縮約
そして6月、テストの成績が発表されたことで私達は変わったんだ。
「あの二人数学の成績悪すぎじゃね?」「本当、何で学園に入ったんだろ」
シッディが数学や物理で表されるのに、それが分からない私達が貶されてもしょうがないのかも……そう思ってたとき
「アンナとマノを苛めるのはやめろ!!
たかが一科目二科目出来ないくらいでなんだ?
俺なんか数学以外壊滅的なんだ、叩くなら俺を叩けよ!」
アストラルが私達を庇ってくれたんだ。
それからアストラルはイディオットとバカにされるようになったけど、私達はそれでもアストラルを尊敬している。
私はアストラルが教えてくれたお陰で数学も出来るようになってきたし、アンナは相変わらず理系科目がダメだけど、それでもアストラルの説明を理解しようと努力し続けてる。
あれが、私達がアストラルに……。
――――
「諦めたくないのは、アンナ、あなただけじゃない!」
少しの間考え込んでいたマノが動き出した。
右手を大きく横に振ると、アンナの周りを覆うようにバリアが現れる。
アンナが喉元を両手で押さえつつ、言葉を出した。
「マノ……それでも私は……負けたくない!
ここで勝って、アストラルと戦って、彼に並びたい!!」
その瞬間、光の矢が天から多量に降り注ぎ、マノを狙う。
「効かないって……ぐっ!」
その矢は全てマノに命中した。
バリアを貫通して。
そのままマノが倒れる。
「そこまで!勝者、アンナ!」
「何故……!」
「あんたが過去を振り替えるから私も過去を振り返ったんだよ
縮約っていうの、習ったよね、私もよく分からないけど」
「縮約……そういうことか!」
縮約……?
何のことかと思ったが、アンナも分かってなかったみたいなので、アンナに向けてマノが説明するようだ。
「数学のグラフ理論……点と辺で作られる図についての理論……
写像はその中でも、辺を矢印にした向きの有るグラフ、有向グラフとして見なせる……
つまりx∈X,y∈Yに対して写像f:x→yは点と矢印を使って・→・という図に直せる……
その・→・という二つの点を融合してしまうのが縮約、あなたは私の孤立系の中の点と外の点を縮約して繋げることによって、バリアを無視したんだ……」
「何かよく分からないけど、そういうことだね!」
「負けたよアンナ……あなたの勝ち……」
「少しヒヤッとしたけどね、マノが考える時間をくれなかったら負けてたかも」
「あなたでも考えることがあるんだ……」
「何よそれ!」
「ふふっ……
三回戦、頑張ってね
でも、あっちの戦いは負けたつもりないから!」
「私だって!」
そんな会話をして、二人は真反対の出入口に向かって歩き出した。
それにしてもグラフ理論……また知らないのが……。
今後勝ち抜けるのかな、俺……。
そんな不安を他所に、二回戦が全て終了。
次の日の三回戦が、始まる。




