました。「まあ良い。最早この世界で生き残っている魔法使いはそうはいない。魔法使いも、人間に与する愚かな妖精達もその殆どがアンデッドによって死に絶えた。我々の支配は揺るがない!」
ハルナとカーターはマジカルテックサイクルに乗って街中へと戻って来ました。通りには多数のゾンビ達が徘徊していました。
「ハルナ……!」カーターが叫びました。
「ハアーッ!」ハルナはマジカルテックサイクルに乗ったままゾンビ達に体当たりを行いました。体当たりを受けたゾンビ達は次々とふっ飛ばされて倒れていきました。
ハルナとカーターは何とか隠れ家へと戻って来ました。
「これからどうするの?」カーターが言いました。
「ドレイクを倒さなくちゃ……。」ハルナが言いました。「このままじゃ、世界がアイツに支配されちゃう……。」
「でも、ボク達だけでヤツの元に乗り込んでいったところで勝ち目があるとは思えない。」カーターが言いました。
そこへ突然、二人の少女と一体の妖精が上がり込んできました。
「久しぶりね、ハルナ。」少女の一人が言いました。
「アオイさん……!?」ハルナが驚いた様子で言いました。
「どうしたのかな、そんなに驚くなんて?」もう一人の少女が言いました。
「ナナミちゃん……!」ハルナが言いました。「どうして……!?」
「何があった?」その妖精が言いました。
「ドグマ……。」カーターが言いました。「色々あってね……。」
「話してみて。」アオイが言いました。
「信じられないことが分かったんだ。」カーターが言いました。
「信じられないこと……それって何かな?」ナナミが言いました。
「ボク達が今いる世界はどうやら魔法によって作り替えられた世界みたいなんだ。」カーターが言いました。
「何……?」ドグマが言いました。
「元々の世界は今よりももう少しまともな世界だったらしくて、今ここにいるハルナはその世界のハルナなんだ。」カーターが言いました。
「どういうことかな?」ナナミが言いました。
「私達の知っているハルナはどこにいったの?」アオイが言いました。
「殺された。」カーターが言いました。
「そんな……。」ナナミが言いました。
「そう……。」アオイが言いました。「とうとうハルナも死んでしまったのね。」
「信じられない……。今も確かに目の前にハルナがいるのに……。」ナナミが言いました。
「私は信じるわ。」アオイが言いました。「ここにいるハルナは確かに私達の知るハルナじゃない。」
「この世界が魔法で作り替えられていると言ったな?」ドグマが言いました。「ならば元に戻す必要があるのでは無いか?」
「その為にはドレイクという妖精を倒す必要がある。でもドレイクはユメが築こうとしていた新国家を乗っ取って多数の兵士達と共にこの世界を支配しようとしている。ボクとハルナだけではどう考えてもドレイクを倒すことが出来ない。」カーターが言いました。
「だったら私達も手を貸すわ。」アオイが言いました。「正義の為に戦いましょう。」
「うん。みんなで力を合わせて元の世界に戻ろう!」ナナミが言いました。
「でも……!」ハルナが言いました。
「何を躊躇う理由があるの?」アオイが言いました。「正義の為には戦わなければならないわ。」
「私達は帰る家を奪われた。もし失った物をを取り戻せるなら、何だってする。」ナナミが言いました。
「みんなにとって必ずしも元の世界が良いとは限らないかも知れない。」ハルナが言いました。
「どういうこと?」カーターが言いました。
「私はまだマシな方だけど、元の世界でアオイさんは闇の力との戦いで精神を病んでるし、ナナミちゃんはもう死んじゃってる。二人にとってはこっちの世界の方がマシかも知れない。」ハルナが言いました。
「そんな……。」カーターが言いました。
「だが、魔法によって歪められた世界は何としても元に戻さなければならない。」ドグマが言いました。
「ええ、その通りね。」アオイが言いました。
「今までずっと言うのを我慢してたんだけど、私、思ってたんだ、これが私の見てる夢だったらどんなに……どんなに良いだろうって。もし、これが夢なら……死んでも良い。」ナナミが言いました。
「ナナミちゃん……。」ハルナが言いました。
「戦いましょう……!戦って、世界を元に戻しましょう!」アオイが言いました。
「うん!」ハルナが言いました。
次の日の朝、人々が砦の前に集まると、そこには装甲や楔、機関銃によって強化が施されたマジカルトラックに乗ったドレイクと兵士達が待ち受けており、さらにその周りには数台のバギーカーに乗った兵士達もいました。人々はその光景を前に唖然としていました。
「今日を以ってこの世界は我々妖精が支配する!」ドレイクが言いました。「お前達人類は滅びるのだ!」
マジカルトラックと数台のバギーカーが人々に向かって走り出しました。それらの乗り物に乗った兵士達が機関銃を乱射して逃げ惑う人々を倒しました。
