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甦る現世の感覚

「今日は、珍しくこの時期に入ってきた新入生を紹介するわね

どうぞー」


 一々珍しくとか言うなよ!

 土曜日の補習の日に、先生と月曜について打ち合わせしていた俺は、その時の指示通り教室前まで来ていた。

 このドアを開ければ、クラスメートと初対面である。

 ドアの開く音が教室中を駆け抜け、窓の光が明るく部屋を照らしている。

 座っている生徒達を見ると、こちらをじっと興味深そうに見つめている。

 ああ、やめてくれ、人に見られるのは苦手なんだ。

 ゆっくりと歩き先生の横に並ぶ。

 先生が黒板に自分の名前を書くよう言ったっぽいが、最早ほとんど耳に入らない。

 緊張してチョークを持つ手が震えている。

 異世界に対する高揚感と年下ばかりの状況で今まで乗りきっていたが、ここに来て激しい人見知りの性格が顔を出してきたのだ。


「そ、空です

よろしくお願いします」


 ……パチパチパチ。

 一瞬の静寂からの拍手、俺はこれを何度も経験してきた。

 向こうも新入生と聞いてイケメンや気さくなムードメーカーを勝手に想像していたのだろう。

 そんななか緊張しいの根暗が出てきたのだから、拍手しづらいに決まってる。

 俺のテンプレハーレム生活のビジョンは、このとき、音を立てず静かに崩れ落ちた。


 そんなこんなで休み時間。


「君はどこから来たの?」


 特徴のない男性が話しかけてくれたが、


「え、えっと、棄糸です」


「へえ、珍しいね」


「はい……」


「……」


「……」


 こんなやり取りを続けている内に、いつしか周りに一切人が寄り付かなくなった。

 俺は、この歳になってまた、ぼっちになったのだ。

 今までのコミュ力は息を潜め、死ぬ前の自分に逆戻り。

 これならマヤと同棲した方が上手く行ったのでは?いや、後悔先に立たず。

 それどころかむしろ、こんな性格だから同棲イベントのフラグも立たなかったのか。


 い、いや、まだ金曜日の戦闘訓練がある!

 俺のシッディはジャンヌ様も褒めるぐらい強力なもの、ここで注目を集めればまだやり直せるはずだ!

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