リンゴ可愛や 可愛やリンゴ
辺りでリンゴを買って、教会へと瞬間移動する。
「空、聞いたぞ!優勝おめでとうなのじゃ!」
早速、ジャンヌ様が出迎えてくれた。
「ありがとうジャンヌ様、何とか勝てたよ
これリンゴ、好きだったろ?」
「お、覚えてたのか?」
勿論、恩人の好みを忘れるわけはない。
「ところで、ジャンヌ様の方はどうだった?
何か死を避ける方法は見つかったのか?」
「うむ……そのことじゃが……」
いつになく神妙な面持ちをしている。
「空、お主に宇宙の外の外……それを更に越えた先にいる、神様と会って貰いたい……」
「宇宙の外の外を越える……
もしかして一皮剥けるって……」
「うむ、決勝戦でお主が∞を越える、ということだったんじゃ……
これでお主は神様と会う力すら手に入れた
しかし……」
口をつぐみ、少ししてからまた口を開いた。
「ワシは死にたくない、でも、その為にお主に遥か遠くまで行ってもらうというのは、流石に限度を過ぎている
お主が嫌なら、行かなくてもいいんじゃぞ?」
宇宙の外の外の更に外、流石に人に頼むには遠すぎるよな。
でも!
「俺には友達もいないし仕事も出来ない
唯一頼れるのがこのシッディだけなんだ
これをくれた恩は返すよ
それに、可能世界を越えるどころじゃない規模、少し面白そうだしな」
「空……済まぬ……」
ジャンヌ様がちっちゃい体を震わせ、両手で自分の服を掴みそう呟いた。
「気にしないでくれ、俺がやりたいからやるだけだ
で、どうすれば神様のところへ行ける?
速度を非可算無限にするとか?」
一体ここや俺が元いた宇宙を全て内包するヒルベルト空間、もとい可能世界が無限にある宇宙から、神様までどれだけ離れているのか気になるところだ。
しかし、その答えはあまりにも驚くべきものだった。
「無理じゃ、普通の方法では行くことが出来ない
何故なら可能世界が可算無限にある宇宙の遥か外は、またここなどの宇宙だからじゃ」
……?
一体ジャンヌ様は何を言ってるんだ?




