友達が出来て笑顔になる、それは当たり前のこと
「しかし、マヤにはトラウマみたいなものがあるんだろ?
俺の事情に巻き込むわけには……」
「知っておるか?
お主が来て、文化祭に行ってからあの子に笑顔が増えたんじゃ」
笑顔が増えた……。
あの頃得られなかった青春を取り戻したから……。
文化祭に来てパンとかと友達になったからで俺は関係ないと思うけどな。
「マヤもきっとお主の力になりたいと思っておる
話してみてはどうじゃ?これを機会に仲良くなれるやもしれんぞ」
うーん……戻りたい気持ちが強いわけじゃないけど……。
でも、家族と会えるなら会いたいし、この力を引き継いであの世界に戻れば滅茶苦茶生きやすいかもしれない。
ジャンヌ様がそう言うなら聞いてみるか。
「分かった、聞いてみるよ
ただ、明日は表彰式があるし明後日行くことにしよう」
「そうか」
「私も行って良い?久しぶりにマヤちゃんに会いたいし!」
パンなら大丈夫だろう。
少しやかましいところがあるが、人に迷惑をかけるような奴じゃない。
「分かりました、パンちゃんも来てください」
「やった!」
「おい空」
ジャンヌ様がしかめっ面でこっちを睨む。
何か気に障ること言ったっけ?
「お主、パンには敬語なんじゃな」
「え?あ、そっか……」
ジャンヌ様の方がずっと年上なのに子供扱いされることが、相変わらず気にくわないらしい。
ほっぺを膨らませて怒っている。
「えーと……
初めて会ったときは本当に年下だと思ってたからその時のまま馴れちゃってさ……」
「……お主のお陰でワシはまだまだ生きられるんじゃから、文句は言えんか……
しかし、ワシはお主よりも年上!なんじゃからな!」
人差し指で俺を指しつつ注意する下から目線のジャンヌ様の迫力に気圧され、思わず敬語で答える。
「は、はい……」
「パン、お主もじゃ!」
「は、はいー!すみませーん!」
ジャンヌ様の怒りを静めたところでお開きとなり、寮へと帰宅した。
今日は色々あって疲れ、そのまま寝落ちしてしまった。




