16章 オッサンいじられる
「痛い!痛い!参った!チチ放せ。」
今、俺はチチの下にいる。チチのでっかい胸で顔を押さえつけられて動けない状態だ。ベットの中なら嬉しいかもしれないが、今は柔道の試合中だ。最近小娘が生意気なので少々稽古をつけてやろうとして返り討ちにあったのだ。
柔道をこの子達に教えてまだ半年、正直負けるとは思わなかった。しかしチチに完全に力負けして技を出す前に潰された、力任せに振り回されて叩きつけられるのだ。おまけに柔道着は硬い布なので顔に押し付けられると痛いのだ。
「ははは、おっちゃん弱すぎ!」
「お前が強すぎるんだ!」
「今度は私に稽古をお願いしますわ」
「良かろう、小娘がなめるなよ!」
ヒメは空手着を着てたので、空手で相手をしてやる。俺が彼女達に教えたのは唐手なので武器をつかうし、何でもありの格闘技だ。洒落にならない流派だったのでメディアに出たりはしない。見世物の空手と違って殺す空手だったから。でも世界中に支部を持つ流派だった。
「いたた!ヒメ少しは手加減しろよ!」
「ごめんあそばせ!おじ様はもう少し強いと思ってましたわ」
小娘にぼこぼこにされて俺は落ち込んだ。パワーは互角だがスピードとバランスで叶わない。フェイントも全く通用しないので負けた。完敗である。
小娘に負けて俺のプライドはボロボロだ、鬼人族と巨人族は戦闘特化タイプとは聞いていたが小娘に負けるとは思わなかった。
「ハハハ!おっちゃん又負けてやんの!」
「チチ、お前だけデザート無しだからな!」
「さあ、皆!おっちゃんの奢りだソフトクリームだぞ!訓練の後に最適だ。」
チチにいじめられたので、俺は陰険な仕返しをすることにした。俺は根にもつタイプなのだ。チチが恨めしそうな顔で見てるが気にしない。俺は空気を読まない男だからな。俺は空気を支配する男なのだ。
格闘技ではかなわないので俺は得意の射撃練習を開始した。チチとヒメには俺と同じ45口径のコルトガバメント。彼女達は俺と手の大きさが変わらないからな。兎耳ちゃんや牛ちゃんは手が小さいので9ミリのSIGにした。10メートルで空き缶を当てられればまあ合格だ。そういえば昔はロボコップの影響か9ミリのベレッタが良くドラマなんかに使われてたな。あれは弾が2列グリップに並んでるのでグリップが異常に太いのだ。手のでっかい外国人になら扱えるが俺達平均的な日本人には無理だ。上手くグリップが握れないから当てにくい。
「おっちゃん、勝負だ!」
「なめるな!小娘!」
30メートルの距離で的あて勝負をする。的は10センチの円形だ。
チチが7発発射、3発命中。まあまあかな?
「下手くそ!4発も外した。」
俺のターン。2秒で7発発射、全弾命中。当たり前だ、たった30メートルで外すのは世界中の警官の8割とガンマニアだけだ。
「ふっ、小娘精進しろよ。」
「おじ様、あれ見せて下さい。」
ヒメが曲撃ちを俺にせがんだので見せてやる。
「何時でもいいぞ!ヒメ。」
ヒメがコインを投げ上げる、今回は一度に3枚だ、これが地面に落ちる前に当てるのだ。コインが最高高度になりかけて速度が一番落ちた時に射撃を開始する。これがこいつのコツなのだ。
どん!どん!どん!1秒で3発射撃終了。全弾命中。ふふ、たまに外す事があるが今回は上手く行った。
「見たかねお嬢さん。これが射撃って言うものなのだよ。」
そう俺はこの子達に動く目標に当てる訓練を重点的にやってるのだ。止まっている的に当てるのは当たり前、動目標に当たらなければ意味がないのだ、敵は動くからだ、動かないのは死んだ敵だから撃つ必要はないのだ。この場合にも算数の授業が少し役に立ってる様だ。動く的を狙う場合に未来位置を狙って撃つ理屈が薄々分かりだした様だからだ。教育は全ての基本なのだ。
「おじ様、大司祭様がお見えですよ。」
「分かった、直ぐ行く。」
