敢然と立ち向かう
ガタガタと音を立て、周囲の空間が震える。
そしてその真っ黒な世界はヒビが入ったようにパキンと割れ、再び光が入ってきた。
「えっ!?」
パンの驚く様は無視、直ぐ様背後に瞬間移動してそのまま気絶パンチ!!
「ぐえっ!」
変な声を上げ、パンが吹っ飛ぶ。
そして、地面にうつ伏せたまま、動かなくなった。
「そこまで!勝者、空!」
やった……。
俺が、パンに勝った!
「嘘……パンちゃんが……」「あの青年、一年生だろ!?」
ざわざわと観客席が騒ぎ始める。
当然だろう、一年生に、大会で二連覇した奴が負けたんだから。
恥ずかしくなった俺は、そのまま逃げるようにコロシアムを後にした。
「凄いわね、空くん」
準決勝一回戦と二回戦の間、俺は学園の外に置いてある椅子に座って休んでいた。
流石にコロシアム内の観客席は人が多かったので、試合が始まるまでここにいようと考えたのだ。
そこに現れたのがアナンダ先生だった。
「何とか決勝に進みましたよ……」
「一年生で決勝戦まで行けた人なんてそんなに見ないわよ?
これでアストラルくんも勝ったら、史上初の一年生対決ね!」
「はは……」
「そうそう、さっきパンちゃんに会ったんだけどね、『決勝戦後会おうねー、絶対その強さの秘密、教えてよ!』って」
また決勝戦後に会う約束か。
まあ、いの一番にジャンヌ様に会って、それからかな。
「分かりました」
「それじゃ私は職員席に戻るわね
空くん、決勝戦頑張ってね!」
「は、はい」
こんな美人の人に応援なんて!
と思ったが、よく考えなくても、同じ自分の教え子であるアストラルも応援するだろうし、喜ぶことじゃないわ。
お、そろそろか、会場に行こう。
準決勝二回戦、ガルバは一度勝ったことがあるけど次はどんな戦いをしてくるか分からないし、アストラルも俺と戦いたいからなのかこのトーナメントを勝ち抜いているし侮れない。
俺もこの世界に来た頃は、アストラルが羨ましかった、というか妬んでいたから、倒したいと思った。
でも、今はぼっちという今の立場に落ち着いているしな……。
どっちが勝ち上がってこようと、潰すだけ。
そして、優勝してジャンヌ様に会いに行く!




