全ての世界を越えた先へ
「さて、ポアンカレの回帰定理のもう一つの条件は、考える領域が有限ということなのじゃ」
「え?可能世界は孤立系だが、有限じゃないんだろ?」
「だからお主のシッディで有限にするんじゃ
今までも有限の数に無限に近いとかでやってきたはずじゃぞ」
シッディを同時に二つのことに使うのは……いや、俺を3人に増やし、一人が分身維持、もう一人が可能世界を有限に、最後の一人が時間をアレフ1以上にして時間のループから、この世界から抜け出す、これで行ける。
「作戦は分かった
ただ、実際に聞くと怖いな……」
思ってた以上にこの世界は複雑で、ややこしい。
本当に俺に行けるのか?
「そうじゃろ?だから……」
心配そうな目で俺を見つめるジャンヌ様。
そうだよな、俺が行かなきゃ誰が行く!
……いや、アストラルなら行けるか。
でも、ジャンヌ様は俺に助けてくれと言ったんだ。
「心配しないでくれジャンヌ様
神様と話して、もっと長生きさせてもらえるよう頼んでくる」
「空……分かった、ありがとう……」
分身を出し、準備を済ませる。
よし、時間を非可算無限に飛ばす!
辺りの景色が溶けて、更に真っ暗な世界すら崩れるのを感じる。
俺は循環を越えた先、神のいる領域へと足を踏み入れたのだ。