戦いに備えて隠れ家で休んでいたハルナとアオイとナナミの元にカーターとドグマがやって来ました。
「大変だ!」カーターが言いました。
「連中が車でこちらに向かってきている。」ドグマが言いました。
「きっとこの町で生き残っている人々を皆殺しにするつもりだ!」カーターが言いました。
「何ですって……!?」アオイが言いました。
「戦いの時が来たってことかな?」ナナミが言いました。
「行こう、みんな!」ハルナが言いました。
「変身!」ハルナとアオイとナナミが変身しました。
「頑張ってね、みんな!」カーターが言いました。
ハルナとアオイとナナミが通りに出ました。通りには多数のゾンビ達がいました。
「まずはコイツらから片付ける必要がありそうね。」アオイが言いました。
「うん!」ナナミが言いました。
アオイとナナミがそれぞれマジカルワンドとマジカルダスターを構えました。それと同時にそれらの武器に輝く魔法の刃が生成されて剣のような形になりました。アオイとナナミは魔法の刃で次々とゾンビ達を倒していきました。
ハルナもマジカルブラスターを使ってゾンビ達を倒していきました。
ハルナとアオイとナナミがゾンビ達を全滅させるとドレイクと兵士達が乗った乗り物がその通りに近づいてきました。
「分散して攻撃を仕掛けるわよ!」アオイが言いました。
「正面は任せて!」ナナミがマジカルダスターを放り投げて言いました。
ハルナとアオイはその場から散っていきました。
ドレイクと兵士達がその通りへとやって来ました。
「ん……?」通りの中央に佇むナナミを見てドレイクが言いました。「何だアイツは?殺せ!」
次の瞬間、ナナミがフェイタルアーツを発動しました。それと同時にナナミの体の各所がミサイルポッドへと変化しました。
「マジカルフルバースト!」ナナミが全身から魔法のミサイルを発射しました。
ナナミの放った魔法のミサイルにより兵士達の乗ったバギーカーが次々と爆発炎上していき瞬く間に全滅しました。
マジカルトラックの周囲にも魔法のミサイルが直撃し、マジカルトラックが大きく揺さぶられました。
「くっ……!」ドレイクが言いました。
攻撃を終えたナナミは物陰に身を隠しました。
「ハアッ!」アオイが建物の屋上からマジカルトラックの上に飛び乗りました。
兵士達がアオイに襲い掛かりました。アオイは魔法の刃で兵士達を次々と倒していきました。倒された兵士達はマジカルトラックの上から通りへと落下し、地面に叩きつけられていきました。
さらに路地からマジカルテックサイクルに乗ったハルナが姿を現し、マジカルブラスターを撃ってマジカルトラックを攻撃しました。ハルナの攻撃を受けてマジカルトラックがさらに揺れました。
「おのれ……!」そう言ってドレイクは自らアオイに襲い掛かりました。
アオイとドレイクがマジカルトラックの上で戦い始めました。
ハルナはマジカルテックサイクルに乗りながら折を見てはマジカルブラスターを撃ってマジカルトラックを攻撃していましたが、マジカルトラックはなかなか止まる様子を見せませんでした。
ドレイクはアオイの振り下ろした魔法の刃を受け止めると、アオイを蹴り飛ばしました。
「うああっ……!」アオイはマジカルトラックから落下してしまいました。
「アオイさん……!」ハルナが言いました。
「ハアッ!」ドレイクがマジカルトラックの上から魔法弾を放ってハルナに攻撃を仕掛けました。
ハルナはドレイクの攻撃をかわしながらマジカルテックサイクルを走らせました。
「マジカルショット!」ハルナが魔法散弾を放ってマジカルトラックを攻撃しました。
ハルナの放った魔法散弾を受けて遂にマジカルトラックが煙を吹き始めました。
「何……!?」ドレイクが言いました。
コントロールを失ったマジカルトラックが建物へと突っ込んでいきました。ドレイクはマジカルトラックが建物に激突する寸前にマジカルトラックから飛び降りました。建物に激突したマジカルトラックは爆発してその建物は倒壊しました。
「そんな……!有り得ん……!」ドレイクが爆発したマジカルトラックを見ながら言いました。
ハルナはマジカルテックサイクルから降りてドレイクと対峙しました。
「フッハハハハハッ……!なるほど……。まだまだ私を楽しませてくれるというワケか……!」ドレイクが言いました。
「今こそ世界を元に……!」ハルナが言いました。
ハルナとドレイクが同時に走り出しました。そしてハルナは走りながらドレイクにパンチを繰り出しました。ドレイクはハルナのパンチを受け流し、パンチを繰り出しました。ハルナはドレイクのパンチをかわすと、ドレイクにパンチを当てました。ドレイクはハルナのパンチを受けても怯まずにパンチを繰り出しました。
「うあっ……!」ハルナはドレイクのパンチを受けて怯みました。
