最後の戦い
俺対アストラルの決勝戦、コロシアムは異様な盛り上がりを見せていた。
カントリーとネーションが統合して規模が大きくなっただけでなく、一年生同士の決勝戦という史上初の出来事も相まって、大勢が集まったのだろう。
そんな状況に加えてついにここまで来たということもあって緊張する。
だが、昨日も勉強して、ちゃんとアストラル対策も練ってきた。
自分を信じるのみ!
出番が来て、コロシアム内に赴く。
向かいにはアストラルがいる。
お互い定位置に着いたところで、アストラルが口を開いた。
「話すのは文化祭以来かな?」
「そうだな……
あれから学内トーナメントまでの間、ほぼアナンダ先生以外と会話してないと思う」
「聞こえてたと思うけど、俺は空を目標にここまで勝ち抜いてきたんだ」
「ああ、言ってたな」
「やっと……見返せる」
アストラルがこちらを睨む。
その目は、暗い炎に満ちていた。
「見返す?何で?」
「空、どうして君は一人ぼっちでいられる?」
質問に質問で返すのかよ……。
「何でも何も、俺が強いから
俺だってこの学園に来るちょっと前まではぼっちが怖かったよ
でも、この力を手にして俺は、仲間を必要としなくなった
実際第三戦争だって止めて見せただろ?」
「今はそれでも良いかもしれない
でも社会に出たらどうなる?
協調性のない奴は社会から蹴落とされるよ?」
「そうだな、俺は実際に社会から蹴落とされて家に籠ってたしな
でもそれって社会が悪いんじゃないか?
協調性のない奴と協調出来ない奴が協調性あるなんて言えるか?
結局さ、協調性のある人間なんかいないんだよ」
「話をそらさないでくれ
社会から蹴落とされたら生きていけないんだから」
「俺にはこのシッディがある
食べ物を出せば良いだけのこと」
「いい加減にしてくれ!!」
突然、アストラルが強ばった表情で地面に向かって怒鳴った。
「ぼっちは人のことを考えないクズなんだよ
空、君を見てるとイライラする」
「……」
現世にも何故かぼっちが嫌いな奴いたな。
命とシッディとジャンヌ様以外捨てるものがない今の俺には余裕があるから良いが……。
それにしてもアストラルのこんな様初めて見たわ、相当俺に鬱憤が溜まってたんだろう。
俺が死から助けてあげたというのに。
「……空、君も友達を持ってみなよ
友達って良いものだよ?」
さっきまでのアストラルの表情と打って変わっていつもの顔に戻っていた。
冷静になったか。
「いらないよ」
「そうか……ならしょうがない
実力で示すしかないね」
「ああ、それが一番だ」
この戦いに勝った方が正しい、よくある奴だが、一番手っ取り早い。
「よろしいですか?始めますよ?」
黙って見守っていた審判が声をかけてきた。
俺とアストラルが黙って頷く。
「では、試合開始!」