今日は大司祭と打ち合わせの日だ、週に1回視察の名目でこの孤児院にやってくるのだ。そこで俺とイッツ所に色々と策を練る日なのだ。
「大司祭様こんにちわ」
「やあ、賢者様こんにちは」
俺が司祭に大をつけて呼ぶと、司祭は俺の事を賢者って呼ぶのだ。一種の嫌がらせみたいなもんでお互いの挨拶になってる。俺は意地っ張りなので名前では呼ばないのだ。
「教育の方は順調ですよ。新しい教員もマリアが指導する事になりました。来週から4人づづこの孤児院に来るはずです。また、屋台も各教会で開くことになりました、その料理の研修に来週から6人づつこの孤児院に来るはずです。」
「大丈夫、既に受け入れ態勢は出来ていますよ。10人分の宿泊施設は設置しました。でもそろそろここでは手狭になってきているので例の件を進めたいですね。」
「ここは、狭いから全部で20位で精一杯ですよね。でも教育と屋台の教育を行うことでシスターマリアと料理担当の重要度は非常にましましたよ。」
「新しい施設の件はどうですか?」
「新しい施設は、簡単に許可が下りそうですが、候補となる場所が厳しいですね。」
建物を建てるのは簡単なのだが、土地を手に入れるのが難しいのだ、と言うのも土地は国か貴族が持っていて、平民は土地を持っていないのだ。そして土地の広さは貴族の地位と財産に直結してるので簡単には手に入らないのだ。
「やはり、ここはもう少し手柄を立てて貰って、発言力を増してもらいましょうかね」
俺は教会の持っている土地を狙っていた、貴族相手は厄介だからだ。でも教会の土地は大司祭でも簡単には譲渡出来ないらしい、そこで更に大司祭の発言力を増すべく功績を上げる算段をする。
「次は、マリアを聖女にします。」
「マリアを聖女に?マリアは中級回復師ですから聖女にはなれませんよ。」
国には3人の聖女がいるらしい、いずれも上級回復師で奇跡的な治療能力があるのだそうだ。そして聖女の発言力は大司祭より上らしいので、マリアを聖女にするのだ。
「大丈夫、中級魔導士でも何でもない人間でも高い成果を発揮する方法を教えます。そしてマリアを使って広げます。民衆はマリアを支持するでしょう。」
そして俺は、傷口を水で洗い流し、綺麗な布で覆うというあの方法をマリアによって大衆に広めさせた。合わせて煮沸消毒の方法、清潔の保持方法をひろめさせた。多分半年位で効果が出てくるはずだ。戦争状態ならけが人が多いので一月位で結果が出るのだが。
こうして俺の作戦第2段、マリアGOGO作戦は始動した。
ーーーその日の夜ーーーーー
「おっちゃん、アイス食べたい!」
最近毎晩チチが風呂上りに俺の部屋に来るのだ、それも何時もTシャツ一枚のきわどい恰好なのだ、これはあれか?中二病的なやつなのか?
「アイスやるから、服を着ろ!、はしたないぞ。」
「ちゃんと、着てるよ。それにオッちゃん嬉しいくせに。」
確かに嬉しいが、それと躾は別問題だ、男はオオカミで大変危険な存在だとチチに説教する。
「あら、チチだけズルいですわ、私にもデザートを下さいませ。」
更にややこしいヒメまできた。ヒメはズボンを短く切ってしまい、いまやホットパンツ状態なのである。凄くながくて真っ白な太腿がけしからん姿なのだ。
「ヒメもはしたないぞ!そんな子に育てた覚えはないぞ!」
「あら、いじわるですわね」
そう言いながら、おれの背中に抱きついて来るのだ。自分の魅力を完全に計算した行動なのだ、なんでこんな女になったのだろう?教育のせいか?やはり女は馬鹿の方が・・・・等と考えていたら。
「そもそも、おっちゃん弱いから、ウチ達を押し倒せないよ。」
「・・・・・・・・」
「どうしてもと頼むならさせてあげても宜しくてよ。おじ様」
どうやら俺は完全に雑魚認定されたらしい、完全に落ち込んだ俺は、彼女達を追い出して寝た。




