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孤児院の勇者  作者: ピッピ
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38章 第2次防衛ライン


 「やっぱり魔族はすげ~な。」


 「そうかい旦那、偉く数が減って見るからにボロボロなんだが・・」


 「あれだけボロボロでここまで進軍する所がスゲ~よ。俺なら逃げるぞ。」


 「逃げ帰ったら殺されるんじゃねーか?それとも食い物がね~とか?」


 「どっちも有りそうだな。」


 俺とレビンが三日間、昼も夜も指揮官を殺しまくり。やっとたどり着いた第1次防衛ラインには敵が一人も存在せず。緊張が解けて安心したところに毒入りの水と食料がたっぷり有って、隠れて食べた魔物は次の日からバタバタ死んでいって尚ここまで来た魔族は悲惨だった。戦えそうな状態では無いのに戦おうとしてる姿は哀れだった。俺の長距離射撃がこたえたのか3キロ程離れた所に軍団を停止させていた。ノロノロと陣地を造り始めていた。

 

 「ヒメ、全軍に命令伝達!」


 「はい!」


 「最大防御作戦開始!」


 「了解、全軍最大防御作戦開始!」


 第2次防衛ラインに居た王国軍全部隊が陣地を捨てて敵に突撃を開始する。


 「こちら、魔道部隊最大火力の合唱戦術魔道発射する。」


 「こちら王都突撃隊1番から5番まで突撃を開始する!」


 「こちら獣人部隊左翼より突撃する!」


 「教会聖騎士隊全騎突撃開始!」


 緊張が解けて陣地を作り始めた、つかれきった敵に休養十分な兵士が全員で突撃する。今回は敵の数が多いので重騎士達は楔体系で敵を分断しその後分断した敵を3倍の兵力で叩くのだ。


 「しかし、旦那の付ける作戦名はへんだな!」


 「どこが、変なんだよ。」


 「最大防御作戦が全軍突撃っておかしいだろ!」


 「攻撃は最大の防御だぞ!お前しらんのか?」


 「そんなの聞いた事ね~。」


 「お前、ぬるい世界に生きてたんだな~。俺達の世界の常識だ。」


 固い陣地に引きこもっていた王国軍がいきなり全軍突撃してきたので魔族軍は大混乱していた。本来指揮官がこれを何とか戦える状態に持って行くのだが、残念ながら彼らの部隊には指揮官がいなかった。最も優秀な指揮官が居てもこれだけ混乱した部隊を立て直すのは無理なのだが。


 「魔道部隊攻撃完了!敵中央戦力消滅。作戦成功、トラトラトラ!」


 「こちら、重騎士部隊、敵分断成功!各個撃破に入る!」


 「王都突撃隊、突入成功。魔族を殲滅する!」


 「こちら獣人部隊。左翼突入成功魔族を蹂躙する!」


 俺とレビンは砦から双眼鏡で戦場を眺めて、苦戦してる場所に増援を送ったり。戦力が過剰な場所に支持を出し効率的に敵を蹂躙する命令を出し続けた。

 そして3時間後、結局魔族部隊は壊滅した、敵の持ち物に食料や水は無かった。行軍日程が大幅に増えたのと俺達が補給物資を全部燃やしたので彼らは既に戦えない部隊になっていた様だ。俺達に勝って食料を奪える可能性に賭けたのだろうが、大失敗したようだ。

 敵魔族の犠牲者は3万、こちらは死者5000人、重軽傷者1万5千人だった。あれだけ悲惨な状態でこれだけこちらに被害を与えるのだからやはり魔族は物凄い戦闘力を持ってる様だ。まともに戦いたく無い相手だ。


 「やったな旦那、大勝利だ!2連勝だぜ。」


 「ああ、何とかな。」


 「何だよ、少しは嬉しそうな顔しろよ!」


 「次の事考えるとな~。」


 「次も勝てば良いだろ。」


 「次はヒデ~戦いになるぞ。レビン。」


 「何だよ縁起でもね~な、あんたが言うと本当みたいに聞こえるから止めろよ!」


 そして2日かけて魔族や友軍の死体を穴を掘って埋めた。そのままでは疫病の元になるからだ。また、戦場で活躍した兵士達に国王から勲章や褒章、教会も法王から宝物や魔道具等が惜しみなく与えられ全軍の士気は最高潮に達していた。

 獣人部隊にも何か褒章を与える事に成ったが、あいにく俺は金も勲章も持って無かった。召喚もアイテムボックスも使えないので何も無いのだ。


 「なあ、チチ何で俺は飯作ってるんだ?」


 「しょうがね~だろ。うち等貧乏で勲章とか持ってネ~し。」


 「そうですわ、私たちに出来るのはご飯の支度位しかできませんわ!」


 「そうか、ならショウガナイナ。」


 「それに、勇者が作るご飯はとても美味しいって評判良いんですよ。」


 「ハハハ俺達の部隊のヤツも勲章より、勇者の作る飯の方が良いって奴が多いぜ!」


 「はは、勲章は食えないからな!」


 「いや、なんかご利益がありそうだもんな。」


 そしてその日の夜、俺は国王と法王、将軍たち全員を招集して会議を開いた。


 「勇者殿、大勝利でしたな。」


 「いや~、大した作戦でしたな。敵の意表を突く素晴らしい作戦でしたぞ。」


 「まさか、我々人間が魔族を蹂躙できるとは思いませんでした。」


 2連勝のせいか皆の顔は生き生きしていた。戦いが始まる前は勝てるとは思わなかったからその分嬉しかったのだろう。魔族の強さは皆十分知っていた。獣人は人間より強いが魔族は獣人より強いのだ。


 「今日の戦いはご苦労だった。皆良くやった。しかし、喜ぶのはまだ早い。」


 「えっ、勇者殿。まだ魔族が攻めて来るとでも?」


 「あれだけの被害が出れば、もう攻めて来ないんじゃ有りませんか?」


 「敵は食料も補給も無いのですからこれ以上は無理でしょう。」


 「必ず来る!そして次は魔族の総力戦になるだろう。」


 「総力戦?」


 「そうだ、今までは比較的小型の魔族ばかりだったのに気が付いたか?」


 「そう言われて見れば、そうですな。ドラゴン等も一匹もいませんでしたな。」


 「ドラゴンやワイバーン等を使わなかったのはあいつらは物凄い物資を消費するからだ。デカいドラゴン  は一匹で魔族何百人分かの食料と水を消費するからな。」 


 「では、やはりもう来ないのでは。」


 「嫌、追い詰められた魔族は国中の食料をかき集めてやって来る。今度負ければ国が亡ぶからだ。だから 次は大型魔獣を含む総力戦だ。魔王も必ず出撃してくるはずだ。」


 「では次が本当の最終決戦になるとお考えですか?」


 「そうだ、次勝てば戦いは終わる。負ければ人類と魔族の終わりのない戦いが続く事になるだろう。」


 「分かりました、全兵力と物資を用意します。賢者殿!」


 こうして後がなくなった魔族との最終決戦になだれこんで行く。


  

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