回る回るよ世界は回る
「……この世界に矛盾がないのは分かった
それで、どうすれば世界のループから脱して神に会いに行けるんだ?」
「この世界が縦にループしているのは話した通りじゃが、ワシらのいるヒルベルト空間もまたループしてることを使うんじゃ」
また何かループしてるのかよ、ややこしいな。
「先の集合の例を使うが、ワシらのいる宇宙anなどを内包するヒルベルト空間bn一つ一つが孤立系だという話は、お主がアストラルを助ける前の頃にしたな
孤立系の空間に対して、ポアンカレの回帰定理というものが成り立つんじゃよ」
ポアンカレの回帰定理?
また新しいのが来たな。
「ポアンカレの回帰定理は考えている領域が孤立系ともう一つの条件を満たす時に言える定理じゃ
本当は孤立系よりもっと一般的に言えるんじゃが今はええじゃろ
その条件を満たす世界は、時間的にほぼループするんじゃ」
左手をグーにして顎につけ考える俺に、ジャンヌ様が補足してくれた。
「今から果てしなく長い有限時間経つと、bnの中はほぼ同じ状態に戻るんじゃよ
これが永遠と続く
分かりやすく言えば、一旦この星が滅んでも果てしなく長い時間待てば再びこの星がある世界になってる、ということじゃ
ただし、どれくらい元の状態と違うかは分からないし、元の状態に戻るまでの時間が一定というわけでもないがな
しかし、bnに流れる時間は空、お主でも脱することが出来る無限じゃ!
この宇宙はループしている分時間が存在しない宇宙がない、よって時間から脱け出せれば神様の世界にたどり着ける!」
そうか、単に宇宙の外の外のと繰り返すだけじゃどんな無限でも抜け出せない。
だが、時間のループから抜け出せば、この宇宙、引いてはループしている宇宙全体から抜け出すことが出来る。
変に例えるなら、この世界はドーナツのようにグルグル回っていて、ドーナツの層から出たらまたドーナツの層だが、無限を越えたスピードで回ればドーナツから抜け出せる、といったところか。




