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正則性のない世界

「わかってないようじゃから説明するぞ

この宇宙の他にも可算無限に宇宙がありそれらは全て無限次元ヒルベルト空間に内包されている話はしたじゃろ?

これはつまりa={a1,a2,a3,……}∈bnということじゃ

anがワシらのいる宇宙じゃな

bn一つが可能世界で、これもまた可算無限にある

ちなみにbnのnはanのnと違うかもしれんからな

単に1か3か、どの自然数か分からないからanとかbnとか言ってるだけじゃ

さて、これら可能世界を内包する宇宙をcnとすればb={b1,b2,b3,……}∈cnということ

そしてcn∈c∈dn∈d∈……∈xとなっている

この……の間は強到達不能基数よりも大きい非可算無限じゃ」


 ここまではまあ分かる。


「しかし、xは更に広い世界ynに内包されず、anに内包される

ただしanはワシらのいる宇宙かもしれないし、あるいはどれか別の宇宙かもしれない」


「……??

ちょっと待ってくれ、今俺がいる宇宙に、そのxという俺らのいる宇宙を内包する世界があるのか?

そしてその中はまた俺達の宇宙?」


「その通り、要するにこの宇宙はループしてるんじゃよ

……∈an∈a∈bn∈b∈……∈xn∈x∈an∈a∈bn∈……という風にな」


 意味がわからない……。

 永遠に登れる階段のトリックアートみたいなものか?

 本当にこの宇宙の中にここより広い宇宙があるのか?

 いや、それより……。


「そもそもそれはおかしいはずだ

ZFから無限降下列は存在しないことが分かってる」


「全く持ってその通りじゃよ

ZFを全て認めるなら無限降下列は存在し得ない

しかし、無限降下列が存在しないというのは、ZFの一つ、正則性公理によってのみ保証されているようなものなのじゃ

ZFの公理は、"集合が存在する"などの否定する意味が薄いものばかりじゃが、正則性公理だけは自明ではないと考えられることが多いんじゃよ」


 つまり正則性の公理があるせいで無限降下列が存在できないなら、正則性の公理を取れば良いのか……。

 だが、俺は無限降下列を使ってムーラのシッディをメタったはずだが。

 あくまでシッダが前提にする公理とこの世界の公理は違う、ということか。


「正則性公理は別名基礎の公理と呼ばれるから、基礎の公理を取り除いてそこに反基礎の公理と呼ばれるものを追加した公理系を考えたりするのが正則性公理無しの基本じゃな

正則性公理は今の数学に大きく貢献しているから、普通はZF公理系を使うがの、残念ながらこの世界では正則性公理は認められんのじゃ」

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