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濃度

 準決勝の翌日、明日の決勝に備え朝から図書館に入り浸っていた。

 同じシッディである以上、勝敗を分けるのは知識に他ならないからだ。


 様々なジャンルの本を読んでいく中で、一筋の光明が射した。

 集合の濃度、という概念である。

 集合とは{1,2}などの要素が入っている箱を考える奴だが、当然箱の中には要素が何個か入っているわけで、集合には個数の概念があると言える。

 しかしそれは有限集合の場合のみ。

 自然数の集合や実数の集合は∞個としか言えない。


 そこで生まれたのが濃度だ。

 濃度は有限集合の場合個数を表す。

 例えば{猫,犬}なら濃度2だし{1,2,3}なら濃度3。

 このままだと普通と変わらないのだが、個数は実際に要素を人間の手で数えるのに対して、濃度は全単射写像を使う。

 全単射写像は簡単に言えば一方の集合の要素ともう一方の集合の要素を一対一に結び、互いに余りがない写像のこと。

 {1,2}と{猫,犬}は(1)(2)という風に一対一で繋がり余りもないので、この2つを繋げる写像は全単射写像である。

 この時{猫,犬}は{1,2}と全単射写像で繋がっているので濃度が同じで2だということが分かる。


 これを無限集合で適用するために、まず初めの無限を決める。

 初めとして相応しいのは自然数だろう、自然数の濃度は自然数で表せないのでアレフ0と新しい記号を用いて定める。

 これの興味深いのは、自然数と実数を全単射写像で繋ごうとしても不可能で、実数の濃度の方が自然数の濃度より大きい無限個であることが分かるところだ。


 今まで俺が∞だと思って使ってきたのは、最初の無限だったということ。

 アストラルも∞に到達してきた今、実数の濃度であるアレフ1や、或いはそれ以上……無限を越えた無限のレベルに到達しなければ勝ちはないだろう。

 何よりアストラルも勉強して集合の濃度の知識を身に付けてるに違いないしな。

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