胃袋は宇宙
三回戦Aブロック、俺の試合、相手はあのムーラである。
ムーラと言えば第三戦争で俺に負かされたダーラの姉だそうだ。
そんなことよりムーラのシッディだな。
∈や<と言った関係を操作する、ダーラの上位互換。
不等号を操作されるのは、ダーラ戦で既に対策が取れている。
問題は∈だが、俺も何も準備しなかったわけではない。
教科書などを見渡して、秘策を見つけた。
これが通じるかどうか……、一瞬の勝負か。
俺とムーラが配置についた。
「君には悪いけど、勝たせてもらう
私の妹、ダーラはCブロック、決勝で戦いたいから」
「ダーラってお前のシッディの下位互換だよな?」
「妹のシッディを知っているのか?
大丈夫、シッダ同士の戦いはシッディだけじゃなく、どれだけメタれるかだから、本人の知識も必要」
それはそうかもしれんが、やっぱりダーラに勝ち目はない気がするぞ……。
ま、ムーラにはここで負けてもらうわけだが。
「試合開始!」
「ん!?」
ムーラが消えた!?
と、思った瞬間、空から声が聞こえた。
「私のシッディは知ってるはず
宇宙を一つの箱として見れば、私∈宇宙になっている
それを逆転すれば宇宙∈私、つまりこの宇宙は私の中になった」
おいおい、説明は負けフラグだぞ?
ムーラもとい天の声が喋り続ける。
「宇宙の外は無限次元ヒルベルト空間だと聞いていたが、居心地は悪くない
今からこの宇宙に衝撃を与えるが、普通の人はただじゃ済まないだろう
審判、これは私の勝ちで良いな?」
何だよそれ、人間離れし過ぎだろ……?
「そこま……」
「待ってくれ!」
審判の試合終了の宣言を俺が遮る。
「しかし君……」
「大丈夫、手はあります」