ドレイクはさらにパンチを繰り出しました。ハルナはドレイクのパンチを防ぐと、連続でパンチを繰り出してドレイクに攻撃を仕掛けました。ドレイクはハルナのパンチを全て防ぎ、逆にハルナに連続でパンチを浴びせました。
「うああっ……!」ハルナはドレイクの攻撃によりふっ飛ばされて地面の上を転がりました。
「くうっ……!」ハルナが立ち上がりました。
ドレイクが立ち上がったハルナに襲い掛かりました。ハルナはドレイクのパンチをかわしてその背後に回り込み、パンチを繰り出そうとしました。
「ハアアッ!」その瞬間、ドレイクが体から衝撃波を放ちました。
「うあっ……!」ハルナはドレイクの放った衝撃波によりふっ飛ばされました。
「ハアッ!」ドレイクがハルナの方を向いて掌から魔法弾を放ちました。
「うっ……!」ハルナはドレイクの放った魔法弾を腕で防ぎ、立ち上がりました。
ドレイクがハルナに跳びかかりました。ハルナはドレイクの放ったパンチを一度は防ぎましたが、続けて繰り出された二発目のパンチを受けて怯みながら後退しました。
「ハアッ!」ドレイクが魔法弾を放ちました。
「うああっ……!」ハルナがドレイクの放った魔法弾を受けて爆発と共に怯みました。
体勢を立て直したハルナがマジカルブラスターを召喚してそれを構えました。
「ハアッ!」ハルナがマジカルブラスターを撃ちました。
「ウッ……!」ドレイクがハルナの放った魔法弾を受けて怯みました。
ハルナがすかさずマジカルブラスターに魔力をチャージしました。
「マジカルブラスト!」ハルナが大きな魔法弾を放ちました。
「ハアアアッ!」体勢を立て直したドレイクが掌から魔法線を放ちました。
ハルナの放った大きな魔法弾はドレイクの放った魔法線に押し返され、そのままハルナに直撃しました。
「うあああああああっ……!」ハルナが爆発と共にふっ飛ばされて地面に倒れ込みました。
「お前の攻撃など通用するものか!」ドレイクが言いました。
「それはどうかな……?」ハルナがゆっくりと立ち上がりながら言いました。
「何……?」ドレイクが言いました。
「フフフ……。」ハルナが笑いました。
「何がおかしい?」ドレイクが言いました。
「あなたは私の策に嵌まったんだよ。」ハルナが言いました。
「何を……!?」ドレイクが言いました。「この状況で私がお前の策に嵌まっただと……!?」
「私にはダメージを受ける度に攻撃力がアップするスキルがある!」ハルナが言いました。
「何……!?」ドレイクが言いました。「私の攻撃を受けることで攻撃力を上げていたと言うのか……!?」
「そう!そしてここからがショータイム!」ハルナが言いました。「お楽しみはこれからだよ!」
「いや……!このままトドメを刺してやる!ハアアアアアアアッ!」ドレイクが魔法弾を放ちました。
「フッ!」ハルナはマジカルブースターを起動しました。
ハルナが掌をかざすと同時にドレイクの放った魔法弾が消滅し、ハルナの背後に無数の火柱が立ちました。
「何……!?」ドレイクが言いました。
「ハアアアアアアアッ!」ドレイクがハルナに向かって走り出しました。
ドレイクがハルナにパンチを繰り出した瞬間、ハルナの姿が消えました。
「ん……!?」ドレイクが周囲を見渡しました。
ハルナはドレイクの背後の上空に瞬間移動していました。そしてハルナは空中に浮かんだままフェイタルアーツを発動しました。
「マジカルキック!」ハルナが空を飛びながらドレイクに跳び蹴りを繰り出しました。
「ウアアアアアアアッ……!」ドレイクはハルナの跳び蹴りを受けてふっ飛ばされました。
「バ……バカな……!この……私が……!」ドレイクがよろめきながら立ち上がろうとしました。「これが……ヤツの……魔力……!?」
ドレイクはそのまま力尽きて爆発しました。
次の瞬間、虹色の竜巻が発生して世界に広がっていきました。ハルナは元に戻りゆく世界の中でゆっくりと意識を失っていきました。
ハルナはその通りで目を覚ましました。
「ここは……?」ハルナが呟きました。
そこへカーターがやって来ました。
「ハルナ……!」カーターが言いました。
「カーター……。」ハルナが体を起こしながら呟きました。
「探したんだよ!」カーターが言いました。「一体何があったの!?」
「それが……魔法で世界を変えられて……。」ハルナが呟きました。
「魔法で世界を……?」カーターが言いました。
「覚えてない……?」ハルナが言いました。
「うん……。」カーターが言いました。
「そっか……。」ハルナが言いました。
「とにかく、ハルナが無事で何よりだよ。」カーターが言いました。「世界を変えた魔法って言うのも、もう平気なんだよね?」
「うん。もう大丈夫。」ハルナが言いました。
「なら良かった。」カーターが言いました。「行こう、ハルナ。」
「うん。」ハルナは立ち上がってカーターと共に歩き出しました。
こうしてこの日もハルナは世界の平和を守ったのでした。